ビジネスは喜びに満ちたものであるべきだ――スポーツ界に聞いてみよう

France's players celebrate with manager Didier Deschamps after winning the World Cup final in July last year.
France's players celebrate with manager Didier Deschamps after winning the World Cup final in July last year.Image: REUTERS/Kai Pfaffenbach
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喜びがもたらす実践的な力は、人間の営みのほとんどあらゆる領域でこれほど明白なのに、なぜビジネスリーダーは喜びを業績戦略の柱に据えてこなかったのだろうか。

チームスポーツをこよなく愛する私は、成功と喜びが結びついた数々の素晴らしい瞬間を思い起こします。チームが限界や困難をものともせず、目を見張るほどの力を発揮するとき、選手一人ひとりが――そして会場全体が――あふれる歓喜を味わい、それがチームをさらに高みへと押し上げます。成功が喜びを生み、喜びがさらなる成功を後押しするのです。

選手権を争う競技の場で明らかな喜びを、ビジネスでも再現できるでしょうか。もちろんです。どのようなチームでも、喜びは調和、承認、そして影響力の組み合わせから生まれます。リーダーである私たちは、ビジネスの世界や地域社会でそのすべてを育むことができます。

1. 調和。 勝利するチームの各選手は、全体目標の達成に自分が独自の貢献をしていることを強く自覚しています。チームが選手たちの多様な才能、役割、個性を効果的に融合させ、調和のとれたプレーにつなげると、全体は部分の総和を超えます。(「ヒーロー気取りの独りよがりなプレーはしない」)

2. 承認。 優れたバスケットボールのコーチは、選手がシュートを決めたら、シュートの機会を生み出すパスを出したチームメイトをすぐに指さすよう指導します。チームメイトの「アシスト」を直接認めることは、チーム全体の成功をもたらす具体的な行動を強化します。(「チームを第一に」)

3. 影響力。成功を分かち合うことは、人間が経験する最も満ち足りた喜びの一つであり、並外れて強く長続きする絆を築くこともあります。優勝チームは、共に味わった喜びを再び感じるため、勝利から何十年もたって再会することがあります。彼らは、そのつながりが最も意義深い思い出の一つだと語ります。優勝できなかったチームでも、チームメイト同士が互いに深い足跡を残すため、個人的なつながりが続くことは少なくありません。(「共有されたレガシー」)

多くの企業が、従業員同士、顧客、その他のステークホルダーをつなぐ、こうした心に響くつながりを生み出すテクノロジーに多額の投資をしています。デジタル時代に業務上の競争力を維持するうえで、壁や境界を取り払う超接続性が重要だと捉えられています。しかし、社内文化が妨げとなり、足踏みしている企業も少なくありません。従業員は、慣れ親しんだ自部門の枠や居心地のよい領域にとどまることで、習慣的に安全を求め、新しいつながり方や働き方を十分に取り入れるために必要な変化に抵抗しています。

この根本的な障害を克服するには、企業は「つながりの文化」を育む必要があります。それはミレニアル世代にすでに顕著に見られるものです。そうした文化では、人々は進化する接続技術をビジネス戦略や業務に活用する意欲と準備の両方を備えています。喜んで助けを求め、助けを差し伸べ、情報を自由に共有するつながりが、自然に身につくのです。

しかし、新たな調査が示すように、テクノロジーは出発点にすぎません。さまざまな業界の、売上高20億ドル以上の企業に勤める従業員350人が、AT Kearneyの協賛で2018年12月に実施された世界規模の調査に回答しました。

回答者にはまず、仕事でどの程度喜びを感じているかを1~10の尺度で答えてもらいました。次に、一連の記述それぞれが自分の職場での経験をどの程度表しているかを、同じく1~10の尺度で評価してもらいました。この調査では、南北アメリカ(回答者の40%)、EMEA(40%)、APAC(20%)の人々の職場での経験を調べました。

この図は、仕事で高いレベルの喜びを感じる従業員(薄い灰色の棒)が各記述にどう回答したかを、喜びをあまり感じない人々(黒い棒)の回答と対比して示しています。

結果は、職場における顕著な「喜びの格差」と、その根本原因を示しています。仕事で喜びをあまり感じない人々(黒い棒)は、スポーツチームで喜びを目に見える形で生み出すような経験(一連の記述に反映されている経験)も少ないのです。ここから何が言えるでしょうか。ビジネスリーダーは、チームのあらゆる場面で喜びを生む経験を従業員により多く提供することで、社内における喜びの実践的な力をさらに引き出せます。

ビジネスリーダーは成功についてよく考えますが、喜びについて考えることはほとんどありません。自組織に「喜びの格差」があり、それが人と人とのつながりの不足を招いていることに気づいている人は、おそらくごくわずかでしょう。これは変えなければなりません。喜びには、テクノロジーと同じくらい大きな変革をもたらす力があります。前例のない課題に大規模な組織が機敏に対応し、意思疎通を図って適応するための結束を維持するには、その両方が必要です。テクノロジーはつながりのための基盤を提供しますが、その土台には、調和、承認、影響力という人間の経験を大切にする文化がなければなりません。つまり、喜びです。

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