スポーツイベントのプラスの影響を、終了後も長く実感できるようにするには

Image shows athletes preparing to race to illustrate the importance of longterm legacy planning for sporting events
Legacy planning keeps the momentum of large-scale sporting events running long after they've endedImage: Unsplash/Matt Lee
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  • 大規模なスポーツイベントには、人々を結びつけ、終了後も長く心身の健康を高める可能性があります。

  • Spirit of 2012は、ロンドン2012オリンピック・パラリンピック競技大会が生み出したボランティア活動と社会的影響を継続しています。

  • スポーツイベントの招致計画にレガシー計画を組み込めば、最後の笛が鳴った後もイベントの効果を持続させることができます。

2012年8月29日水曜日は、私の記憶に永遠に刻まれた日です。選手村でチームメートとテレビを囲み、ロンドン2012パラリンピック競技大会の開会式を見ていました。ロンドン2012パラリンピック競技大会当時、私は、オンラインや会場で何百万人もの人々が見守る、世界で2番目に大きなスポーツイベントに出場することの重大さをほとんど実感していませんでした。

競技の枠を超えて、多くのものが懸かっていました。障害に対する認識を変えるという大きな目標があり、当時の「感動を与える」という考え方には、的外れなものもあったかもしれません。しかし私は水泳に集中し、張り詰めた緊張を抑えながら、チーム、友人、家族、そして期待に胸を膨らませて見守る国の人々のために、最善の結果を出そうとしていました。

スポーツイベントの先に、どうすれば前向きな何かを生み出せるでしょうか。

コンサートやフェスティバル、スポーツや音楽のライブイベントが生み出す高揚感は、誰もが楽しむものです。では、終わった後には何が残るのでしょうか。創造性や前向きな気持ち、共有した体験をどうすれば形にし、イベントそのものを超えて良い影響につなげられるでしょうか。10年前に開催されたイベントを自分ごとと感じていない人々に、どうすれば働きかけられるでしょうか。世界には数多くの課題があります。スポーツイベントは、一瞬の喜びにとどまらず、より長く人々を結びつけるために活用できるでしょうか。

私のようなオリンピックまたはパラリンピックの選手は、数年ごとに各国で開催される大規模イベントの先にある、大会の長期的な可能性について考えることはありません。しかし10年後の今、私は選手として競技を続けながら、ロンドン2012オリンピック・パラリンピック競技大会の開催による、より広範で持続的な恩恵を生み出す取り組みに深く関わっています。ロンドンのスタジアムを後にして2年後、私はロンドン2012の開催によって生まれたボランティア活動と社会的影響を継続するために設立された組織の理事に就任しました。

Spirit of 2012が残したレガシー

Spirit of 2012は2013年、英国のNational Lottery Community Fundによって独立したトラストとして設立されました。ロンドン2012オリンピック・パラリンピック競技大会がもたらした誇り、地域のつながり、エンパワーメントの精神を継承し、再び生み出すため、4,700万ポンドの基金が提供されました。過去10年間に、Spirit of 2012は英国全土で、ボランティア活動、イベント、スポーツ、芸術、文化にわたる200件以上のプロジェクトに投資してきました。ウェルビーイング、社会的結束、障害のある人々の包摂を改善する取り組みについて知見や根拠を集め、効果のあるプロジェクトを拡大してきました。

また、開催地から遠く離れた町や農村地域にとって、全国規模のスポーツイベントがどのような意味を持つのか、そして地域主導の小規模イベントが地域のつながりにどれほど大きな影響を与えられるのかも探ってきました。これまでに、Spirit of 2012の助成を受けたプロジェクトは、英国で550万人に届いています。主な実績をいくつか紹介します。

英国全土で助成対象プロジェクトに投資することで、Spirit of 2012はスポーツイベントの影響を開催都市の外へと広げてきました。Image: Spirit of 2012

