リーダーという役割は難しく、難しい決断と大きなプレッシャーに満ちています。
ツールキットがあれば、リーダーはストレスの多い環境に対応し、正しい判断を下せます。
世界的に著名なリーダーシップ専門家、マイケル・ユースィム氏が、極めて重要な16の原則を含む『リーダーのチェックリスト』について語ります。
『リーダーのチェックリスト』の刊行10周年記念版で、世界的に著名なリーダーシップ専門家であり、ウォートン校の経営学教授でもあるマイケル・ユースィム氏が、あらゆる課題に立ち向かうためのツールをリーダーに提供します。
ユースィム氏は著書で、予測不能でストレスの多い環境において、リーダーシップが真に問われる瞬間に、適切なタイミングで適切な判断を下す力を養うための、極めて重要な16の原則を紹介しています。
ウォートン・スクール・プレスのシニアエディター、ブレット・ロジュラート氏がユースィム氏に話を聞き、著書の新版や、すべてのリーダーが「CEOのように考える」べき理由、そして自分たちにとってなじみのない環境にいるリーダーを観察して何を学べるかについて語り合いました。
以下は、会話を編集した記録です。
ブレット・ロジュラート:ご著書『リーダーのチェックリスト』の刊行10周年記念版の出版、おめでとうございます。初版を執筆してからの10年間で、最も大きく変わったことは何ですか。
マイケル・ユースィム:初版の刊行後、私はかなりの時間をかけて、特に民間部門、そして公共部門のトップ経営者たちと話し、彼らが仕事を成し遂げ、自分たちや取締役会、投資家(民間企業の場合)にとって納得のいく形で成果を上げる様子を見てきました。
ある意味では、10年前に真実だったことが今も真実であるという点で、何も変わっていません。たとえば、チェックリストの項目の一つに「自分の人となりを伝える」があります。人は文字どおり、あなたがどんな人なのかを知りたがります。何を大切にしているのか。どんな価値観を持っているのか。
もう一つの原則は「その場に敬意を払う」です。これは政治家がよく使う表現です。ウェブ上であれ、公の場や対面の場であれ、人々と会うとき、相手は自分が誰なのかをあなたが理解し、組織のリーダーたちと協力して自分の仕事をしていることに、どれほど感謝しているかを知りたがります。たとえば、初版の『リーダーのチェックリスト』で私がまとめた当初の15項目のうち、この二つは当時と同じように今も真実です。
「人は文字どおり、あなたがどんな人なのかを知りたがります。何を大切にしているのか。どんな価値観を持っているのか。」
とはいえ、当初の15項目に含めた原則のうち、(一部は)[パンデミックの間に]以前にも増して重要になりました。それらに注目し、意識を向ける理由が増えたのです。戦略的に考え、行動することへの重視が強まっていると思います。これはその原則の一つです。この点は、ハービル・シン氏と共著した別の著書『戦略的リーダーのロードマップ』にもつながっています。
二つ目は「断固として決断する」です。時計の進み方は速まり、問題もより早く表面化します。顧客は以前にも増して乗り換えやすくなっています。特に、乗り換えコストがかなり低い時代にはそうです……断固として決断し、すぐに実行に移すことが本当に必要です。これが、どのリーダーのチェックリストにとっても最も重要な要素の一つだという確信は、ますます強まっています。
ロジュラート:初版の『リーダーのチェックリスト』には15の原則がありました。新版では16番目の原則が加わっています。なぜ追加したのか、またチェックリストのほかの項目をどのように補うのか、説明していただけますか。
ユースィム:新版の16番目の原則は、とても簡潔です。「CEOのように考える」。
この原則を加えたのは、最高経営責任者、国の首相や大統領、州知事、地域社会のリーダー、病院のトップ、あるいは皆さんが関わるあらゆる組織の責任者にとって、ほかの15項目を最も効果的に実践する方法の一つだと思うからです。リーダーシップには、考え方と行動の大きな多様性が求められます。
それらの要素がすべて必要な理由を理解するには、自分の職場のトップに立つ人について考えてみるのが一番だと思います。その人は何を考えているでしょうか。民間企業なら、株式アナリストのことを考えています。昨今では、株主アクティビストのことも考えています。現場で誰を採用するかも考えています。さらに、特に厳しい一年だったとき、どうすれば士気を高く保てるかも考えています。
「CEOのように考える」という言葉は、何か行動を起こすとき、判断を下すとき、あるいは人を採用するときに、『リーダーのチェックリスト』にあるほかの15の重要項目すべてを考慮するための手立てです。全体を網羅する必要があります。包括的なリーダーになる必要があり、CEOのように考えることでそれが実現できます。
ロジュラート:原則を示しても、リーダーにはそれを実践する力が必要です。誰もがチェックリストを自分に合わせて調整し、試し、行動に移すにはどうすればよいか、話していただけますか。
ユースィム:重要な点です。たとえば、民間航空機のパイロットなら、会社と規制当局(米国の場合はFAA)が、離陸前に燃料、飛行計画、重量、衝突防止レーダーを確認するよう求めます。渡されたチェックリスト、つまり飛行前点検リストに従う以外に選択肢はありません。
「包括的なリーダーになる必要があり、CEOのように考えることでそれが実現できます。」
