会議でペンではなくノートパソコンを使ってメモを取ると、自分の成果だけでなく、同僚の成果も損なう可能性がある。
気が散るからというだけではない。
メモを手書きする代わりにタイピングすると、情報の記録方法が大きく異なることが、プリンストン大学とUCLAの研究者によって明らかになった。
ノートパソコンを使えば、手書きよりはるかに速く言葉を記録できる。そのため、メモを取る際には速記者のようになり、できるだけ逐語的に情報を書き留める傾向がある。
その結果、手書きでメモを取るときに行う重要な段階を省いてしまう。手書きは速度が遅いため、記録する前に頭の中で各要点をまとめ、できるだけ簡潔な表現にする必要がある。多くの場合、私たちはそれを意識していない。
研究者らは、このひと手間によって提示された内容への概念的理解が深まると結論づけ、「より良い成果につながる望ましい困難」と呼んだ。

心理学者らは、学生を2つのグループに無作為に分け、それぞれにノートパソコンまたはノートを割り当て、TEDトークを5本見ながらメモを取るよう求めた。その後、学生の理解度をテストした。ノートパソコンを使った学生は、手書きでメモを取った学生より、概念的理解度が大幅に低かった。
別の学生グループにはノートパソコンを渡し、逐語的にメモを取らないよう注意した。それでも成績は低かった。メモの取り方を意識しても、結果は変わらなかった。
タイピングは速いため、ノートパソコンでメモを取ると、一般により多くの言葉を使う。通常、メモが長いほど理解は深まる。しかし研究者らは、情報をまとめないことと、記録した内容の重複が多いことの両方が、この傾向を損なうと明らかにした。

ただし研究者らは、記録したメモの量が多ければ、ノートパソコンを使う人は後で内容を振り返りやすくなる可能性があると仮説を立てた。参加者は講義の1週間後にメモを見直してから、理解度テストを受けた。ノートパソコンを使った人の成績は、手書きでメモを取った人より依然として低かった。
さらに悪いことに、ノートパソコンの使用は、使っていない近くの同僚にも悪影響を及ぼす。

ノートパソコンでメモを取りながら、インターネット上の無関係な作業にも切り替えてマルチタスクをする同僚は、周囲の人の理解度を損なうことが、研究者らによって明らかになった。研究を行ったのはヨーク大学とマクマスター大学の研究者たちだ。
ノートパソコンを持たず、学習内容と関係のない情報をノートパソコンで調べているクラスメートが見える学生は、マルチタスクをする同級生が見えない学生と比べて、講義後の理解度テストの得点が17%低かった。
スーザン・ディナルスキー教授のように、すでに電子機器の使用を禁止した大学教員もいる。
企業もこれにならい、会議でノートパソコンを使えないようにすべきだろうか?
会議でどのような内容が提示されるかによる。予定や段取りなど、概念的な理解をあまり必要としない事実情報をメモするなら、ノートパソコンは最適だ。
一方、提示された内容を整理し、さらに発展させる必要がある会議では、ペンと紙を使うことが、自分にとっても同僚にとっても最善だ。
ノートパソコンを持ち込まなければ、理解が深まるだけでなく、人とのやりとりも改善するかもしれない。
「私がノートパソコンでタイピングしていると、メッセージを打っているかSlackを使っているのだと周囲に思われていることに気づきました」と、ジャーナリストのキム・ブイは書いている。
「今では、何かを発表するとき以外は、携帯電話とノートだけを持っていきます。そうすることで、私は全力でその場に集中していると伝わり、気が散る要因もなくなります。」

