ユニセフは、COVAXファシリティに代わり、低所得国および低中所得国への新型コロナワクチンの輸送と配送を支援するうえで、重要な役割を果たします。
2021年、ユニセフは毎月850トンの新型コロナワクチンを輸送する見込みであり、そのためにはサプライチェーン・輸送業界による前例のない連携が必要です。
世界経済フォーラムとユニセフは、国内外に事業基盤を持つ物流企業に、世界規模のワクチン配布に向けた共同の取り組みへの参加を呼びかけています。
世界各国が実施する封じ込め措置にもかかわらず、SARS-CoV-2コロナウイルスの感染拡大が続くなか、新型コロナウイルス感染症パンデミックへの世界の対応は重大な局面を迎えています。しかし、トンネルの先にはすでに光が見えています。新型コロナワクチンの接種が始まり、現在、約60カ国が国民への接種を積極的に進めています。また、世界的なワクチン共有の取り組みであるCOVAXの下で、最初の新型コロナワクチンがガーナに到着しました。2月24日のことです。
しかし、ワクチンがパンデミックの抑制に効果を発揮するには、短期間で世界中に広く行き渡らせる必要があります。そのため、各国政府、多国間機関、製造業者、サプライチェーン企業、地域団体への圧力が高まっています。
世界経済フォーラムは、COVIDアクション・プラットフォームを通じて、この大規模な世界的取り組みを支援してきました。1,200を超える組織が40以上のプロジェクトやイニシアチブに参加し、世界のサプライチェーンの確保やロックダウン中の移動に関する課題への対応から、ワクチンに対する国民の信頼向上まで、幅広い活動を行っています。また、世界経済フォーラムはACTアクセラレーター(ACT-A)の一員であり、その統治機関であるファシリテーション・カウンシルを構成する、わずか4つの非国家主体の一つです。
現在、大きな注目を集めているのは、先述のCOVAXファシリティ、すなわちACT-Aのワクチン部門です。COVAXの主な目標は、参加国の所得水準にかかわらず、すべての国が新型コロナワクチンを公平に利用できるようにすることです。ユニセフ事務局長ヘンリエッタ・H・フォア氏の言葉を借りれば、「国同士のワクチン接種競争に勝者はいません」。
ユニセフが調達と配送を主導
COVAXの下でユニセフは、米州以外の低所得国および低中所得国82カ国向けに、品質が保証された新型コロナワクチンの調達と配送を主導しています。また、各国から要請があれば、他国の調達も支援します。
これまでにCOVAXは、参加する190カ国以上を対象に20億回分のワクチンを確保しました。この量は、教師や医療・福祉従事者などの優先グループへの接種を2021年末までに行うのに十分と見込まれています。ワクチン・アライアンスのガビは、COVAXによる初回分が2月に各国へ到着する見通しだと、すでに発表しています。
しかし、課題は残っています。製造業者によると、供給量の大半が利用可能になるのは今年後半となる可能性があります。COVAXも高所得国の政府をめぐり、同様の状況に直面しています。余剰分をCOVAXに提供する意向の国もありますが、実現するのはおそらく今年後半になるでしょう。
ワクチンは全体の一部にすぎません。ユニセフは2021年に、注射器最大10億本と、安全に廃棄するためのセーフティボックス1,000万個の配送も目指しています。
マージ・ヴァン・ゴッホ、世界経済フォーラム サプライチェーン・輸送部門責任者、エトレヴァ・カディリ、ユニセフ供給部門ディレクター
ユニセフは、COVAXファシリティに代わり、低所得国および低中所得国への新型コロナワクチンの輸送と配送を支援する重要な役割を担っています。2021年、ユニセフは毎月最大850トンの新型コロナワクチンを輸送する見込みです。この大規模な業務には、前例のない物流面での取り組みが必要です。不確定要素の多さや冷蔵保管の要件が、大きな課題となっています。
それでも、ワクチンは全体の一部にすぎません。ユニセフは2021年に、注射器最大10億本と安全に廃棄するためのセーフティボックス1,000万個の配送に加え、ワクチンを投与する医療従事者向けの個人用防護具(PPE)の供給継続も目指しています。コンテナ機材が現在不足しており、海上輸送には大きな課題が待ち受けています。そのためユニセフは、緊急に対応する必要があるとして、海運業者にCOVAX向けの注射器、セーフティボックス、PPEの輸送を優先するよう呼びかけています。
前例のない連携が必要
この物流業務には、業界全体による前例のない連携が必要です。2020年12月、世界経済フォーラムとユニセフは、憲章に署名しました。署名には、世界経済フォーラムのサプライチェーン・輸送業界アクショングループのパートナーである、世界有数の物流企業も参加しました。この憲章の下、各社はCOVAXを支援するため、新型コロナワクチンやワクチン接種に不可欠な物資の計画、準備、優先輸送・配布に向け、共同で取り組むことを約束しました。署名者はまた、COVAXに代わってワクチンと関連物資を国際的および各国内で優先的に配布するための取り組みや解決策を通じ、ユニセフの世界ワクチン物流配布を支援することを約束しました。
これまでに、複数の署名企業が、ユニセフによる支援ニーズの調査を踏まえ、具体的な無償支援の提案を申し出ています。これには、コペンハーゲンにある世界物流調整セルを支援する専門物流要員の派遣や、地域・国レベルでの業務支援が含まれます。倉庫やコールドチェーンのインフラ整備に向けた取り組みも支援対象です。ユニセフは現在、これらの企業と協議し、提案を具体的な行動に移そうとしています。
世界経済フォーラムとユニセフは、新型コロナワクチン対応でユニセフを支援するために名乗りを上げた憲章署名企業に感謝し、その貢献を称えるとともに、すべての署名企業に支援の最大化を呼びかけます。しかし、全員の協力が必要です。ほかの民間企業にも、資産や専門知識を共有し、この世界的な共同の取り組みに加わるよう呼びかけます。
COVAXファシリティに対する世界的な結束、動員、関与、支援は、政府、NGO、民間企業、国連が共通の目標に向けて協力すれば何を実現できるかを示す、まさに注目すべき事例です。新型コロナウイルス感染症と闘い、世界中でワクチン接種を進める競争において、「すべての人が安全になるまで、誰も安全ではない」のです。
低所得国および低中所得国でワクチンを公平に利用できるよう、すべての関係者に連帯を呼びかけます。そうすることで、子どもや家族に不可欠なサービスを再開し、より良い復興を実現できます。
国内外に事業基盤を持ち、世界的なワクチン配布に向けた共同の取り組みへの参加に関心のある物流企業は、ユニセフとCOVAXによるワクチン配布を支援する世界経済フォーラムのサプライチェーン・輸送業界憲章に署名し、Jiten Vyakarnam(jiten.vyakarnam@weforum.org)までご連絡ください。
