水産物など水域由来の食料であるブルーフードの需要は、2050年までに倍増すると予測されています。
水産養殖は、世界中の何十億人もの消費者に栄養価の高い健康的な食品をより多く届けるうえで、重要な役割を果たします。
水産養殖をより持続可能で気候に配慮した産業にするには、ステークホルダー間のパートナーシップを構築する必要があります。
世界の人口が増えるにつれて、栄養価が高く気候に配慮した食品への需要も高まっています。この増加する需要をより持続可能な方法で満たすことは非常に大きな課題ですが、地球の水域に解決策があるかもしれません。
海洋、海、河川、湖沼から得られるブルーフードは、世界で最も多く取引されている食品です。ブルーフードは何百万人もの人々の生計を支えるだけでなく、毎日何十億人もの食を支えています。水産養殖の生産が供給拡大に重要な役割を果たすなか、ブルーフードの需要は2050年までに倍増すると予測されています。実際、国連の食糧農業機関は、水産養殖が世界の魚類生産の伸びを引き続き牽引し、2030年には1億600万メートルトンに達すると予測しています。これは2020年の水準から32%の増加にあたります。
産業規模の大きさを背景に、水産養殖は近年、その機会と課題の両面から注目を集めています。「水産養殖管理協議会」とブルーフード・パートナーシップによる「持続可能な水産養殖への道 」の報告書は、水産養殖が国連の持続可能な開発目標(SDGs)、とりわけ目標14「海の豊かさを守ろう」にとどまらず、より広範な貢献を果たし得ることを示しています。
食料安全保障、気候変動対策、雇用、コミュニティにとっての利点は、まだ十分に実現されていません。同時に、水産養殖の慣行のなかには生息地やコミュニティに害を及ぼすものもあり、改善の余地があります。
協働の潮流を高める
ブルーフード・パートナーシップは、世界経済フォーラムのフレンズ・オブ・オーシャン・アクションが主導し、英国のブルー・プラネット基金の支援を受けて、水産養殖を含む、健全で持続可能なブルーフードのバリューチェーンに向けた科学的根拠に基づく取り組みを促進することを目指しました。持続可能な水産養殖ワーキンググループは、水産養殖におけるトレードオフを理解し、セクターの持続可能な成長を導く科学的根拠に基づく世界的なロードマップを作成することを目指しました。
同グループは、FUTUREFISHと連携して、提言と主要な行動項目を策定しました。FUTUREFISHは、水産養殖の持続可能な成長に向けて、イノベーター、企業、業界リーダーを結び付ける活動を行っています。このセクターの多様性と複雑さを踏まえ、確かなことが一つありました。取り組みを個別に進めてはならないということです。水産養殖は経済活動、自然、気候、栄養、雇用と密接に結び付いているため、2030年までに社会、経済、環境面でより大きな便益を実現するには、地域や産業を超えた協働が不可欠です。
持続可能な水産養殖に向けた4つの道筋
全体を見渡す視点から、持続可能な水産養殖のための世界ロードマップ は、大規模な変化を生み、水産養殖システムをより持続可能な未来へと導く、4つの主要な行動の道筋を示しています。
1. 責任ある生産:地球を最優先する生産アプローチは、水産養殖による健康的な食料の長期的な供給を持続可能なものにします。水産養殖の魚種とシステムの幅広さを維持することは、ブルーフードのレジリエンスと栄養価を高める鍵です。供給の多様化、包摂的な成長、自然にプラスの成果、世界的な生物多様性目標への貢献につながる生産のベストプラクティスとイノベーションを開発し、支援し、共有する必要があります。
2. 生計の向上:現在、水産養殖セクターに関わる人々の間では、便益とリスクの分配に不均衡があります。バリューチェーン全体で働くステークホルダーや、産業の影響を受けるコミュニティは、ウェルビーイングに関わる意思決定からしばしば排除されています。水産養殖は機会をもたらしますが、とりわけ女性や若者がその機会を確実に得られるよう、さらなる取り組みが必要です。産業のバリューチェーン全体にわたる体系的な変革は、不平等の是正、協働とコミュニティ協同組合の促進、貧困削減、人々にとってより公正なセクターの構築に不可欠です。