英国全土で助成対象プロジェクトに投資することで、Spirit of 2012は開催都市の外へと影響を広げてきました。スポーツイベントを「うまく」実施する方法から得られた教訓は、その後、他の大規模スポーツイベントを通じて英国の別の都市にも生かされてきました。2017年と2021年には、それぞれハルとコベントリーが英国文化都市に選ばれています。

また、2014年にグラスゴーで開催されたコモンウェルスゲームズでは、計画に長期的な影響が組み込まれていました。それを実現したのがFourteenです。Fourteenはグラスゴーで始まり、英国各地の14か所に広がって、地域団体のボランティアと連携しました。芸術、身体活動、イベントを活用して人々を結びつけ、地域をより良くすることを目指しました。同様に、8月初旬にバーミンガムで開催されたコモンウェルスゲームズでも、長期的な影響をもたらす多くのイベントが企画に盛り込まれました。その一つが、若者を対象としたインクルーシブなダンスプロジェクトCritical Massです。

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スポーツイベントのレガシー

大規模スポーツイベントの開催が自動的に行動変容につながるわけではないことが、根拠から示されています。一方で、イベントをきっかけに始まり、長期にわたって成果を上げている取り組みもあります。たとえばSpirit of 2012は、英国のActivity Allianceに750万ポンドを助成し、Get Out Get Activeを支援しました。この取り組みは、身体活動の少ない人々にも届くインクルーシブな身体活動のアプローチを実現し、生活を変える手助けをしました。多くの大規模スポーツイベントに付随する、感動を与えることを目的としたプログラムでは、しばしば実現が難しいことです。

ボランティア活動にも、地域の人々を結びつける大きな可能性があります。過去2年間の新型コロナウイルス感染症のパンデミックで、ワクチン接種会場のボランティアが示したように、緊急事態における危機対応の基盤として欠かせません。ロンドン2012大会でボランティアを務めたゲームズメーカーは、大会の見どころであり、運営を支える原動力でした。

そして、ボランティア活動の恩恵を受けるのは、支援を受ける側だけではありません。ボランティア自身とその地域のウェルビーイングも向上し得ることが、根拠から示されています。その一例が、2017年にハルが英国文化都市に選ばれた際に始まったHull Volunteersプロジェクトです。このプロジェクトのボランティアは、ハルの文化都市の年から数年後、新型コロナウイルス感染症によるロックダウンの際に、地域を支援するため迅速に結集しました。こうして活気ある地域のボランティアコミュニティが育まれ、今も活動を続けています。

大規模スポーツイベントの素晴らしさは、開催国に広範で持続的な変化をもたらす可能性にありますが、その可能性が失われてしまうことも少なくありません。世界的なパンデミックを経て、紛争に直面する今、資金の縮小、生活費の上昇、食料と燃料の不足、気候変動の影響が重なっています。どの都市にとっても、費用のかかる大規模な「なくても困らない」メガイベントの開催に立候補することを正当化するのは困難です。しかし、長期的にプラスの社会的影響をもたらす可能性、包摂性とアクセシビリティの向上、環境面での優位性、さらに地域社会のために再活用できる、新しく誰もが利用しやすいスポーツ施設を示すことが必須となれば、開催の意義ははるかに明確になります。

Spiritは活動終了の時期が定められた助成金消費型の慈善団体ですが、過去10年間に多くの知見を蓄積してきました。その知見は、今後の大小さまざまなスポーツイベントのあり方に生かすことができ、より良い計画を立て、公衆衛生と社会的ウェルビーイングの目標への貢献を最大化する助けになります。これはチェック項目を埋めるだけの作業であってはなりません。よく練られた、政府横断・分野横断の取り組みとして、都市や国がスポーツイベントから何を得られるか、そしてそれを招致計画にどう組み込むかを明らかにする必要があります。いわゆる「レガシー」または「インパクト」戦略が招致の必須要件でなければ、それは機会を無駄にすることになります。

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