今週ジュネーブで開催される世界保健総会は、世界保健機関(WHO)の意思決定機関として、世界の健康に関わる課題への取り組みの最前線に立っています。
世界保健総会(WHA)の現在の優先課題に沿って、世界経済フォーラムは2024年と2025年の活動において、薬剤耐性、気候と健康、デジタルヘルス、健康の公平性、女性の健康を主要な重点分野としています。
マルチステークホルダー・アプローチを通じて、フォーラムの「健康とヘルスケアセンター」は、連携する保健大臣や保健省の知識と理解を深める支援をしています。
「すべての人の健康を、すべての人に」。これが今年の世界保健総会年次会合のテーマです。このテーマは、すべての保健システム、ひいてはそれを率いる大臣が直面する根本的な課題を示しています。すなわち、誰もが経済的な困難に陥ることなく、必要な保健医療サービスを等しく利用できるべきだということです。実際には、それができている人はごくわずかです。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、保健医療システムにプラスとマイナスの両面で大きな変化をもたらしました。プラス面では、ワクチン開発を加速させ、代替的なケアモデルの創出を促し、保健医療サービスのデジタル化を後押ししました。一方で、多くの課題も引き起こしました。
パンデミックはユニバーサル・ヘルス・カバレッジを揺るがし、低・中所得国(LMICs)に不均衡な影響を及ぼしました。また、医療従事者の大量離職を招き、命や資源に大きな損失をもたらして、家族や社会に深刻な打撃を与えました。
保健大臣は変革を起こす担い手であり、その働きが効果的であるほど、変化も大きくなります。しかし一般に、保健大臣は数多くの課題に直面し、その有効性を損なわれています。保健分野の所管は、資金や人員が不足していることが少なくありません。
他の閣僚と比べると、保健大臣は一般に影響力や権限が小さく、地政学的・経済的な課題が深刻化するなかで、保健上のニーズは優先順位を下げられがちです。それでも保健大臣は、現代の喫緊の課題に対処する保健政策を策定し、その実現を率先して訴える最前線に立つべきです
世界保健機関(WHO)の意思決定機関である世界保健総会(WHA)は、世界の健康に関わる課題への取り組みを先導しています。発足以来、天然痘とポリオの根絶、そしてマラリアや新型コロナウイルス感染症に対するワクチンの開発・配布に必要な協力の促進など、顕著な成果を上げてきました。
現在WHAは、予防接種とパンデミックへの備えに関する継続的な取り組みに加え、母子保健の改善、薬剤耐性(AMR)への対応、気候と健康に関する課題、そして保健医療従事者の健康に注力しています。これらの進展は、SDGsの健康関連目標にも影響します。
この組織は加盟国の指示のもとで運営されています。ただし、資金に比べてその使命が著しく拡大しており、長期的な成果の実現能力に影響する可能性があることにも留意が必要です。
この点を理解することは重要です。変革を実現するための支援の一部は、他のところから得る必要があるということだからです。具体的には、WHA加盟国の保健大臣や、世界経済フォーラムとそのステークホルダーが提供できる協力や知識共有が挙げられます。
世界経済フォーラムは、保健医療システムの改善に向けて何をしているのでしょうか?
健康とヘルスケアセンターは、アクセス、公平性、レジリエンス、備えなど、世界各地の保健システムが直面する課題への理解を深めるため、リーダーたちをつなぎます。
信頼に基づく対話と官民連携を通じて、同センターはパートナーが共通の優先課題に足並みをそろえ、健康の向上に向けた共同の取り組みを進められるよう支援します。
政府はしばしば、保健、教育、住宅、交通、グリーン移行などを相反する優先課題と捉えます。しかし実際には、これらを健康を促進する要素として総合的に捉え、それに応じて投資すべきです。
大局的には、世界のさまざまな状況で、なぜ保健医療が十分に優先されていないのか、そして状況をどう変えられるのかを考える必要があります。そうすることで、閣僚として同じ問題に直面する保健大臣のジレンマに対する答えや解決策も見えてくるでしょう。
問題の核心は、保健大臣が社会のあらゆる分野、ひいては国の繁栄に影響する決定を下すことです。したがって、保健省には十分な資源を配分し、大臣には変革を実現する権限と知識を与えなければなりません。
世界の健康と保健医療提供に関する問題を解消できる画一的な解決策はありません。しかし、より強い連携と対話、優れた実践の共有は、あらゆる取り組みに役立ちます。
多様な視点を自然に取り入れるマルチステークホルダー・アプローチを通じて、世界経済フォーラムの「健康とヘルスケアセンター」は、連携する保健大臣や保健省の知識と理解を深める支援をしています。これにより、世界の保健アジェンダを前進させ、健康関連のSDGsの達成を加速させることを目指しています。
WHAの現在の優先課題に沿って、フォーラムは2024年と2025年の活動において、薬剤耐性(AMR)、気候と健康、デジタルヘルス、健康の公平性、女性の健康を主要な重点分野としています。これらはさらなる関心と行動を必要とする重要な分野であり、取り組みがなければ、世界の保健医療サービスは課題とコストの増大に直面します。
薬剤耐性(AMR)はその好例です。抗生物質や抗菌薬が感染症に対してますます効かなくなるにつれて、死亡率は上昇し、入院期間は延び、医療費は増加し、2050年までに数兆ドルに達する可能性があります。この問題に対処するには、保健大臣が多面的な政策を主導する権限を与えられる必要がありますが、その実現には支援も欠かせません。
フォーラムは、世界中で保健医療へのアクセスを改善するため、政府と保健大臣、そして企業との継続的な連携強化に取り組んでいます。官民間の知識共有を支援する好例が、フォーラムによる「女性の健康のためのグローバル・アライアンス」への支援です。同アライアンスはWHA会合に合わせて、ケニア保健省と連携し、子宮頸がん・乳がん連合を立ち上げました。
保健大臣がより多くの知識や専門性を得て力を発揮できるよう、この連合は大臣やそのチームに専門家パートナーやリソースへのアクセスを提供します。これにより、課題や不足を特定し、保健戦略を支援できるようになります。地域における優れた実践事例は、適切に共有し、規模を拡大できます。
誰もが質の高い、手頃な価格で利用しやすい保健医療の製品やサービスを受ける権利があり、保健医療サービスにはそれを提供するための資源と権限が必要です。保健省への支援を充実させ、保健大臣の役割と地位を強化することで、健康が優先され、地域と世界の健康課題への取り組みが加速する好循環を生み出せます。

