米国の食料品店には、ラテンアメリカから輸入された果物が豊富に並んでいる。チリ産のブルーベリー、エクアドル産のバナナ、ペルー産のマンゴー、グアテマラ産のカンタロープ、コスタリカ産のパイナップル、アルゼンチン産のバートレット梨など、挙げればきりがない。米国向け輸出がこれほど多く、米国経済が着実に回復しているなか、2015年にラテンアメリカの成長は加速するだろうか。低迷し、期待外れに終わった2014年の後だけに、これはラテンアメリカ・カリブ地域(LAC)にとって歓迎すべき押し上げ要因となるだろう。最新の 世界経済見通し 報告書によると、同地域の2014年の成長率は0.8%と推計されており、2013年に記録した2.5%の拡大の3分の1にも満たない。
米国は確かに、ラテンアメリカの輸出にとって主要な仕向け先である。2013年には、同地域の財輸出の約40%が米国向けに出荷された。さらに、入手可能なデータがある同地域26カ国のうち22カ国が、2013年の輸出先上位5カ国の一つに米国を挙げており、その22カ国中16カ国では米国が最大の輸出先だった(図1)。言い換えれば、米国が輸出先上位5カ国に入らなかった地域経済はほんの一握りにすぎない。米国の消費者には農産物輸出がよく知られているが、実際には同地域の財輸出の約4分の1を占めるにとどまる。燃料・鉱業製品がさらに4分の1を構成し、製造品が全体の約半分と過半を占める。米国向け輸出で地域最大のメキシコでは、主に電子機器と自動車からなる製造品が、財輸出総額の4分の3を占めている。
一次産品(農産物、燃料、鉱業製品)が地域輸出の半分を占めるなか、商品価格の下落が続き、それに伴い輸出額が減少したことは、2014年の地域減速を招いた主な要因の一つであり、2015年の経済活動にとって逆風となっている。例えば、原油価格の急落が続くことで、地域の産油国(コロンビア、エクアドル、メキシコ、ベネズエラ)は程度の差こそあれ悪影響を受けている一方、中米諸国など地域の石油輸入国では実質所得が押し上げられている。同様に、銅価格の低迷はチリとペルーに打撃を与えた。明るい材料として、世界銀行の最新の 商品市場見通しによると、商品価格はおおむね安定し、2015年の下落は小幅にとどまると予想されている。
今後、地域の輸出は2015年以降の成長を支えるほど拡大できるだろうか。米国とラテンアメリカ、特に中米の景気循環は連動する傾向があることを示す研究が数多くあり、米国の経済成長が地域の成長にとって極めて重要であることがうかがえる。さらに重要なのは、米国の成長がラテンアメリカに波及する重要な経路が貿易であることを示した研究がいくつかある点だ。月次輸出データを簡単に確認すると、確かに明るい兆しが見える。地域の実質財輸出は2013年に約9%増加した後、2014年には7%超拡大した。この傾向は、主要輸出市場の経済状況が改善するにつれて続くと予想される。米国経済は明らかに勢いを増し、ユーロ圏の回復は軌道に乗っている一方、中国の成長は減速しているものの堅調さを保っている。さらに、現地通貨が対米ドルで下落し続けることで、ラテンアメリカの輸出は競争力の向上という恩恵もますます受けるはずだ。
加えて、欧州中央銀行が最近発表した量的緩和と、日本銀行による金融緩和の継続は、2015年半ばに広く予想される米連邦準備制度理事会(FRB)の初回利上げがもたらす引き締め効果を和らげるだろう。したがって、世界の金融環境は2016年まで総じて緩和的な状態が続くと見込まれ、ラテンアメリカへの資本流入を維持し、投資を促して経済成長をさらに支えるはずだ。
このように、米国経済の一段の強化は、ラテンアメリカからの輸出を押し上げると予想される。投資を促すはずの好ましい世界の金融環境と相まって、ラテンアメリカが近く回復を遂げるとの期待を抱く根拠がある。

出典:WTO
本稿は当初、 世界銀行「開発見通しブログ」に掲載されたものです。掲載は、世界経済フォーラムが本稿の見解を支持することを意味するものではありません。
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著者:Derek H. C. Chenは、世界銀行の開発経済局・見通しグループに所属するマクロ経済学者。
画像:リマの卸売果物市場で販売用に並べられた果物。REUTERS。
