北朝鮮をめぐる5つの誤った思い込み

North Korean leader Kim Jong Un guides the launch of a Hwasong-12 missile in this undated photo released by North Korea's Korean Central News Agency (KCNA) on September 16, 2017. KCNA via REUTERS ATTENTION EDITORS - THIS PICTURE WAS PROVIDED BY A THIRD PARTY. REUTERS IS UNABLE TO INDEPENDENTLY VERIFY THIS IMAGE. NO THIRD PARTY SALES. SOUTH KOREA OUT. - RC126E7945E0
The reality of North Korea is far more complex than what is shown to the world.Image: REUTERS
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北東アジアが瀬戸際にある誰の手にも負えない規模にエスカレートしかねない紛争の瀬戸際にある今、北朝鮮について正確な情報を得て、国と指導者の金正恩をめぐるありきたりな戯画的イメージを超えて理解することは、かつてなく重要だ。北朝鮮に関する多くの誤解が人々の意識に根強く残っているため、それは容易ではない。

1.「狂った金正恩」説

2004年のコメディー映画『チーム★アメリカ』に登場する金正恩の父、金正日は、金政権は非合理的で、狂気じみており、邪悪だという認識を広め、またその認識によって形作られる、北朝鮮に対する一般的な見方を象徴している。

こうした戯画的な見方は、北朝鮮政策を構築する土台として適切ではない。

この見方を支持する人々は、金政権のひどい人権侵害の記録や、北朝鮮独自の権威主義的な政治体制の頂点に金一族をとどめるために設けられた、オーウェル的な社会統制を指摘する。

政権の強制力を担う機関が、北朝鮮の人々に対する「邪悪」とみなされうる犯罪に関与してきたとしても、それだけでは、なぜこうした行為に及ぶのかを説明するには不十分だ。

この「なぜ」は重要だ。リスク分析に情報をもたらし、北朝鮮との戦略的なやり取りで働きかけるべき要所を明らかにする。

この論理を好む必要も、その戦略的な有用性に同意する必要もない。それでも、そこに合理的な戦略が働いていることは理解できる。金正恩と政権を、北朝鮮の政治、経済、文化、生態の各システムが複雑に絡み合う中で生じる誘因と制約の文脈に位置づける必要がある。

最近の展開の渦中から一歩引き、現状を北朝鮮の政権存続戦略という、より広い文脈に位置づけることが有益だ。

政権による残虐な人権侵害は、国内の権力を固めるための措置の結果である。

金一族は時を経て、制度上の潜在的なライバル同士を競わせ、クーデターを防ぐことで支配を維持する手腕を磨いてきた。また、制度の序列の中で目立ちすぎるようになった人物を粛清し、権力基盤を保ってきた。

政権の強制力は、監視や社会統制、イデオロギーの教化を通じて、制度から人々の日常生活にまで及んでいる。こうした抑圧的な措置が、権威主義的な独裁体制で政治が行われる際の合理的かつ予測可能な手段であるというのは、残酷な現実だ。

2.「非合理的な金正恩」説

このことは、北朝鮮の人権侵害を、対外関係における非合理性とみなされるものと安易に結びつける前に、立ち止まって考えるべきだということでもある。

ここでは、北朝鮮の外交政策に固有の論理を理解する必要がある。そのために、北朝鮮は強力な軍事力こそが安全を保証する唯一の信頼できる手段だと考えている。

北朝鮮の外交政策は概して、戦略的に敵対的とみなす環境の中で、軍事力を唯一信頼できる安全保障の手段として重視している。核兵器と弾道ミサイルの能力は、この世界観を実際に体現する究極の手段である。

北朝鮮自身の視点から行動を分析すれば、その行動の論理を認識できる。それは、その論理に賛同するという意味ではない。しかし、そうした行動に対応するための、より十分な情報に基づく土台となる。

3. 北朝鮮の大仰な公式声明を真に受ける

北朝鮮とその核開発計画をめぐる報道は、北朝鮮と米国の圧倒的な軍事力の格差が存在しない、別世界で行われているかのように見えることが多い。

トランプ政権の立場は、北朝鮮の指導部を邪悪で予測不能とみなし、「狂った金正恩」という考え方の論理に乗っているように見える。北朝鮮の核兵器・弾道ミサイル計画と、米国の壊滅を一貫して脅すプロパガンダを、米国に対する明白かつ差し迫った脅威と捉えている。

