専門家が語るフェイクニュースの未来

A laptop screen shows the homepage of Google.cn. in Beijing June 8, 2006. China's Web surfers have complained of problems opening Google Inc.'s main search engine Web site in the latest bout of Internet access problems afflicting foreign Internet sites. REUTERS/Jason Lee (CHINA)
Fake news has become a rising issue, but we need to understand that technology is not to blame.Image: REUTERS/Jason Lee
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2016年末、オックスフォード辞典は「ポスト真実」を「今年の言葉」に選び、「世論の形成において、客観的事実よりも感情や個人的信念への訴えのほうが大きな影響力を持つ状況に関する、またはそれを表す」と定義した。

2016年の英国のEU離脱投票と、激動の米大統領選は、デジタル時代がニュースや文化に関する言説にどのような影響を及ぼしているかを浮き彫りにした。新たな情報プラットフォームは、自分の見方に合う情報を探そうとする人々の昔ながらの本能を刺激する。2016年にFacebook利用者3億7,600万人と900以上の報道機関とのやり取りを分析した調査では、人々は自分の意見に合致する情報を求める傾向があることが分かった。

そのため、多くの人が誤情報を受け入れ、それに基づいて行動しやすくなっている。たとえば、2017年6月にフェイクニュースがイーサリアムの創設者ヴィタリック・ブテリン氏が自動車事故で死亡したと報じた後、その市場価値は40億ドル下落したと報じられた。

誤情報は、修理すれば済む配管の問題とは違う。犯罪と同じような社会的な状態であり、常に監視し、状況に応じて対処しなければならない。
— トム・ローゼンスティール

2017年初頭、BBC Future Nowが50人の専門家に「21世紀に私たちが直面する大きな課題」について聞いたところ、多くが信頼できる情報源の崩壊を挙げた。WIRED誌の共同創刊者ケヴィン・ケリーは、「ニュース報道における大きな新課題は、真実の姿が新しくなったことです。真実はもはや権威によって決められるのではなく、仲間同士のネットワークを通じて形作られます。あらゆる事実に反事実があり、オンラインでは反事実も事実も同じように見えるため、多くの人が混乱しています」と語った。

米国人もこの問題を懸念している。2016年の選挙直後に実施されたピュー・リサーチ・センターの調査では、成人の64%がフェイクニュースによって大きな混乱が生じていると考え、23%は自ら政治に関する捏造記事をシェアしたことがあると回答した。誤ってシェアした場合も、意図的にシェアした場合もあった。

そこで疑問が生じる。今後10年間で、オンラインの情報環境はどうなるのだろうか。2017年夏、ピュー・リサーチ・センターとイーロン大学のImagining the Internet Centerは、技術者、研究者、実務家、戦略的思考家などを大規模に対象とした調査を行い、次のような問題提起について意見を求めた。

「フェイクニュース」の台頭と、人間やボットによってオンラインで拡散される改ざんされた言説の増加が、出版社やプラットフォームに課題を突きつけている。虚偽情報の拡散を止めようとする人々は、虚偽情報を見分けて取り除き、ボットなどの仕組みによる嘘や誤情報の拡散を最小限に抑えるため、技術面と人間面の仕組みづくりに取り組んでいる。

問いはこうだ。今後10年間で、虚偽の言説を遮断し、情報生態系全体で最も正確な情報が優勢になるようにする、信頼できる手法は生まれるだろうか。それとも、信頼性に欠け、ときには危険で、社会を不安定化させる考えが広がることで、オンライン情報の質と真偽の確かさは損なわれるだろうか。

回答者には、次の選択肢から一つを選ぶよう求めた。

情報環境は改善する— 今後10年間で全体として、オンライン上の嘘やその他の誤情報の拡散を減らす変化によって、情報環境は改善する。

情報環境は改善しない— 今後10年間で全体として、オンライン上の嘘やその他の誤情報の拡散を減らすために設計された変化によっても、情報環境は改善しない。

この科学的な調査ではない意見聴取には1,116人が回答した。51%が情報環境は改善しないという選択肢を選び、49%が改善すると回答した。(この標本の詳細は「専門家への意見聴取について」を参照。)続いて参加者に回答の理由を説明してもらった。本報告書では、この追跡質問への回答を取り上げる。

回答からは、こうした脅威の性質や、それを解決するために必要と考えられる対策について、幅広い意見が明らかになった。一方、全体を貫く対立した論点は明確だった。状況は改善しないと考える人々は、人間はおおむね、技術の進歩を自分たちの、必ずしも高潔とは言えない目的に沿って形作り、悪意を持つ者が、今日の問題を解決しようとする技術革新者の最善の努力を妨げると考えていた。

一方、最も楽観的な人々は、人間性を導く善なる側面を引き出すための技術的な解決策を実施できると考えていた。

より具体的には、状況は改善しないと予想した専門家の51%は、主に二つの理由を挙げた。

フェイクニュースを取り巻く生態系は、人間の最も根深い本能の一部につけ込む。回答者は、成功と権力を求める人間の根源的な欲求、つまり「生存」本能が、今後10年間もオンラインの情報環境を損ない続けると述べた。人々に備わる快適さや利便性への嗜好、そして自分の考えを強化してくれるエコーチェンバーで答えを見つけたいという欲求につけ込むため、操ろうとする者たちは新たなデジタルツールを使うだろうと予測した。

人間の脳は、技術変化の速さに対応するようにはできていない。こうした回答者は、インターネットや新たなオンラインアプリケーションの速度、到達範囲、効率性の向上が人間のこうした傾向を増幅し、技術に基づく解決策では克服できないと述べた。信頼できる情報が偽情報に押しのけられる未来の情報環境を予測した人もいた。広範な情報詐欺や大規模な操作によって、多くの人々が市民生活において情報を得たうえで参加することを、ただ諦めてしまう世界を予見した人さえいた。

状況は改善すると予想した専門家の49%は、おおむね逆の見方をしていた。

テクノロジーはこうした問題の解決に役立つ。より楽観的な専門家は、インターネットやアプリ、プラットフォームの速度、到達範囲、効率性の向上を活用すれば、フェイクニュースや誤情報キャンペーンを抑えられると述べた。信頼できる事実に基づくニュースソースを生み出し、広めるための、より優れた手法が登場すると予測した人もいた。

人々が集まり、問題を解決しようとするのも人間の性質だ。この意見聴取で楽観的な専門家は、人々は常に変化に適応してきたのであり、今回の課題の波も乗り越えられると考えていた。誤情報や悪意ある者は昔から存在してきたが、賢明な人々や仕組みによって、やがて周縁に追いやられてきたと指摘した。善意ある人々が協力し、情報環境を改善する方法を見つけると期待している。また、市民の情報リテラシーが高まれば、内容の真偽を判断できるようになり、やがて議論の質も高まると考えている。

この意見聴取の参加者の大半は、自分の見解を詳しく説明した。回答に氏名を添えることを選んだ人もいれば、匿名での回答を選んだ人もいた。これらの調査結果は、考えられるすべての見解を代表するものではないが、注目すべき多様な見解を明らかにしている。

すべてのコメントを見るには、ピューの分析を参照。

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