比喩は言葉の道具であり、それを使いこなすリーダーたちは、複雑な考えを簡潔な表現に凝縮できます。
スイスのダボスで開催された世界経済フォーラムの第56回年次総会は、2026年1月19日から23日まで行われ、世界のリーダーたちから数々の比喩が披露されました。
今年、世界が直面する課題をより深く理解する助けとなる、切れ味のある一言を選びました。
毎年1週間、世界を代表する人々がダボスに集うのですから、新たな発想や気の利いた比喩を持ち帰れるのも当然です。
リーダーたちは比喩を好みます。あるものを別のものになぞらえる比喩は、複雑な問題を手短に説明できるからです。平板な情報を、人々が思い描き、感じられる鮮やかな物語に変えてくれます。
比喩は、たしかに何も決めはしないが、人をより安心させることはある。
ジークムント・フロイト
メッセージに説得力があり、記憶に残るほど、それが行動につながる可能性は高まります。ダボスのリーダーたちはそのことを知っています。
2026年のダボスで比喩の女王といえば、国際通貨基金(IMF)専務理事のクリスタリナ・ゲオルギエワでした。彼女は問題をプードルからアコーディオンまで、さまざまなものになぞらえました。
世界経済フォーラムの第56回年次総会から、特に印象的なものを選びました。
アコーディオンなどについて語るクリスタリナ・ゲオルギエワ
今年、世界が経験した貿易摩擦について、ゲオルギエワはこう述べました。「大きなジャーマン・シェパードが吠えると思っていました。ところが、かわいらしい小さなプードルでした。」
結局、吠えるだけで、噛みつきはしませんでした。
過剰な政府規制を、彼女は大掃除になぞらえました。「家でするように、ときどき規制を見直してください。何が必要ですか。何が不要ですか。不要なものは取り除きましょう。」
また、AIが不平等をさらに拡大する可能性について、こう述べました。「世界全体ですでにAIの到来を経験していますが、機会のアコーディオンが、ある場所では他の場所よりもずっと大きく広がっていることを懸念しています。」
食卓について語るマーク・カーニー
地政学が激動するなか、多くのミドルパワーのリーダーたちが結束と協力の重要性を強調しました。カナダのマーク・カーニー首相は、課題を簡潔にこうまとめました。
ミドルパワーは共に行動しなければなりません。食卓に着けなければ、私たちはメニューに載ることになるからです。
マーク・カーニー、カナダ首相
よく味付けされたサラダを語るウォロディミル・ゼレンスキー
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領も食べ物の話題を取り上げました。議会ホールで率直な演説を行い、欧州に「行動する有志連合」が必要であり、それによって「共に大国となる機会」を得られると訴えました。
欧州が、欧州の敵を味付けにした小国とミドルパワーの寄せ集めのサラダにすぎないなどと、受け入れるべきではありません。
ウォロディミル・ゼレンスキー、ウクライナ大統領
ゼレンスキーは「団結すれば、私たちは本当に無敵です」と述べ、この点を強調しました。
色とりどりのキルトを語るブラッド・スミス
データセンターの建設に関して、世界は「異なる色の布地をつなぎ合わせたキルト」だと、マイクロソフトの副会長兼社長ブラッド・スミスは述べました。
米国ではデータセンターの建設が阻まれています。一方、欧州では各国政府が納税者の資金を使って建設を支援しようとしています。主な違いの一つは、米国でデータセンターを運営する企業には、エネルギーや水の供給をめぐる地域住民の懸念を和らげ、誰が恩恵を受けるのかを説明する責任があることです。

船とパイを語る何立峰
中華人民共和国の何立峰副首相は、火曜日の朝に特別演説を行いました。一国主義と保護主義の高まりに警鐘を鳴らし、各国に結束を呼びかけました。
「世界的な危機の激流の中で、各国は約190隻の小舟に別々に乗っているのではありません。私たちの共通の運命がかかる巨大な船に乗っているのです。」
経済発展に関する次の比喩は、火曜日の昼食直前だったことと関係があったのかもしれません……
パイを奪い合うより、共にパイを大きくすることのほうが重要です。互いを責めるより、共に問題を解決するほうが効果的です。
何立峰、中華人民共和国副首相
きっかけが何であれ、誰にでも理解できるメッセージです。


