景気後退の可能性を乗り越える方法—思いやりの役割:カーニー

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  • Meet The Leaderは、世界経済フォーラムがお届けするポッドキャストです。世界を変える第一人者を取り上げ、効果的なリーダーに欠かせない習慣や特性を紹介します。

  • 世界的な景気後退の可能性に直面するなか、最高の環境で最高のチームを率いるには、どうすればよいでしょうか。

  • カーニーのステファン・マルク氏が、採用や支出から、策定すべき緊急時対応計画まで、リーダーが自問すべき問いを紹介します。

  • また、パンデミックがリーダーとしての自身にどのような影響を与えたか、そして思いやりが、今後の変化にチームがよりよく備えるうえでどう役立つかについても語ります。

パンデミックや経済の混乱からウクライナでの紛争まで、世界はさまざまな課題に揺さぶられており、多くの専門家が世界的な景気後退を予測しています。

5月の年次総会で、Meet The Leaderは、ワルシャワを拠点とするコンサルティング会社カーニーのシニアパートナー兼マネージング・ディレクター、ステファン・マルク氏に話を聞きました。最近の世界的な課題がリーダーとしての自身にどう影響したか、またリーダーがチームをよりよく導くにはどうすればよいかを説明しました。

計画を立てる. マルク氏は、緊急時対応計画が鍵になると述べました。多くの組織は、景気後退の可能性に備える時間を確保できていないでしょう。特に東欧では、パンデミックへの対応からウクライナ侵攻への対応へと移り、計画を立てる余裕がなかった組織もあります。それでもリーダーは、何にいくら支出するかから採用方法まで、あらゆる点を慎重に検討すべきです。

「適切な人材を確保しておくことが大切です」と同氏は助言します。景気後退が進むにつれて、リーダーが望むような形で従業員を補充できなくなる可能性があると説明しました。

コミュニケーションを始める。リーダーは、今後起こり得る変化に備えてチームを準備させるべきです。どのようなシナリオが想定されるか、組織がどう対応するか、どのようなプロセスを導入するかを共有することを同氏は提案します。

「チームが状況を把握し、備えられるようにしてください」とマルク氏は述べました。「何をするのか、どこへ向かうのか。そうしたことをすべて整えておく必要があります。」

思いやりを示す。パンデミックはマルク氏のリーダーシップを変える一助となり、「チームワーク」や「ウェルビーイング」といった言葉への理解を深めました。従業員は最も重要な資産であり、今後さらに変化が続くなか、混乱が従業員にどのような影響を与えているかを考慮し、変化するニーズに応えることが一層重要になると、同氏は強調します。

「心を開き、自分の時間を惜しみなく使ってください。相手が話を聞いてもらえたと感じられるようにすることが大切です」と、同氏はMeet The Leaderに語りました。「いつも問題を解決する必要はありません。そばにいるだけで十分なこともあります。」

以下のインタビュー全文をお読みください。

インタビュー全文—ステファン・マルク氏が語る「世界的な景気後退を乗り越えること、そして思いやりの役割」

Meet the Leader/リンダ・ラシナ:この複雑な局面で、最も強く印象に残っていることは何ですか。

ステファン・マルク:人々です。特に、私が暮らす中東欧の人々、ウクライナの人々の強さ、ほかの人々のたくましさ、そして彼らを助けようとする素晴らしい動きです。私は現在ポーランドに住んでいますが、興味深いのは、ポーランドが以前から受け入れていた150万人に加え、一晩で約400万人のウクライナ人を受け入れたことです。人口約3,800万人の国が一晩でさらに400万人を受け入れ、人口を10%増やしながら、全員に必要な支援を確実に届けたのです。

これは本当に驚くべきことです。国外へ逃れることができた子どもや母親、すべての人々が、意義ある形でケアを受けられるようにしながら、故郷に残るウクライナの人々を支援しています。結局のところ、こうしたことは日々、私たちに大きな印象を与えているのだと思います。

世界経済フォーラムは難民をどのように支援していますか。

Meet the Leader/リンダ・ラシナ:専門家は世界的な景気後退の可能性を警告しています。リーダーは備えとして何をすべきでしょうか。

ステファン・マルク:かなりの部分が緊急時対応計画に関わると思います。私たちの地域では、パンデミックへの対応計画から戦争への対応計画へと移りました。景気後退への対応計画や、それが自社の事業運営や顧客に何を意味するかを考える機会は、誰にもなかったと思います。

今、自組織や顧客、市場の行方を見極め、すぐに計画を立てられることがあるか、あるいは準備金を確保して潜在的な危機を乗り切れるかを検討するのがよいでしょう。おそらく数カ月以内に起こると思いますが、人によっては手遅れになるのが少し早いかもしれません。

