西洋型の食生活は気候変動対策を頓挫させるのか?

西洋型の食生活は気候変動対策を頓挫させるのか?
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持続不可能な水準の食肉消費、特に牛肉や羊肉などの消費が地球に及ぼす影響を示す証拠が増えています。 チャタムハウスの最近の報告書で示されているように、畜産部門は温室効果ガス排出量全体の約15%を占め、その量は運輸部門とほぼ同等です。しかし、 食肉の生産・消費が持続不可能な形で行われていることには ほとんど注意が払われておらず、食生活の選択が環境に及ぼす影響についての人々の認識も低いままです。

英国エネルギー・気候変動省は最近、 インタラクティブなウェブツール を公開しました。このツールでは、さまざまなライフスタイルの選択やエネルギーの利用、それらが世界の温室効果ガス排出量と、今世紀末までのその後の気温上昇に及ぼす影響を調べることができます。「グローバル・カリキュレーター」は、専門家がすでに知っていることを印象的に可視化しています。世界中で西洋型の食生活が取り入れられれば、危険な気候変動を避けるために必要とされる、産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑えるという上限を守ることはできません。

結果は明白です。エネルギー部門の脱炭素化が2050年までに成功したとしても、食生活のあり方によって、危険な気候変動を回避できる2度上昇のシナリオになるか、世界銀行が 「破滅的な」気候変動と 表現する4度上昇のシナリオになるかが分かれます。

新興国・発展途上国で食肉消費が増加しながらも、西洋の水準を大幅に下回るという現在の消費傾向が続けば、世界の気温上昇を2度に抑える軌道を維持できます。

しかし、2050年までに西洋型の食生活が標準となれば、エネルギーがよりクリーンになり、ライフスタイルの他の分野でも意欲的な対策が取られたとしても、世界の気温は4度上昇することになります。このシナリオは現在の傾向から大幅に悪化することを意味しますが、あり得ない話ではありません。新興国・発展途上国の経済圏では消費が急速に拡大しており、中国、ブラジル、インドは世界有数の食肉消費国であると同時に、消費の伸びも最も速い国々に数えられます。

このシナリオが現実となれば、牛肉、羊肉などの世界的な消費拡大による追加排出量は、他部門での緩和策を成功させる取り組みを頓挫させるほど大きくなります。端的に言えば、西洋型の食生活は「4度上昇の食生活」です。世界の他の地域が、このような過剰な水準に追いつく余裕はありません。

幸いにも、この厳しい結論には明るい側面があります。持続不可能な消費は、比較的低コストで実施できる緩和策の重要な未開拓分野です。これを活用できれば、より野心的な国際的気候目標を掲げる根拠となります。「グローバル・カリキュレーター」が示すように、脱炭素化と並行して、排出量の多い食肉の持続不可能な消費を抑える取り組みを進めれば、気候影響の深刻化を避け、標高の低い島しょ国の存続を確保する最善の機会となる1.5度の世界が、十分に現実的な可能性として見えてきます。

食肉や排出量への依存度が低い食生活への移行は、重要な相乗的便益ももたらします。現在、欧州の平均的な人は世界保健機関が推奨する量の2倍を超える食肉を消費しています。食肉の割合を減らし、牛肉や羊肉より鶏肉や豚肉の比率を高める食生活を促進すれば、公衆衛生に大きな恩恵がもたらされます。食肉の過剰摂取に関連する心臓病、がん、糖尿病の発症率低下などが期待されます。

食生活を変えるのは容易ではありません。チャタムハウスが委託し、イプソス・モリが実施した最近の調査では、食肉消費が気候変動に及ぼす影響について、人々の認識が著しく不足していることが明らかになりました。また、行動変容の前提条件として、認識を高めることが重要だと示されました。したがって、この認識の隔たりに対処することが、国および国際レベルでの介入を正当化するための重要な第一歩となります。

世界中の消費者が気候変動とその原因について専門家や環境団体から情報を得ようとするなか、グローバル・カリキュレーターのような情報伝達ツールは、これまでほとんど聞き入れられてこなかったメッセージを広めるうえで、非常に有効な手段となり得ます。これほど強力な証拠がある以上、食生活をめぐる緊急の行動の必要性を無視することは難しいでしょう。

この記事は チャタムハウスとの協力により掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味するものではありません。

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著者:ローラ・ウェルズリーはチャタムハウスのリサーチ・アソシエイトです。

画像:カルガリー近郊、アルバータ州南部の農場で休む牛。ロイター/アンディ・クラーク AC

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