3. 健康的な消費:世界では、ブルーフードへのアクセスに格差があります。持続可能な水産養殖システムの構築に欠かせないのは、すべての消費者がこうした食品を入手しやすく、手頃な価格で購入できるようにすることです。推進者は、小売業者、流通業者、食品サービス事業者に対し、多様なブルーフードを食べることの利点を周知すべきです。企業もまた、すべての消費者がこうした重要な栄養源の恩恵を享受できるよう、責任ある解決策を見いだす必要があります。
4. 可能性を引き出す環境:水産養殖の前向きな発展に適した条件を整えることで、次世代以降にわたる確かな基盤が築かれます。 ステークホルダー間のパートナーシップを構築すれば、セクター全体の対話やガバナンスのあり方を改善できます。責任ある包摂的な慣行を促し、確実に実施させ、投資を喚起するには、地域から国際レベルまでの政策が必要です。こうした投資は、持続可能な成長のモデルを示すイノベーションやデータ共有プラットフォームを支えることができます。
包括的なロードマップの発表
毎年開催される「アワー・オーシャン」会議は、政府、産業界、科学界、市民社会の間に重要なパートナーシップを築くことを目的としています。2023年3月、パナマで開催された「アワー・オーシャン」会議でのハイブリッド形式の発表イベントには、地域、セクター、生産システムを超えた代表者が集まり、ロードマップの道筋をそれぞれの状況にどう適用できるかを話し合いました。
パナマでのイベントでは、パネリストが4つの道筋を一つずつ議論し、セクターにおける多様性の重要性を強調しました。魚種から関係者まで、多様性を受け入れることは、持続可能性への道の出発点を見定め、レジリエンスを高める助けとなります。ブレンデッド・ファイナンスのような投資や、スマートテクノロジーも重要です。水産養殖と農業を結び付ける統合型システムや、自然に栄養段階の低い魚種を活用する生産などは、自然にプラスのアプローチを支えることができます。
相乗効果を生み出す
水産養殖のより持続可能な未来というビジョンに賛同する皆さまに、ロードマップへの支持を表明し、私たちのウェブサイトを通じて、さまざまな形で貢献する方法をご検討いただくよう呼びかけます。たとえば、このロードマップは水産養殖のバリューチェーン全体における事業戦略や業務の改善に役立つほか、将来にわたって水域を守る持続可能な水産養殖の慣行に関する国際協定に情報を提供する、重要な政策ツールにもなり得ます。
ブルーフード・パートナーシップは、ロードマップが実際にどのように実施されているかを示す、教訓やベストプラクティスの事例とストーリーを集め、取り組みを進めています。潮流が高まるにつれて、このロードマップが変革の礎となる指針として役立つことを期待しています。
持続可能な水産養殖の未来について、デジタル版ロードマップと世界経済フォーラムの詳細なホワイトペーパー「持続可能な水産養殖のための世界ロードマップ:体系的変革への道筋」をお読みください。「アワー・オーシャン」会議のハイブリッド形式のサイドイベントの録画は、フレンズ・オブ・オーシャン・アクションのYouTubeチャンネルでご覧いただけます。組織や企業は、デジタル版ロードマップのウェブサイトを通じて、このコミュニティの知識共有コンテンツを支援できます。
持続可能な水産養殖のための世界ロードマップは、ブルーフード・パートナーシップの持続可能な水産養殖ワーキンググループが作成しました。同グループは、フレンズ・オブ・オーシャン・アクション(世界経済フォーラムのプラットフォーム)が主導し、英国政府のブルー・プラネット基金の支援を受けています。