Meet the Leader/リンダ・ラシナ:そうした緊急時対応計画には、どのような内容が含まれますか。

ステファン・マルク:景気後退を想定すれば、需要が落ち込む可能性があります。資金調達の費用が今よりずっと高くなることも考えられます。そうした事態に備える必要があります。現在の支出額や雇用をどれだけ増やすかに注意してください。適切な価格で資金調達先を確保しておくとよいでしょう。適切な人材を確保することも大切です。優秀な人材を補充できない可能性があり、採用には非常に大きな費用がかかるでしょう。

チームにも状況を知らせ、備えさせてください。起こり得る事態について、何をするのか、どこへ向かうのかを丁寧に伝えましょう。そうしたことをすべて整えておく必要があります。少なくとも、対象となる人々や組織が状況に備えられるよう、準備を始めるべきです。検討できる領域はこのようなものです。

Meet the Leader/リンダ・ラシナ:景気後退の可能性は、開発途上国にどのような影響を及ぼすでしょうか。

ステファン・マルク:今も逼迫しているバリューチェーンに、さらに大きな影響が及ぶでしょう。世界的な物流問題や複数の部品の供給不足が続き、現在、ほぼ3年目に入っています。この影響はさらに大きくなり、あらゆる問題に波及効果をもたらすと思います。開発途上国だけでなく、すべての経済が打撃を受けるでしょう。開発途上国では一般に、より脆弱な立場にある人々が、こうした影響をより強く受けます。雇用が失われ、社会面にも影響が表れるかもしれません。

Meet the Leader/リンダ・ラシナ:景気後退の可能性は、ウクライナの人々を支援する人道的取り組みにどのような影響を及ぼすでしょうか。

ステファン・マルク:少し理論的な話になってきました。現在、中東欧で起きていることの人道的側面には、もちろん経済的な要素がありますが、一方で社会的、そして人間的な側面もあります。

人間的な側面が最も重要です。景気後退によって、多くの人々に支援を届けることが難しくなる可能性はあります。しかし、この状況、ロシアとウクライナの戦争が続いたこの3カ月を振り返り、ポーランド、チェコ、スロバキア、ルーマニアの人々がしたことを見ると、人道支援の大半は個人によって、個々の家族や善意をもって行動する人々によって提供されました。

景気後退が起きたからといって、こうした支援が止まるとは思いません。ただ、これまでより少し難しくなるかもしれません。確実に資源は減るでしょう……それでも、少なくとも東欧の人々は危機の際に非常に強い力を発揮すると信じています。危機の中で、私たちはより強くなる傾向があります。

今、私たちは戦争のただ中にいますが、共産主義から脱した後の20年余りを振り返れば、コソボ、そしてセルビアでの戦争を経験し、さまざまな経済危機を経て、今またこの状況にあります。危機から次の危機へと移っているようです。それでも、こうした事態への対処法をある程度学んできました。

「私は親切を信じています。人間の精神を信じています。」

ステファン・マルク、カーニー、シニアパートナー兼マネージング・ディレクター

Meet the Leader/リンダ・ラシナ:この2、3年を経て、 今後の混乱に精神面、感情面でよりよく対処できるようになったと思いますか。

ステファン・マルク:そういう人もいるでしょう。多くの人にとって、簡単なことではありません。危機的状況への対処に少し慣れるでしょうか。間違いなくそうです。私たちは強くなるでしょうか。おそらくそうでしょう。しかし、今後数年間も、多くの人が深刻な影響を受け続けると思います。

どうなるかを見通すのはとても難しいです。例を挙げましょう。紛争地帯から逃れてきた子どもたちは、感情面で非常に大きな影響を受けており、その影響が何十年も続くかもしれません。それによって強くなるのでしょうか。おそらくそうでしょう。

しかし、今は予測できない形で影響を受けることもあると思います。これは東欧だけに特有の状況ではありません。世界のあらゆる場所で起きています。シリアでも、レバノンでも、リビアでも、世界各地の紛争地域で同じことが起きました。友人や同僚、従業員、そして社会全体に及ぶ影響を、私は目の当たりにしています。

Meet the Leader/リンダ・ラシナ:最近、夜も眠れないほど気がかりなことは何ですか。この複雑な局面で、特に何が心に残っていますか。

ステファン・マルク:私にとって大切なのは、周りの人々を支えられることです。忠誠心は、私の人生において非常に重要な要素です。夜も眠れないほど気がかりなのは、例えば、まだウクライナにいる同僚の安全、ポーランドにいる同僚のメンタルヘルス、景気後退が事業に及ぼす影響、そして全員の経済状態を良好に保てるかどうかです。

また、ウクライナでの戦争を24時間休みなく伝えるニュースが、6歳の娘に与える影響も気になります。娘は「何が起きているの?」と尋ねます。こうしたことが、最近、夜も眠れない原因になっています。

