世界では現在、生産された食料の3分の1が廃棄されています。
食品加工・包装業界は、食料システムの変革に貢献できます。
食品包装には、より持続可能なサプライチェーンを実現するための多様な方法があります。
国連が発表した最新の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)報告書は、世界の食料システムにとって「非常事態」を示しています。1850~1900年に比べて1.1°C上昇した世界の気温は、温暖化が1.5°Cに達する、あるいはそれを超えると予測されていると述べ、エネルギー、食料、水の各分野でリスクが重なり、世界の食料システムに悲惨な未来をもたらすと警告しています。
こうした気温上昇により、トウモロコシやコメ、さらには他の穀物の世界的な収量が減少すると予測されています。また、飼料の品質、疾病の拡大、家畜の水資源の利用可能性にも悪影響が及び、気温が0.5°C上昇するごとに、農業干ばつがより頻繁かつ深刻になると見込まれています。
皮肉なことに、現在の状況の一因は、世界の食料システムそのものにあり、世界の温室効果ガス排出量の3分の1以上を占めています。2050年までに世界人口は97億人に達すると予測され、食料需要は増え続けています。それにもかかわらず、生産や保存の非効率な慣行により、世界では生産される食料の3分の1が廃棄されています。その背景には、開発途上国のインフラ不足と、先進国の持続不可能な消費慣行があります。
こうした甚だしい非効率性は、世界の食料システムと地球の間に有害で持続不可能な関係があることを示しており、隠れたコストは毎年およそ12兆ドルに上ります。これは農産物の市場価値をはるかに上回ります。
国境を越える解決策
食料生産と環境保全は歴史的に対立してきましたが、この危険な悪循環に最善の形で対処するための世界的な食料システムの変革は、協力し共通点を見いだすことによってのみ実現できます。
世界的な課題や危機に国境はなく、食料システムの問題に対応するには、国際協力と多国間の対応が必要です。世界各地の農家から加工業者、包装業者、流通業者、消費者に至るまで、私たちは「プラネタリー・ヘルス・ダイエット」に沿うよう、食料への向き合い方、生産方法、消費方法を抜本的に見直さなければなりません。世界がパンデミック後の復興期へ移行する今、こうした共通の取り組みはとりわけ重要です。

この重大な課題に立ち向かうには、既存の枠組みを超えて戦略的かつ創造的に考え、食料生産のプロセスを刷新し、より持続可能で革新的なモデルを導入する必要があります。
食品加工・包装業界でこれをどのように実現できるかを示すため、将来の環境持続性の高い食料システムに焦点を当てた解決策を3つ紹介します。
1. 低炭素型の循環経済への移行
世界社会として、食品の安全性と保護を最大限に高めながら、包装が環境に与える影響を最小限に抑えるという課題に直面しています。世界の食料関係者は協力して、素材と使用後の処理方法に関するイノベーションを推進し、このカーボンフットプリントを削減、または解消するプロセスを設計しなければなりません。
リサイクルは解決策の重要な一部ですが、それだけでは不十分です。増加する人口の食料と栄養の需要を、今後何世代にもわたって持続可能な形で満たす唯一の方法は、低炭素型の循環経済を導入することです。
人類の歴史を通じて、消費の拡大と経済成長は天然資源の枯渇を招いてきました。循環経済はこのモデルから脱却し、バリューチェーン内にすでにある資源を活用するシステムへと移行するものです。低炭素型の循環経済はさらに一歩進み、原材料や製造のバリューチェーンが気候に与える影響も考慮します。
食品包装・加工分野でイノベーションを続けることは、リサイクルの先へ進み、製品が環境に及ぼす、より広範で長期的な影響を考慮することにつながります。
2. 食品の安全を保つ常温保存・長期保存ソリューション
世界の飢餓は増加していますが、世界で生産される食料のおよそ3分の1が失われるか、廃棄されていると推定されています。食品廃棄は食料不安を招くだけでなく、埋め立て地に持ち込まれる廃棄物の中で量が最も多く、メタンガスを発生させ、地球温暖化を引き起こす排出量の8%を占めています。食品廃棄を抑え、開発途上国の栄養不良に対処するには、食品をより長く新鮮に保つ包装ソリューションが不可欠です。
Tetra Pakはこの課題を念頭に、無菌加工・包装ソリューションを先駆けて開発しました。滅菌工程を活用して製品の賞味期間を延ばし、保存料や冷蔵を必要とせずに食品を安全に保存します。食品の安全を保つ常温保存・長期保存ソリューションは、カーボンフットプリントの削減に役立つだけでなく、食品廃棄を減らし、食料不安に直面する地域で食品をより長期間保管し、入手できるようにします。
3. サプライチェーンの透明性とトレーサビリティを高める
今日のサプライチェーンは、余裕がなく柔軟性にも欠けています。世界の食料システムが温室効果ガス排出量の3分の1以上を占めることを踏まえると、透明性とトレーサビリティを一層重視することで、安全で栄養価が高く健康的な食料を持続可能な方法で届けられます。また、業務上のリスクを減らし、サプライチェーンのレジリエンスを高めることにもつながります。
調達から製造、輸送、消費に至るまで、企業が全体的な持続可能性を高めるには、サプライチェーンのあらゆる段階を可視化することが欠かせません。例えばUnileverは、調達に地理空間分析を活用し、森林破壊などの問題が発生する可能性を予測して対策を講じるという、有望な取り組みを進めています。
Tetra Pakは「Connected packages」を通じて、食品包装・加工業界の透明性を高めています。2019年に導入され、現在ではその数が20億個を超えたこれらのパッケージには、それぞれ固有のデジタルバーコードが付され、パッケージがデータを運ぶ媒体となっています。このデジタル化により、生産者はエンドツーエンドのトレーサビリティを確保でき、小売業者はサプライチェーンの透明性を高め、消費者は情報にアクセスできるようになります。
人々の健康と環境の持続可能性を最も迅速に高める道は、農業と食料にあります。この新たなIPCC報告書は、国連の持続可能な開発目標を達成するよう食品業界にさらなる圧力をかけています。多くの潜在的なパートナーシップとイノベーションが結集され、世界の食料システムの改革、そして最終的な救済につながることを期待します。