多様性・公平性・包摂は失敗した。代わりに、帰属・尊厳・正義を掲げてはどうか?

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• 既存のDEI施策は差別的な態度を明らかにするだけで、その被害を受ける人々への影響を和らげることはない。

• こうしたプログラムは依然として、白人が支配的な文化に根差している。

• 帰属・尊厳・正義は、周縁化された人々の声と経験を中心に据える代替的な価値観である。

過去30年にわたり、企業、非営利団体、財団、大学は、多様性・公平性・包摂(DEI)の産業複合体に依存し、人種、民族、ジェンダーの面で多様な職場をつくろうとしてきた。表向き、DEIは職場における長年の最重要課題に取り組むことを目指している。多くの人は、包摂と公平性を促す手続きを制度化すれば、公正と機会均等を確保し、職場での差別を避けられると考えていた。

善意に基づくものではあったが、DEIは成果を上げていない。これは偶然ではなく、意図された結果である。DEIの産業複合体は、特に1964年公民権法第7編に基づき、保護対象集団の人々から訴訟を起こされるのを避けるための予防的な防御策として生まれた。何十年もの間、フォーチュン500企業の大多数は、従業員向けにDEI研修やその他の施策を実施してきた。しかし、こうした取り組みが偏見の低減に与えた影響はわずかであり、行動の質的な変化や、職場で期待されるその他の変化もほとんどもたらしていない。

多様性施策は単なる見せ物なのか?

訴訟を懸念する雇用主は、変化をもたらす実質的な行動を取ることよりも、DEIプログラムがどう見えるかを気にしがちだ。実際、表面的なDEI研修や体験は、守ることを目的としている当の人々に、さらなる害やトラウマをもたらすことが少なくない。たとえば、広く普及しているDEIの手法の一つに「無意識の偏見に関する研修」がある。職場に潜在する反黒人意識や人種差別的な態度を明らかにすることを目指す一方で、職場で差別的な態度や慣行に苦しむ人々に及ぶ実際の影響を克服したり和らげたりする方法は、ほとんど示さない。

組織は、長期的な効果を得るために短期の研修プログラムに頼り始めている。しかしDEI研修は、参加する従業員が自分の行動に個人として責任を負わず、問題を自分の力の及ばない制度上の課題と捉える都合のよい機会になりうる。また、差別の加害者として標的にされたと感じ、関与をやめたり、DEIへの支持を弱めたりする人もいる。組織の信念や行動を変えるという難しい仕事は、研修を何度も実施したり、より「多様な」候補者を採用したりするだけでは実現できない。

包摂という幻想

多様性・公平性・包摂という概念を詳しく見ると、その枠組みは、「他者」を取り込むための既定の基準や現状が存在することを暗に示している。それは、白人で異性愛規範的な支配文化である。言い換えれば、多様であるとは白人支配文化とは異なることを意味する。公平性を追求するとは、この文化へのアクセスを得て、そこに属する人々と同等になることだ。そして包摂を求めるとは、白人で異性愛規範的な価値観を基準とする職場に入ることを望むことになる。包摂を掲げながら現状に焦点を当てることは、幻想であるだけでなく、同化を促す巧妙な道具でもある。

言うまでもなく、現在のDEIのアプローチでは、職場における個人レベルおよび組織レベルの課題に対処するには到底不十分である。人種差別、障害者差別、性差別、非人間化、反黒人意識に構造的に対処するには、組織の中で現状を解体し、揺さぶり、より多くを要求するための適切な手段を人々に与えなければならない。健全な職場環境を実現するには、まったく異なるアプローチが必要だ。

DEIとは異なり、BDJはこれまで周縁化されてきた人々の経験と声を中心に据えるImage: Decolonize Design

帰属・尊厳・正義

Decolonize Designは、まさにこの考え方を組織に提供する。それは、人類にとって最も貴重で普遍的な価値である帰属・尊厳・正義(BDJ)に着想を得たものだ。

これらの言葉を次のように定義する。

  • 帰属とは、身体的、感情的、心理的に安全であること、そして歓迎されていると感じる言葉にできない感覚である。

  • 尊厳とは、一人ひとりの人格が神聖であることを表す、最も普遍的な概念の一つである。

  • 正義とは、人々を癒やし、回復させることである。

BDJのプロセスは、本質的に人と人との関係を基盤とする。まず、内面の転換(メタノイア)を促し、信頼を築き、集団としての意識を高め、チームが行動に移るための緊張感を生み出すことを目的とした体験型学習セッションから始まる。チェックリストや、取引的で見せかけの変化を重ねるのではなく、BDJは誰もが潜在能力を最大限に発揮し、活躍できる環境と文化をつくる。

見せかけず、根付かせる

あらゆる戦略的要請と同じく、BDJは事業運営とチームづくりに不可欠な取り組みである。ただし、ほとんどの戦略的要請とは異なり、その目標はチームとの協働や対象とする人々へのサービス提供に、根本的に新しい方法をもたらす。BDJの道のりは、組織が現状を把握し、公式・非公式の両面で、同化、反黒人意識、非人間化を助長する環境づくりにどう関与しているかを見つめることから始まる。

BDJの鍵は、最も周縁に置かれている人々を中心に据え、専門性の捉え方を変えることにある。支配的な規範的価値観を学び直す過程で起こるパラダイムシフトを受け入れなければならない。

波及効果

「今日の決断は、7世代先まで持続可能な世界をもたらすものであるべきだ。」—イロコイの哲学

リーダーシップと取り組む覚悟があれば、このアプローチは成果をもたらす。私たちはここ数年、小売業から製造業、家庭向けブランド、音楽会社まで、さまざまな業種や分野でこの枠組みを活用してきた。こうした価値観を受け入れる企業は、BDJがつくる文化のおかげで、より持続可能で革新的になる。この波及効果は、従業員との関係から、パートナーやサプライヤーとのつながり、消費者のロイヤルティ、地域社会への影響にまで広がる。

クライアント各社では、次のような成果や変化が見られた。

社内業務BDJを組織に根付かせることで、企業における構造的に周縁化された人々の採用と定着が進んだ。BDJに取り組む企業の従業員は、心理的安全性が大きく高まったと報告しており、それは生産性の向上と、イノベーションを生む独自の環境につながった。実体験を尊重し、過去の害を認め、隠語的な表現に対処し、抑圧の仕組みによって最も大きな影響を受けた人々の回復を図ることで、企業は従業員の信頼を得られる。

社外との関係ブランドアイデンティティにBDJを取り入れると、顧客のロイヤルティとつながりが深まり、競争上の優位性も得られる。BDJを中心に据えた環境をつくることで、企業は新たなパートナーシップや顧客層を引きつける。さらに、企業が事業を営む都市や地域社会も、従業員や公共政策に影響を及ぼす非人間化や不正義に企業が異議を唱えることで恩恵を受ける。

世界経済フォーラムは、職場における人種的正義の実現にどう取り組んでいるのか?

投資収益率や利益の面で大きな成果があっても、私たちはその尺度だけで影響を評価しようとすることを避けている。人間らしさを保つ価値を測定することは、現状維持につながるだけでなく、見栄えだけの指標になる危険もある。私たちと協働する企業は、適切な環境と文化をつくる覚悟が必要だ。つまり、BDJを組織のアイデンティティに根付かせたいという意志、業界を率いる意欲、そして信念を表明する勇気が求められる。最終的に、この取り組みには、今日の影響だけでなく、後世に残すものにも関心を寄せる先見性のあるCEOのリーダーシップが必要となる。

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