Meet the Leader/リンダ・ラシナ:こうした状況を乗り越えるうえで、何が助けになりますか。

ステファン・マルク:やはり、同じ人たちです。同僚、友人、親しい人々。そして、娘を抱きしめていられることです。

「心を開き、自分の時間を惜しみなく使ってください。」

ステファン・マルク、カーニー、シニアパートナー兼マネージング・ディレクター

Meet the Leader/リンダ・ラシナ:同じ答えかもしれませんが、何が希望を与えてくれますか。

ステファン・マルク:同じかもしれませんが、私は親切を信じています。人間の精神を信じています。

Meet the Leader/リンダ・ラシナ:企業の役割は変化してきました。社会における企業への期待について、5年、あるいは10年前と比べて、今最も大きく変わった点は何ですか。

ステファン・マルク:私たちが今向かっているのは、関心を共有する小さな集団に分断された世界です。それよりも、世界全体のコミュニティを築くことが一つの役割だと思います。世界が一つのチームにならなければ、世界の大きな問題を解決するのは難しいでしょう。私は東欧を代表していると言いましたが、東欧は一つの国ではありません。さまざまな文化や言語がある、とても多様な地域です。そこから一つのチームをつくるのは複雑で、世界規模のチームをつくるのはさらに困難です。いつか実現してほしいのは、そういうことです。そして、これは私たち全員にとって最大の課題でもあると思います。

Meet the Leader/リンダ・ラシナ:リーダーは、自社内で、また社外の人々とともに築き、集うことで、そうした期待にどう応えられるでしょうか。

ステファン・マルク:コミュニケーションを取り、こちらから働きかけることが大切です。また、人々が助けを求めてきたときには手を差し伸べることです。心を開き、自分の時間を惜しみなく使ってください。これはおそらく、私が普段からしていることです。人々にもそうあってほしいと思いますし、自分もそうした姿勢を返せていればと思います。

Meet the Leader/リンダ・ラシナ:パンデミックをはじめ、この数年の多くの課題によって、リーダーシップのあり方が変わりました。パンデミックや最近のウクライナ危機は、リーダーとしてのあなたにどのような影響を与え、どのような能力を高めましたか。

ステファン・マルク:以前より、さらに人を気遣うようになりました。「チーム」や「ウェルビーイング」といった言葉の価値を、ようやく実感したのです。今では、人々こそが最も重要な資産だと深く理解しています。彼らを大切にし、失望させず、必要なものをすべて提供して、安心して問題なく力を発揮できるようにすることが、最善の方法です。仕事に喜びを感じられるような環境を整えることも必要です。

この経験が私を変えました。私は毎日、チームはどこにいるのか、どんな気持ちでいるのか、元気にしているか、何かできることはあるか、もっと時間を割けるか、望む水準で働けるようほかに提供できる資源はあるか、と考えています。

あるいは、ただ話を聞くこともあります。相手が話を聞いてもらえたと感じられるようにしてください。いつも問題を解決する必要はありません。そばにいるだけで十分なこともあります。そうしたことが自分の中に根付きました。これが私を変えたのだと思います。「結果を出さなければならない」という考えは薄れ、「最高の環境で最高のチームにならなければならない」という考えに変わりました。私たちがすべきことをすべて行えば、経済面でも良い結果につながると確信しています。

「最高の環境で最高のチームになる必要があります。」

ステファン・マルク、カーニー、シニアパートナー兼マネージング・ディレクター

Meet the Leader/リンダ・ラシナ:仕事に喜びをもたらすには、どうすればよいですか。

ステファン・マルク:このテーマについて、先日、同僚と話をしました。仕事に喜びを感じられる環境をどうつくるか。人々が自分らしくいられ、仕事でやりたいことに取り組めるようにする必要があります。そのために唯一できることは、彼らの話を聞くことです。

指導が必要な人もいます。やりたいことを聞き、それを認めたり、実現できる立場に置いたりすればよい場合もあります。また、本人が本来の自分でいられるよう、ニーズに配慮することも大切です。家庭での自分と職場での自分が同じであり、働くために複数の人格を使い分けなくて済むようにするのです。

こうしたことがうまくいけば、多くの人にとって、朝起きるのが楽しみになるでしょう。「あの人たちと一緒にいられるから、あの職場へ行こう。周りにあの人たちがいて、自分らしくいられるし、やりたい仕事ができる」と、自分に言えるようになるかもしれません。

話を聞き、関わりを持ってください。時間を提供し、自分が使える時間や資源を惜しみなく使いましょう。全員が話を聞いてもらえるようにしてください。できるだけ頻繁にコミュニケーションを取り、近くにいてください。

このインタビューは、長さと明瞭さを考慮して編集されています。

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