シンガポールの都市型農園が食料安全保障を高める3つの方法

Organic vegetables are seen on growing towers that are primarily made out of polyvinyl chloride (PVC) pipes at Citiponics' urban farm on the rooftop of a multi-storey carpark in a public housing estate in western Singapore April 17, 2018. Picture taken April 17, 2018.
Urban farming is an excellent way to use space for agriculture.Image: Reuters/Loriene Perera
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  • シンガポールは2030年までに食料の30%を自国で生産することを目指している。現在の割合は10%に近い。

  • この目標を達成するため、市民にも、それぞれができる範囲で栽培に参加するよう促している。

  • 駐車場の屋上や再利用した屋外スペース、改修した建物の内部にある都市型農園で食料を生産することも、「30 by 30」目標の鍵となる。

危機に際して食料を確保し、暮らしやすい気候のために土地を保全する必要から、農業の重点は農村部から都市へと移りつつある。この変化の最前線にいるのが、都市ほどの規模の国シンガポールだ。同国は2030年までに食料の30%を自国で生産することを目指している。しかし、食料の90%を海外から輸入しているシンガポールにとって、この目標の達成は容易ではない。計画では、市民一人ひとりができる範囲で栽培に取り組み、より多くの収量を得るために技術を活用する人々には政府が助成金を出す。

「この目標は、農業・食品生産に利用できる土地と、技術やイノベーションの進歩の可能性を考慮して設定しました」と、シンガポール食品庁の食料供給戦略部門ディレクター、ゴー・ウィー・ホウ氏は語った。「現在、国内の食料生産で賄えているのは、栄養需要の10%未満です。」

国内生産を増やす余地がある品目には、野菜、卵、魚が含まれる。シンガポール食品庁によると、これら3種類の品目は日常的に消費される一方、傷みやすく、供給の途絶にも影響されやすい。植物由来や培養肉などの代替タンパク質も、「30 by 30」目標に貢献する可能性がある。2020年、シンガポールには認可を受けた農場が238カ所あった。

シンガポールには沿岸部の農場が109カ所ある。Image: シンガポール食品庁

シンガポールでは、国土のわずか1%が従来型農業に使われている。そのため、限られた土地で生産量を増やす必要が生じた。政府は技術に期待を寄せており、多層式のLED野菜農場や循環式養殖システムなら、従来型農場の10~15倍の野菜や魚を生産できるとしている。

2017年以降、都市の郊外にあるリム・チュー・カンとスンゲイ・テンガの2地区で、大規模な商業農場プロジェクト向けに土地が貸し出されてきた。これらの農場で生産能力を最大限に高める方法が検討される一方、駐車場の屋上から再利用した屋外スペース、改修した建物の内部まで、シンガポールのより都市的な空間で食料を育てる構想も浮上している。

シンガポールの都市型農園

シンガポールで現在運営されている都市型農園。Image: シンガポール公共データ

1. 駐車場の屋上で水耕栽培を行う都市型農園

シティポニクスはアン・モー・キオの駐車場の屋上にあるImage: Quartz、Google ストリートビュー、Citiponics

シティポニクスは、シンガポールで初期に開設された屋上農園の一つだ。この水耕農園は駐車場の屋上にあり、駐車場はシンガポールのほぼすべての地域に設けられている。

シティポニクスの垂直型屋上栽培システムは、従来型農業の最大4倍の収量を生み出す。Image: Citiponics

2. 既存の建物に都市型農園を設置

サステニアの屋内垂直農園がある建物の外観と内部。Image: Quartz、Google ストリートビュー、Sustenir Agriculture

サステニア・アグリカルチャーは、オフィスビルを含む既存の建物に後付けできる屋内垂直農園を開設した。同社は国内で生産できない食料を育て、輸入品に置き換えることで、二酸化炭素排出量を削減している。

サステニア・アグリカルチャーは、同等の輸入品の価格の30%で農産物を販売している。Image: Sustenir Agriculture/Clarisa Diaz

3. 熱帯気候の都市型農園に適した温室づくり

かつての校庭にあるナツキズ・ガーデン。現在は温室が並ぶ。Image: ベン・アン、Natsuki’s Garden提供

ナツキズ・ガーデンは、かつての校庭の再利用スペースを活用した、街の中心部にある温室だ。熱帯気候に合わせて特別に設計され、空気の循環を改善している。1平方メートル当たり60~80kgの食料を生産し、小規模な地元市場に供給している。

ナツキズ・ガーデンは、かつての校庭の再利用スペースを活用した、街の中心部にある温室だ。Image: Clarisa Diaz、Ben Ang、Natsuki’s Garden

生産性の高い都市型農園にも持続可能性が必要

今年後半に申請受付が始まる新たな政府基金は、6,000万ドルを拠出し、農業技術関連の事業者を支援する。シンガポール食品庁によると、この基金は立地を問わず、大規模な商業農場に対応する事業の立ち上げ費用を補助する。

しかし、シンガポールが発展を目指す一方で、取り残される人々もいる。シンガポールに現存する従来型の農場は、ハイテクとは見なされず、その知識も評価されなくなったため、立ち退きを迫られていると、Upgrown Farming Companyの創設ディレクター、ライオネル・ウォン氏は語る。同社は、シンガポール各地で新たに農業を始める事業者を支援するコンサルティング会社だ。「生産量を増やそうとしているのに、長期的には従来型の生産者が計画から外され、結果として生産量が減る可能性さえあります。」

長期的にシンガポール国内で食料を大量生産するには、持続可能な消費者市場が必要だが、ウォン氏によると、現時点ではその市場の姿が明確ではない。「『30 by 30』は、実際のところビジョンにすぎません。食品庁が推進しようとしていることは高く評価されるべきですが、改善の余地は大いにあります」と述べ、さらに「生産性が必ずしも持続可能性や収益性につながるわけではありません」と続けた。

シンガポールが長期的に持続可能な形で食料を自給できるかどうかは、まだ分からない。しかし、農業と都市の可能性を広げようとする起業家にとって、この取り組みは間違いなく胸躍る機会となっている。

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