今日のCEOの報酬は平均給与の130倍。今こそこの問題を話し合う必要がある

A participant walks past a poster at the Asian Financial Forum in Hong Kong January 20, 2010.
The gap between executive and average pay has increased dramaticallyImage: REUTERS/Bobby Yip
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よく聞いてほしい。これは大統領選当選者の発言だ。「恥ずべきことだ……こういう連中[CEO]が莫大な金を稼いでいる。まったくもって冗談のようだ」と、ドナルド・トランプは2015年9月にCBSニュースに語った。次期大統領は、大企業の現状を非難し、格差を批判し、すべての人に仕事がある、より良いアメリカ、再び偉大になるアメリカを約束することで、選挙戦を勝ち抜いた。

また、2016年6月に英国で行われたEU加盟をめぐる国民投票では、離脱派のキャンペーンも、いわゆる「太った猫」や、EU残留を主張する企業利益を攻撃した。銀行家や経営者は敵として描かれ、一般の人々が苦しむ一方で、自らの仕事に対して過剰な報酬を得ているとされた。離脱派は、自らの訴えをより大きな経済的公正を求めるもののように聞こえさせた。

こうした有権者への訴えが選挙運動のレトリック以上のものだったのか、今後数か月、数年のうちに明らかになるだろう。しかし、疑いの余地はない。企業は、経営トップとその他の従業員との賃金格差が大きくなりすぎたという批判を受けやすい。この攻撃には力がある。有権者の意識を変え、重要な選挙の結果を左右しかねない。

ILOによる最近の調査、『世界賃金報告』によると、欧州で最も賃金の高い労働者の上位10%が合わせて得る賃金は、下位50%が得る賃金とほぼ同じだという。「一部の企業が一部の個人に極めて高い賃金を支払うことで、賃金が著しく不均等に分布する『ピラミッド』が生まれる」と報告書は述べている。FTSE100企業の数字も同様の状況を示している。20年前、平均的なCEOの報酬は企業の平均的な従業員の約45倍だったが、今日、その比率は約130倍に達している。

『世界賃金報告 2016』Image: 国際労働機関

これだけでも、大企業の報酬委員会が、経営トップの行き過ぎをどれほど効果的に抑えているかを振り返る理由になるかもしれない。しかし、懸念すべきなのはポピュリストの叫びだけではない。ハーバード大学のマイケル・サンデル教授は、自ら「能力主義の傲慢」と呼ぶものに警鐘を鳴らし、それは「道徳をむしばむ」と述べている。「制度が才能と努力に報いるという信念は、勝者に自分の成功を自らの手柄、つまり自分の徳の証しと見なさせ、恵まれない人々を見下させる」と、彼は12月に『オブザーバー』紙に書いた。この制度の敗者にとって、いわゆる能力主義はむしろ「段と段の間隔がますます広がるはしご」のように見える。

経営トップの巨額報酬は避けられないと主張されることがある。グローバル化、競争、技術変化によって、リーダーの役割ははるかに重要になった。「人材獲得競争」があり、CEOになれるのはごく少数の並外れた人々だけだ。需要は大きく、供給は限られている。当然、報酬は急上昇したというわけだ。

経営トップの重責は今に始まったことではない

しかし、こうした主張はおおむね自己弁護にすぎず、少し吟味すれば成り立たない。企業は常に国際的な存在であり、技術変化も常にあった。CEOを務めることが容易だった時代はない。二度の世界大戦、ハイパーインフレ、金融危機、冷戦、石油価格ショックがあった20世紀の歴史は、決して穏やかで安定した時代ではなかった。

企業の規模だけでは、CEOへの巨額報酬は正当化できない。Sainsbury'sとRBSの元会長で、現在はGlaxoSmithKlineの会長を務めるフィリップ・ハンプトン卿が指摘するように、企業が大きいほど、その功績をトップに帰すべき度合いは小さいとも言える。事業を支える上級幹部や企業インフラは広範に整っている。いずれにせよ、優れたコーポレートガバナンスの下では、重要な決定は個人のCEOが単独で下すのではなく、チームで行う必要がある。それなら、なぜCEOが提供される報酬のうち、これほど不釣り合いな取り分を受け取るべきなのだろうか。

企業内で報酬が最も高い従業員と賃金の中央値に当たる従業員との比率を義務的に公表すれば、賃金格差に光を当てる助けとなる。米国ではドッド・フランク法に基づく報酬比率の開示がようやく始まり、英国でも現在の協議手続きが終われば続く可能性がある。透明性が高まれば、取締役会に自制を促す圧力となる。

労働組合の衰退は、経営トップの報酬が急増した時期とも重なっているようだ。選挙で選ばれた代表を通じて、従業員の声を報酬委員会に再び届けることも、議論を現実に即したものにする助けになるかもしれない。もちろん、株主も自制を促すために、もっと行動できる。あまりにも長い間、受け身に過ぎた株主は多い。

立法の限界

しかし、最終的に法律でできることには限りがある。経営トップの制御不能な報酬は、制度と文化に根差した問題だ。関係者全員が行動を変える必要がある。そして、強制されるのではなく、自ら異なる行動を選ぶほうが、その変化はより効果的で長続きする。

所得階層の低い人々の賃金を引き上げれば、格差を縮められる可能性がある。しかし、ILOの賃金報告書が明らかにするように、格差を縮める簡単で痛みのない解決策はない。報告書の著者パトリック・ベルサーは、『ガーディアン』紙にこう語った。「欧州では、企業内の格差が賃金格差のほぼ半分を占めています。最低賃金を設けるだけでは、賃金格差は解決しないということです」と述べた。

ダボス会議2017のテーマである「適応力と責任あるリーダーシップ」とは、深刻な所得(および富)の格差に効果的に取り組むことを意味しなければならない。そのためには新たな発想が必要だが、おそらく、過去30年で時代遅れとされた古い考えのいくつかを見直すことも必要だ。

『エコノミスト』誌のライターであり、『人間の富――21世紀における仕事とその不在』の著者でもあるライアン・エイヴェントによれば、「テクノロジーによって多くの労働者の雇用が不安定になり、報酬も減る世界では、再分配ははるかに手厚く、広く行われる必要がある」。

トランプ次期大統領がホワイトハウス入りし、英国政府がEU離脱交渉の開始に備えるなか、CEOは自社の成功を支えるだけでなく、事業を展開する社会を強くするために何ができるかを考える必要がある。

筆者は、ロンドンを拠点とするシンクタンク、ハイ・ペイ・センターの所長である。

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