新型コロナからの回復:手遅れになる前に想定すべきリスク

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  • 世界経済フォーラムは、世界有数のリスク専門家350人に、今後18か月間に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から生じる可能性が最も高く、最も懸念される影響リスクを評価するよう依頼しました。調査結果では、経済、サイバーセキュリティ、環境、社会不安が最大の懸念として挙げられています。

  • 顕在化しつつあると認識されているリスクは、対処を誤ればどのような事態になり得るかを警告するものです。一方で、手遅れになる前に方向を変える手段にもなります。

  • 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、医療、デジタル手段、社会保障の不足を露呈させましたが、より良い世界を再建するために生かせる強みも明らかにしました。

政治の鉄則は、決断のタイミングが決断そのものとほぼ同じくらい重要だということです。「タイミングがすべて」と言われますが、同時に、適切に見極めるのが最も難しい要素でもあります。

世界の経済、社会、技術の構造には、以前から抜本的な改革が必要でした。しかし、どうやら適切なタイミングは訪れませんでした。成長は鈍化し、政治的な分断は深まり、地政学的な関係はますます脆弱になっています。その間に不平等が拡大し、数多くの社会問題を悪化させてきました。

世界経済フォーラムは新型コロナウイルスの感染拡大にどう取り組んでいるのでしょうか。

世界的な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の危機は、こうした不足を容赦なく明らかにしました。パンデミックが都市、国、大陸へと広がるなか、医療、デジタル手段、社会保障へのアクセスがあまりにも不平等であることを目の当たりにし、向き合わざるを得ない状況です。

ウイルスによって、計画を立てる余裕は失われました。こうした改革を実行する最適なタイミングを待つことは、もはやできません。しかし、私たちはそれでも改革が正しいものとなるよう、今から確実に取り組むことができます。

今日下せる重要な決断があり、それは長期的な影響をもたらします。各国政府が封じ込め措置を緩和し、経済が再開し始めるなか、復興の取り組みでは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う二次的なリスクを考慮することが不可欠です。

「グレート・ロックダウン」の後には「グレート・リセット」が訪れます。すでに「旧常態」と呼ばれ始めているものに、深い変化をもたらす一連の動きです。新たなリスクに対して受け身のままでいれば、望む新常態を形作る歴史的な機会を逃し、望まない形で残された新常態を受け入れることになりかねません。

世界経済フォーラムは、世界有数のリスク専門家350人に、世界および企業にとって、今後18か月間に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から生じる可能性が最も高く、最も懸念される影響リスクを評価するよう依頼しました。この調査結果は、本日、世界経済フォーラムの「COVID-19リスク見通し」として発表されました。

認識されているリスクでは、経済リスクが大勢を占めています。専門家の3人に2人が、長期化する世界的な景気後退を最大の懸念に挙げました。半数は、倒産、業界再編、産業の回復失敗、サプライチェーンの混乱を重大な懸念として挙げています。

重大な非経済リスクも懸念されています。回答者の50%は、自社を標的とするサイバー攻撃の増加を特に懸念し、人や物の国境を越えた移動に対する制限が2021年まで続くと予想しています。一方、40%は、感染症の再流行が世界にとって大きなリスクだと考えています。

経済の状況が重大な問題であるのは当然ですが、この危機がもたらす影響ははるかに複雑です。

新型コロナウイルスによって世界に生じる最大のリスクは何だと、ビジネスリーダーは考えているのでしょうか。Image: 世界経済フォーラム
新型コロナウイルスによって企業に生じる最も懸念されるリスクは何だと、ビジネスリーダーは考えているのでしょうか。Image: 世界経済フォーラム

環境面では、世界の排出量が8%減少すると予測されている今年であっても、地球規模の破局を避けるための1.5°C目標には届きません。各国が復興計画に持続可能性の基準を組み込めず、またCOVID-19が世論の議題で持続可能性を押しのければ、気候の悪化はさらに進むでしょう。

社会不安も懸念事項です。根強い失業、世代間の摩擦、恐怖や孤立がメンタルヘルスに及ぼす圧力によって、広範な不安が深まる可能性があります。

米国での最近の研究では、たとえばソーシャルディスタンスの確保が自殺率を押し上げるリスクがあると指摘されました。別の調査では、米国の成人の70%が、この時期をキャリアで最もストレスの大きい期間だと感じていることが分かりました。さらに、今日の若者が直面する経済見通しは、2008年の金融危機後よりもはるかに厳しいものです。「グレート・ロックダウン世代」、すなわち2020年卒業世代は、次の「失われた世代」になる危険にさらされています。

社会とテクノロジーの関係も、根本的に変わる可能性があります。テクノロジーは、新型コロナウイルスの感染拡大を抑え、家族との連絡を保ち、在宅勤務を可能にするうえで重要な役割を果たしました。しかし、ビデオ会議から接触者追跡アプリまで、デジタルソリューションを性急に導入すると、サイバー犯罪、市民の自由の侵害、デジタル格差のさらなる拡大が一気に進むリスクもあります。

これは新たなリスクの見通しであり、予測ではありません。この意味で、対処を誤ればどのような事態になり得るかを警告するものです。しかし、さらに重要なのは、手遅れになる前に方向を変える手段を示していることです。

危機は弱点を露呈させましたが、強みも明らかにしました。特に保健医療をはじめとする不可欠な公共サービスへの理解と評価が新たに深まっています。消費や移動の習慣は劇的に変化し、より持続可能なモデルに適応できることが示されました。また、テクノロジーは、学習、労働、生産、ケアを一変させる可能性を秘めています。より良い世界を再建するため、こうした強みを生かさなければなりません。

本日、世界経済フォーラムは、多様なメンバーで構成されるグローバル・リスク諮問委員会による、ポストCOVID-19の世界における機会についての論考集も発表しました。そこでは、多国間システムとその機関への支援の再強化、世界貿易の混乱に対応するための地域統合、都市が世界的な議題の形成に参加できる場の開設、最も脆弱な人々も利用できる官民の保険制度の創設、そして公教育プログラムへのメンタルヘルスに関する意識啓発の組み込みが提案されています。

新型コロナウイルスはあまりにも広範囲に、あまりにも急速に拡大し、この危機は私たちの一歩先を行っているかのようです。今こそ、主導権を握るときです。

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