「狂った金正恩」説が示す最悪のシナリオに恐怖を感じるのはたやすい。しかし、その立場の戦略的な論理は成り立たない。

朝鮮中央通信や北朝鮮の関連宣伝機関は、米国、韓国、日本を破壊すると脅してきた長い歴史を持つ。しかし、扇情的な言辞は強さではなく、弱さの表れであることを心に留めておくべきだ。

北朝鮮は、小さく孤立し、経済的に弱い国であり、より大きく豊かで、軍事技術の進んだ国々に囲まれている。その政府が存続を確かなものにするために利用できる影響力の源は、きわめて限られている。

威圧的で強硬な言葉によって恐怖を与えることは、北朝鮮攻撃を検討しかねない外部勢力に負わせるリスクを引き上げるための、同国の実績ある戦略の一つだ。

政権存続という観点からこうした言辞の戦略的な目的を理解すれば、言葉による脅しに伴うリスクを評価する際、適切な割り引きを加えることができる。

これは北朝鮮の脅威を軽視することではなく、その脅威を適切な文脈で解釈するということだ。

4. 能力と意図は同じではない

北朝鮮が力を誇示するもう一つの手段は、核兵器開発計画である。

ここで重要なのは、軍事力を持つことが、それを使う意図と自動的に同義になるわけではないと強調することだ。徹底したリスク評価を行うには、北朝鮮の軍事技術が持つ能力そのものを超える情報が必要である。

北朝鮮の核実験やミサイル発射は、抑止の観点から理解できる。

長期にわたる北朝鮮戦略の分析は、指導部が何よりも政権の存続を重視し、敵対的な戦略環境で自国を守るには核兵器が必要だと考えていることを示唆する。北朝鮮が米国や地域の同盟国に先制攻撃を仕掛ければ、米国の圧倒的な報復を招き、政権は必然的に終焉を迎える。

残念ながら一部のメディアは、北朝鮮のさまざまな弾道ミサイルの運用射程を示す同心円状の地図を掲載しながら、ミサイルが配備される戦略的な背景を説明せず、この文脈を知らず知らずのうちに誤って伝えている。

たとえば、北朝鮮の多段式大陸間弾道ミサイル「銀河3号」の射程には、理論上、シカゴやロサンゼルスだけでなく、北京、ムンバイ、モスクワ、ダーウィンも入る。

これらの都市は、北朝鮮にとって潜在的な標的として戦略的価値を持たない。しかし、ミサイルの射程地図だけからそれを理解できなくても、専門家でない人を責めることはできないだろう。

5. 金一族の先に目を向けない

金正恩に焦点を当てる北朝鮮報道は皮肉にも、指導者を国全体と同一視する北朝鮮の公式プロパガンダを反映している。北朝鮮の実態は、はるかに複雑だ。

金政権の強制収容所制度と人権侵害は、十分に記録されている。しかし、北朝鮮の人々全員が飢えているわけでも、収容所にいるわけでもない。

平壌やその他の大都市の住民の生活水準は、北朝鮮の基準では比較的高い。これは、市民が規則に従い、仕事に励む動機となっている。

北朝鮮には多様な生活経験がある。人々はそれぞれが置かれた社会の中で、できる限りうまく暮らそうとしている。

こうした生活経験は、ダイナミックな社会変化の過程によって形を変えつつある。経済制裁よりも、中国経済とのつながりの方が、北朝鮮の一般市民の暮らしや国内政治を大きく変えてきた。

市場化の進展によって、北朝鮮経済では都市部の大衆文化や消費習慣に目立った変化が生じている。こうした変化は、北朝鮮の経済特区を通じて広がってきた。

市場活動を支える供給業者と顧客のサプライチェーン網は、公式の社会統制の外で社会を組織する道筋を提供する。新興富裕層の北朝鮮市民が台頭し、国の経済の力学を変え、政府と人々の関係を作り変えつつある。

核問題を超えて目を向ければ、国際社会の関係者が核の脅威を管理し、壊滅的な大規模紛争のリスクを減らす助けとなりうる、北朝鮮に影響を及ぼし、関わるための別の道筋が見えてくる。

北朝鮮の核実験やミサイル発射は挑発的だ。しかし、戯画化された指導部の誤った描写ではなく、実証可能な戦略的論理に基づく十分な情報を踏まえた視点から、その脅威を解釈すべきである。

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