人材の獲得と定着は、CEOが抱える最大の懸念事項の筆頭です。
しかし、「よりインクルーシブな企業文化の構築」は懸念事項のリストでかなり下位にあり、最重要課題の解決に大きく役立つ可能性があります。
今日の人材獲得競争が激しい労働市場では、ビジネスリーダーは優秀な従業員の採用と定着について多くの時間を費やして頭を悩ませています。しかし、新たな報告書によると、問題解決に大きく役立つはずの取り組みに、彼らは不思議なほど注意を払っていません。
新たなコンファレンス・ボードの調査(PDF)は、CEO740人を含む幹部1,520人を対象とし、世界のCEOにとって最大の懸念は、優秀な人材を獲得し、最も優れた社員に働き続けてもらうことだと確認しています。「多くの成熟経済では、高度な能力を持つ従業員の需要が供給を上回っており、その結果、求人の充足が難しくなっている」とコンファレンス・ボードは指摘します。実際、人材獲得競争は、米国、欧州、ラテンアメリカ、中国のCEOにとって最大のストレス要因でした。(日本だけは異なり、最大の懸念は「次世代」リーダーの育成でした。)
しかし、この調査からは、CEOが人材問題を孤立した課題として捉え、優秀な人材の採用と定着に大きく役立つ可能性のある取り組みを、はるかに軽視している様子もうかがえます。たとえば、「よりインクルーシブな企業文化の構築」は懸念事項の第10位にとどまりました。より効果的な人事評価の実施は第11位、労働力の多様性は第14位でした。そして、同一労働同一賃金は第16位にまで下がっています。これは、CEOがその問題は解決済みだと考えている(その可能性はまずありません)か、女性やマイノリティに公正な賃金が支払われるかどうかを、あまり気にしていないことを示唆しています。
CEOが自社の主要な社内優先課題をどう順位付けしているか
CEOがインクルーシビティや同一賃金の優先順位を低くしたのは、これらの面ではすでに十分に対応できていると考えているからかもしれません。そうだとすれば、彼らは、世界14カ国の従業員16,000人以上を対象にした別の最近の調査で、ボストン・コンサルティング・グループが明らかにした傾向を繰り返していることになります。ハーバード・ビジネス・レビューに寄稿したBCGシニア・パートナーのマット・クレンツは、次のように説明しています。
「多様な背景を持つ従業員の半数が、日々の仕事で偏見を感じると答えました。また半数は、昇進や挑戦的な業務の割り当てなどの重要な決定が偏見なく行われるよう、自社に適切な仕組みが整っているとは思わないと答えています。これに対し、リーダー層の大半を占める傾向にある白人の異性愛者男性は、日々の職場体験や重要な決定に偏見はないと答える割合が13ポイント高くなりました。」
自分の属性を理由とする偏見を受ける可能性が低い人が、偏見が問題かどうかを判断するのに最適とは限りません。この盲点によって企業が優秀な人材を失うこともあります。広告・メディア業界で女性や有色人種の人々の定着を図る取り組みを取り上げた、ウォール・ストリート・ジャーナルの記事がその例です。ベライゾンの最高マーケティング責任者、ディエゴ・スコッティは同紙にこう語っています。「人々が働き続けられる環境を整えなければ、採用でどれほど素晴らしい成果を上げても、人々は定着しません。」
新年は、多くの人がこれから数カ月の優先事項を見直す時期です。CEOも自分たちの優先順位を少し見直す時かもしれません。