外科医も同じです。医療センターの手術室に入ると、通常「タイムアウト」と呼ばれる19項目または20項目の確認を行います。患者は正しいか。今日置換するのは右膝ではなく左膝か。こうした項目すべてを確認するのには、十分な理由があります。パイロットが燃料の確認を忘れたり、手術室で患者の氏名の確認を忘れたりする一方で、ほかのことはすべて正しくできていたとしても、深刻な事態になりかねないからです。
そうした例を踏まえると、重要なのは原則を実践し、心に刻むことです。リーダーシップについては、心に刻むべき内容があらかじめ与えられているわけではありません。何が最も重要かを、自分たちで考え出し、自分自身の経験から築き上げなければなりません。だからこそ、リーダーシップのチェックリストはパイロットや外科医のチェックリストと大きく異なり、自分たちで作る必要があるのです。
国によって状況は異なり、企業や地域社会によって事情も[大きく異なります]。Googleを率いるためのチェックリストは、ゼネラル・エレクトリックを率いるためのものとは大きく違います。米国で使うチェックリストは、インド、韓国、タイ、中国で必要となるものとは大きく違うでしょう。
ほかのチェックリストにも目を通すことを強く勧めます。本にはいくつか例を載せています。それらを土台にして、自分自身のものを作ってください。必ず自分に合ったものにし、置かれた環境の懸念事項や文化に対応させましょう。そのうえで試してください。原則の一つに従わなかったらどうなるかを確かめます。自分の環境に当てはまらない原則があれば、様子を見ても何も起きないかもしれません。その場合、その原則は必要ないでしょう。つまり、自分に合わせて調整し、試し、見直し、改善し、作り込み、実行に移すのです。
ロジュラート:本に登場する、特によく知られた事例の一つは、CVSと元CEOのラリー・マーロ氏に関するものです。CVSがたばこや紙巻きたばこについてどのような対応を取り、それが『リーダーのチェックリスト』のより広範な原則とどう結びつくのか、説明していただけますか。
ユースィム:CVSは非常によい事例です。当時、CEOのラリー・マーロ氏のもと、薬局を併設した店舗を全米に約10,000店展開していました。レジの近くに置かれることも多かったたばこ製品が、ジレンマを生み始めました。戦略的に考えると、顧客が抱える健康問題の解決策を提供することが、今後、店舗網の成長をますます左右するようになると彼は考えました。店に入ってすぐ目につくところにたばこ製品があるのは、人々の健康増進を支援する戦略と、ほとんど矛盾し、その実現を妨げるものでした。
「Googleを率いるためのチェックリストは、ゼネラル・エレクトリックを率いるためのものとは大きく違います。」
十分に考え、分析を重ね、何度も議論し、現場の幹部や取締役会と話し合った末、彼は取締役会の承認を得て、CVSからすべてのたばこ製品を撤去することを決めました。短期的には非常に高くつく決断でした。株価は大きく下落し、店にまったく来なくなった客もいたため、店舗の売上は大幅に落ちました。
その結果、CVSの周辺地域ではたばこの消費量が大幅に減り、公衆衛生に劇的な影響がありました。公衆衛生におけるたばこの影響に関する研究から推測すると、その結果、健康状態は改善したと考えられます。
ラリー・マーロ氏は、顧客により良い医療サービスと健康関連商品を提供するという[会社の]ビジョンに戦略を沿わせようと努めました。その過程で、医薬品とたばこを同じ店で販売する戦略は、両立しにくいように見えてきました。私がリーダーのチェックリストで取り上げた具体的な原則のいくつかを[体現しながら]、リーダーらしい方法で、彼は店舗網を別の方向へ導きました。私の見方では、彼はリーダーシップの最良の形を実践しました……そして今日、CVSはその決断によってより良い企業になっています。
ロジュラート:本には、ビジネス以外の事例も数多くあります。優れたリーダーシップが必要な非営利の状況にも、リーダーのチェックリストはどのように活用できますか。
ユースィム:リーダーシップの根本には、あらゆる場面に通じる普遍性があります。政治のリーダーシップをもっと良くしなければならない、企業のリーダーシップをもっと良くしなければならない、地域社会のリーダーシップをもっと良くしなければならないと、私たちがいつも言うのは、その点を理解しているからです。
ときには、遠く離れた場所に目を向けることで、自分の身近な場所で必要なリーダーシップがよりよく見えてきます。私は、聞き手や視聴者の皆さんに、これまで直接関わったことのない組織を見てみることを強く勧めます。軍に所属したことがなければ、たとえば本でも取り上げた米国陸軍士官学校(ウェストポイント)で何が教えられているかを見てください。軍にいるなら、ゼネラル・エレクトリック、Google、アメリカン・エキスプレスが何をしているかを見れば、自分の環境で何をすべきかを考えるうえで参考になります。
この本は、変化を起こしたいと願うすべての人に向けたものです。スタートアップ、民間企業、地域社会に貢献する非営利団体、病院、医療センター、診療所、企業、さらには地域社会や国での取り組みも対象です。
さらに強調しておきたいのは、リーダーシップに何が含まれるかについて、完璧な解決策や定義を持つ人はいないということです。しかし、海外に目を向け、自分たちの組織の外にいる人々を、同じ業界以外の人も含めて観察すれば、自分たちの環境で何が重要かについて、多くを学べると思います。



