カルメンは、数多くいる新型コロナウイルス感染症対応のヒーローの一人だ。救急搬送チームの一員として働く医師の彼女は、感染の疑いがある人の自宅を訪問したり、重症患者を病院に搬送したりするため、24時間体制の勤務を続けてきた。しかし、カルメンにはひときわ目を引くもう一つの特徴がある。庇護申請者なのだ。
世界各地で、医療資格を持つ難民、庇護申請者、移民が職務に就いている――たとえば、近隣住民や患者を支えるイラク人の循環器専門医から、ロンドンで病院の病棟を清掃するシリア人教師まで。そして、リマで今、人々の命を救っているベネズエラ人医師のカルメンもいる。
最前線で働く人々には支援部隊も必要だ。難民たちは石けんや個人用防護具を作り、医療従事者に無料の食事を用意し、情報センターの運営を担うなど、受け入れ地域での大規模なボランティア活動に加わっている。
突然、避難を余儀なくされた人々の出身地や法的地位は、私たちが共に直面する難局に生かせる技能、知識、経験に比べれば、はるかに重要でなくなったように見える。こうした難民や庇護申請者の物語は、人々が自らの技能、知識、経験を生かせるようになれば何が起こるかを示している。誰もが恩恵を受けるのだ。
抜け出せない罠
しかし、母国から逃れることを余儀なくされた数百万人の大半、とりわけ国境を越えた2,590万人の難民は、労働の罠に陥っている。高度な訓練を受けた専門職であっても、資格が認められないことがある。資格の切り替えや更新は、官僚的な手続きのために不可能だったり、難民にはしばしば認められない教育や訓練を受けられるかどうかに左右されたりする。
かつて繁盛する事業を営んでいた難民も、新たな事業を始めるための必要な許可を得るのに苦労したり、小売店舗を借りる権利を認められなかったりする。難民に労働市場へのアクセスを認める国が50%に上るとしても、移動、財産権、技能訓練へのアクセスなどに関するさまざまな制約によって、安定した継続的で適正な賃金の仕事を見つけることはほぼ不可能になっている。
こうした傾向を覆した難民もいる。たとえば、かつてリベリア難民で、現在は看護師として働く人がペンシルベニア州にいる。また、英国で医師資格を再取得したイラク難民もいる。画期的な制度によって、同国の医療サービスへの負担が軽減されたおかげだ。
しかし、難民の力を生かすという原則は、医療分野だけでなく、労働市場全体に適用されるべきだ。パンデミックのさなかに国際労働者の日を迎える今も、作物の収穫、物資の輸送、緊急対応に当たる人々の子どもの世話、棚への商品の補充、レジの人員確保は必要だ。新型コロナウイルス感染症によって「不可欠な労働者」という言葉の意味が揺さぶられる中、避難民や無国籍者が自らの力を提供しようと前に出ている。
同時に、難民のおよそ85%は欧州や米国ではなく、発展途上国または後発開発途上国に暮らしていることを忘れてはならない。新型コロナウイルス感染症が広がる中、都市部でその日暮らしを送り、不定期で不安定な雇用に頼る何百万人もの人々は、移動制限によって仕事が成り立たなくなれば、貧困に追い込まれるおそれがある。
家賃や食費を払えなくなる。すでに対応に苦慮していた基礎的な医療制度には、さらなる負担がかかる。この危機が過ぎた後、本当に「より良い復興」を目指すのであれば、そうした国々が基礎インフラを強化できるよう支援し、必要不可欠な投資によって労働市場を活性化することが、着手すべき有効な取り組みとなる。受け入れ地域社会も、避難を余儀なくされた人々も、ともに恩恵を受ける。
難民が重要な貢献を果たせることは、今や明らかだ。彼らに労働者の権利を認め、その可能性を最大限に発揮できるようにすることは、誰にとっても利益となる。医療制度、食料安全保障、地域のケア、そして社会が依存する数え切れないほどの機能を強化できるからだ。
各国は労働法を抜本的に見直し、危機の時だけでなく、常に難民に働く権利を保障すべきだ。国際労働機関が述べているように、「生産的な雇用とディーセント・ワークへのアクセスは、難民やその他の強制移動を余儀なくされた人々の存在に持続可能な形で対応するための、最も重要な戦略である」。
受け入れ国の生活に全面的に参加することで、難民は自立し、消費者や納税者の層が広がり、社会的結束が促され、弱い立場にある人々を支える手も増える。
ベネズエラを逃れた後、カルメンは2年以上、ウェイトレス、受付係、販売員として働いた。その後、UNHCRとベネズエラの非政府組織が、ペルーで彼女の医療資格を認証する手助けをした。彼女の物語は、彼女のような才能、意欲、勇気を排除することが、いかに逆効果であるかを示している。
変化には、政治的リーダーシップ、大胆さ、そしてビジョンが必要だ。短期的なコストを負担できれば、長期的な成果を得られる。
