COP26は、健康危機や社会的・経済的不平等の危機を含む多面的な危機の一部である、気候変動という重大な問題への取り組みを目指している。
こうした課題に対処するには、有能で利他的な指導者が必要だ。しかし権力は往々にして人々の最悪の面を引き出す。
人類が直面する課題に効果的に取り組むには、指導者の共感力と謙虚さを育まなければならない。
世界で最も差し迫った危機の一つに取り組むため、各国の指導者たちが国連のCOP26気候サミットに出席するグラスゴーで、地球上の人命を守るために必要な大胆な変革を実行する勇気を持てるだろうか。それとも、またしても対応が遅すぎ、取り組みが不十分に終わるのだろうか。誰もが心に抱くこの問いは、今日私たちが必要とする指導者のあり方を示している。
地球の保全からパンデミックへの対処、経済的不平等の縮小、民主主義の強化、人種差別や性差別をはじめとするあらゆる差別との闘いまで、指導者たちが多くの課題を抱えていることは確かだ。この多面的な危機に直面する今、より環境に配慮し、公正で、民主的な社会の実現に向け、社会・経済システムを変える勇気を指導者に求めたい。これは困難な課題であり、抜本的な変革を推し進めるために必要な力を築ける有能な指導者が求められる。その原動力となるべきなのは、自己利益や名声への欲求ではなく、共通善を絶えず追求する姿勢だ。
このバランスを取るのは難しい。組織や社会を率いて変化を主導するには権力が欠かせない一方で、歴史や私たち自身の経験、社会心理学の研究から、権力は人の心理を変えることが分かっている。実験室で権力を持っていると感じさせられた人は、過剰な誇りや自信を示しやすく、他者の感情を見極めることへの関心や能力が低くなる。要するに、傲慢になり、自己中心的になるのだ。実験室で一時的に権力を感じさせるだけで人が変わるのなら、COP26に私たちを代表して集う人々の多くがそうであるように、重要な地位に何年も就くことがどのような影響をもたらすか、想像してほしい。
これは懸念すべきことだが、指導者が権力に酔いしれ、乱用に至ることが避けられないわけではない。最近出版した著書『Power, For All: How It Really Works and Why It’s Everyone’s Business』では、権力の有害な影響に対抗するために指導者が活用できる解毒剤を示している。傲慢さへの解毒剤として謙虚さを実践し、自己への過度な集中への解毒剤として共感力を養う必要がある。権力を受け入れながらその落とし穴を避けるには、二つの認識が欠かせない。一つは相互依存への認識であり、自己中心性を共感によって打ち消すことを可能にする。もう一つは万物が移ろうという認識であり、傲慢さを謙虚さによって抑えることを可能にする。そして共感と謙虚さは、学びと利他的な目標の追求を促す。これらは、単なる自己利益ではなく、集団の目的のために権力を用いるうえで欠かせない要素だ。
共感と謙虚さは、学びと利他的な目標の追求を促す。これらは、単なる自己利益ではなく、集団の目的のために権力を用いるうえで欠かせない要素だ。
ジュリー・バッティラーナ、ティツィアーナ・カッシアロ。
私たちがすべての指導者に期待し、求めるべきなのは、まさにこうした謙虚で共感に基づく姿勢である。特に今のように、短期的な利益だけでなく、地球との調和のなかで万人の幸福と繁栄を確かなものにする勇気ある決断が問われるときには、なおさらだ。指導者に対して説明責任を求める基準は、これでなければならない。指導者を選ぶ際には、もちろん能力を考慮すべきだが、謙虚さと共感力を育み、純粋に利己的な目標よりも利他的な目標を優先していることが行動に表れている人を選ぶ必要もある。
多様性、公平性、包摂性に関して、世界経済フォーラムはどのような取り組みを行っているのか。
The Centre for New Economy and Societyは、経済や技術の変化が仕事、スキル、機会をどのように変えつつあるかを理解できるよう、指導者同士をつないでいる。
知見の共有と協働を通じて、同センターは、移行期に人々や社会を支える包摂的な経済モデルをパートナーが探究できるよう支援している。
これらを、指導者を評価する基準とすべきだ。地位や名声を高めるためだけに権力を欲するほど愚かで満たされない人ではないか、その兆候を見極める必要がある。しかし証拠が示すように、私たちはあまりにも頻繁にこうした基準を無視し、権力を持つ人々にこの種の利他的な姿勢を求めていない。その代わりに、権力と利他主義を切り離して考え、自信や強さ、富を示す、より派手な別のしるしを頼りに指導者を選びがちだ。
私たちは、もっと良くできるし、そうしなければならない。マーティン・ルーサー・キングはこう力強く述べた。「愛なき権力は無謀で人を傷つけ、権力なき愛は感傷的で力がない。」貧富や年齢を問わず、私たち全員を脅かす環境危機に対処するため、困難であっても必要な変革を実行するには、私たちから託された権力をすべての人に仕え、地球を守るために使う、思いやりのある指導者が必要だ。

