サハラ以南アフリカでは、農家の大半が小規模農家です。貧困の中で暮らし、耕作面積は2ヘクタール未満、生産量も少ないのが実情です。こうした農家にとって、農業は生き残りをかけた苦闘です。インフラの未整備、サプライチェーンの未発達、資金調達の不足が、小規模農家の収量の低さと供給の不安定さにつながっています。
こうした小規模農家が農業を収益性の高い事業として成り立たせるには、生産物を利益の見込める安定した市場で販売できる必要があります。そのため、企業、政府、市民社会は、農家を市場につなぐ新たな協働パートナーシップやビジネスモデルを模索しています。
小規模農家にとって最も重要なのは、生産物を販売できる「産出物」の市場と、質の高い農業用資材などの「投入財」の供給業者とのつながりです。さらに、金融サービス、知識・研修・技術へのアクセスも必要です。この4つ、すなわち産出物、投入財、金融、知識のうち、最も重要なのは産出物です。市場の需要と将来のキャッシュフローを示すからです。産出物市場とのつながりが確保されて初めて、投入財や金融サービス、知識への投資が意味を持ちます。
「より良い種子、肥料、除草剤を購入するため、栽培期に十分なお金を貯めるのに苦労していました」と、タンザニアの農家、コストマス・ムクングウィラさん(54歳)は話します。「子どもの学費や学用品を工面するのも大変でした。」

10代の子ども2人を持つ父親のムクングウィラさんは、生涯にわたって農業を営んできました。彼のような小規模農家は通常、天水農業に頼っており、質の高い農業用資材に投資する余裕がないことも少なくありません。しかし、こうした資材を使えば収量を簡単に倍増できる可能性があります。また、適切な農法についての助言、収穫後の穀物を保管する十分な設備、利益の見込める市場を確保する方法に関する情報も不足しています。
2015年、ファーム・トゥ・マーケット・アライアンスという団体がタンザニアの小規模農家や地元のNGOと協力を始め、状況の改善に乗り出しました。同団体は、小口融資、質の高い農業用資材、研修、商業市場へのアクセスを可能にする4つの柱からなる支援策を導入しました。
わずか45米ドルからの融資を受け、ムクングウィラさんと彼のような2万人を超える農家は、ハイブリッド種のトウモロコシの種子、肥料、除草剤を入手できました。これらの資材を最大限に活用するための専門的な助言も得て、近年後退傾向にある雨季に合わせて、植え付けの時期を調整できるようになりました。
その結果、農家は豊作に恵まれました。「昨年に比べ、収量がほぼ250%増えました」とムクングウィラさんは話します。
アライアンスのこの取り組みはタンザニアで成果を上げており、間もなくルワンダとザンビアでも展開される予定です。今後は、農家向け電子決済システム、買い手や消費者の信頼を高めるトレーサビリティシステム、参加農家に合わせた保険商品の導入も計画されています。
これらの取り組みを組み合わせることで、小規模農家が農業で利益を得られるよう支援します。
ラボバンクに関する詳細情報
小規模農家の市場アクセス向上を目指し、ラボバンクは官民両セクターの関係者と連携しています。ルワンダ、タンザニア、ザンビアでは、新たに設立された8者のコンソーシアム「ファーム・トゥ・マーケット・アライアンス」と協力し、小規模農家を市場につないでいます。FMAのパートナーは、AGRA、バイエルAG、Grow Africa、IFC、シンジェンタ、WFP、ヤラです。
タンザニアでの初年度、コンソーシアムは2万人を超える農家を市場につなぎ、農家は公共・民間セクターのさまざまな買い手にトウモロコシ2万2,000トンを供給しました。今後、さまざまな国でアライアンスは150万人の農家に市場アクセスを提供し、7億5,000万米ドル相当の食用作物を生産することを目指しています。
