新たな研究によると、ストレスはウェルビーイングやメンタルヘルスの改善に実際に活用できます。
ストレスを前向きに捉えることで、パフォーマンスや生産性が向上する可能性があります。
この研究では、世界各地のアスリート400人超からデータを収集し、質問票を用いてストレスに対する考え方とメンタルヘルスを測定しました。
ストレスを減らす方法を知りたいと思う人は、ほぼ誰にでもいるでしょう。ストレスは、身体と心の健康にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があるからです。ストレスについての考え方を変えると、ストレスをよりうまく管理できるようになることを示す証拠が増えています。これにより、メンタルヘルスを含むウェルビーイングが改善するだけでなく、将来ストレスの多い状況に直面したとき、より力を発揮しやすくなります。その方法をアスリートから学ぶことができます。
ストレス全般についての考え方は、「ストレス・マインドセット」と呼ばれます。ストレスを否定的に捉え、完全に避けるべきだと考える人もいます。一方、ストレスをより前向きに捉え、健康やパフォーマンス、生産性に良い影響をもたらすと考える人もいます。
米国とオーストラリアで行われた研究では、ストレスを成長を促すものと捉える人は、仕事の生産性が高く、メンタルヘルスや学業成績も良好であることが示されています。また、前向きな考え方は、ストレスの多い状況の捉え方とも関連しています。たとえば、難しい課題を脅威ではなく挑戦と見なすことです。
しかしこれまで、ストレス・マインドセットとアスリートの関係はほとんど分かっていませんでした。アスリートは、メディアの反応やレース、試合中など、自分ではほとんど制御できないストレスの多い状況に日々直面します。そこで私たちの研究チームは、ストレスに対する信念がアスリートのメンタルヘルスにどのような影響を及ぼすかを調べることにしました。
私たちは世界各地のアスリート400人超からデータを収集しました。参加者はさまざまな競技の選手で、レクリエーションレベルからエリート選手まで幅広く含まれていました。質問票を用いて、ストレスに対する考え方とメンタルヘルスを測定しました。さらに、年齢、性別、競技レベルも考慮しながら、この2つの関連を分析しました。
ストレスを前向きなもの、あるいは成長を促すものと捉えるアスリートは、ストレスの多い状況を挑戦と見なす傾向が強いことが分かりました。これは平均的に良好なメンタルヘルスとも関連しており、活力が高く、抑うつ症状が少ないことなどが確認されました。
もちろん、慢性的なストレスは多くの健康上の問題と関連しているため、ストレスを良いものとしてのみ描くべきではありません。しかし、急性ストレスへの反応が実際に役立つこともあると伝えれば、アスリートのパフォーマンスやメンタルヘルスが向上する可能性は高まります。たとえば、競技のストレスは役に立つとアスリートが捉えれば、集中力や成功への意欲が高まるかもしれません。
ストレス・マインドセット
もちろん、アスリートは一般の人とは少し異なります。しかし、だからといって私たちもメンタルヘルスを高めるために、自分のストレス・マインドセットを変えることを学べないわけではありません。一般の人を対象とした研究では、ストレスの良い影響や、ストレスが生じる理由を説明する動画を見ることで、ストレスに対する考え方を変えられることが示されています。
こうした動画を見ると、模擬就職面接に臨んだときにより良い成果を上げ、集中力も高まることが研究で示されています。別の研究では、ストレスへの反応を否定的ではなく前向きなものと考えると、ウェルビーイングや学業成績が向上する可能性も示されました。たとえば、胃がきゅっとする感覚を、ストレスの表れではなく、わくわくしている兆候だと考えることができます。
これを実践する最善の方法は、アスリートがするように、ストレスの多い状況と、その状況にどう対処するかを思い描くことです。たとえば、職場でプレゼンテーションを控えていると想像してください。まず、心拍数の上昇など、感じているかもしれないストレスの兆候を認めます。次に、その感覚を受け入れましょう。それは集中力を高め、活力を増すために生じているのだと理解するのです。
最後に、ストレスは役に立つものだと捉えることを選び、その反応を活用して、プレッシャーの中でも力を発揮する自分を思い描きましょう。最初は難しく感じるかもしれませんが、練習を重ねれば、誰でも視覚化を使ってストレスを役立つものと捉え直せるようになります。
ストレスは、常に苦痛をもたらすとは限りません。ストレスの良い面を受け入れ、活用することを選べば、メンタルヘルスやパフォーマンス、生産性を高められます。
