世界経済フォーラムは論点ブリーフィングを開催し、世界予防接種週間を記念しました。
世界各地の専門家が、ワクチンの公平性を確保し、新型コロナウイルスワクチンへの信頼を築き、保健システムを強化するにはどうすればよいかについて議論しました。
パネリストの主な発言は以下のとおりです。
世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染症をパンデミックと宣言してから1年余りが経過し、10億回分以上のワクチンが接種されています。
しかし、その大部分は先進国で接種されており、ワクチンへの平等なアクセスがない国々では、パンデミックが引き続き広がっている状況です。
世界経済フォーラムが世界予防接種週間を記念して開催した論点ブリーフィングでは、世界各地の専門家が、ワクチンの公平性を確保し、新型コロナウイルスワクチンへの信頼を築き、次のパンデミックに備えて保健システムを強化するにはどうすればよいかについて議論しました。
パネリスト:Aboubacar Kampo(ユニセフ保健プログラム部長)、Heidi Larson(ロンドン衛生熱帯医学大学院 人類学、リスク・意思決定科学教授)、Garth Graham(Google/YouTube ヘルスケア・公衆衛生 担当ディレクター兼グローバル責任者)、Julie Gerberding、 (MSD 上級副社長兼最高患者責任者、コミュニケーション、グローバル政策、人口保健担当)、Genya Dana、 (世界経済フォーラム ヘルスケア部門長)
セッションの主な発言は以下のとおりです。
ワクチンの公平性について:
Kampo:ワクチンを公平に配分しなければ、新たな変異を抑えることはできません。すべての人が、同じ方法で、公平にワクチンを利用できるようにし、変異を防ぐ必要があると考えます。
Gerberding: これまで2億回分を超えるワクチンを年間で製造したことはありません。そのため、このワクチンを世界共同体のニーズに真に応えるかたちで届けることは、極めて困難な課題です。コップに半分残っていると前向きに考えれば、我々は大きく前進してきましたが、すべての人が安全になるまで誰も安全ではないという点には全面的に同意します。また、我々は地球市民として、ワクチンを届けるだけでなく、それを人々の腕に届けるために必要な保健システムと信頼をどのように支えていくかを考えなければなりません。
信頼の構築について:
Larson:問題はワクチンそのものへの信頼だけではなく、保健制度への信頼や、ワクチンを提供する人々への信頼です。「信頼の連鎖」は非常に重要です。供給はその全体像の一部であり、供給が受けられないと、人々は制度への信頼を失い始めます。また、準備段階での公平性と、人々の信頼を築くための先行投資も必要です。
Larson:信頼は2つの要素から成り立っています。基本的には、機関や個人が約束したことを実行できる能力への信頼と、その動機への信頼です。そして、そこに人々が現実的な不安を抱いている場合があります……人々の声に耳を傾け、疑問に丁寧に向き合えば、人々はそれを覚えているはずです。私たちは今、歴史をつくっています。世界がこの時期を記憶するでしょう。そして、人々が自分の声が聞かれ、関わってもらえたと感じれば、その記憶は残ります……私たちは人々に深い共感を持ち、寄り添う必要があり、人々はそれを覚えているでしょう。
Graham:信頼できる情報を地域社会に届ける上で、私たちは非常に大きな役割を担っています。ワクチンは、私たちが生きてきた中で最も大きな公衆衛生上の成果の一つであり、新型コロナウイルスだけでなく、保健および公衆衛生全般において、地域社会がその過程に信頼と安心を持てるようにすることが重要です。
Dana:人々は、雇用主がこうした情報を届けてくれることを信頼しているという兆しが数多くあります。これは、フォーラムにとって非常に有益でした。企業の最高保健責任者や最高人事責任者を動員し、その協力を得て、メッセージの拡散を支援してもらうことができたからです……そして、ワクチンは最も効果的な公衆衛生上の介入の一つであることを説明してもらっています。新型コロナウイルスのパンデミックのこの時期において、これほど真実であったことはありません。
その他の予防接種プログラムについて:
Kampo:他の疾病も、新型コロナウイルスのために休止しているわけではなく、あらゆる対策は引き続き進行しています。例えば母子保健では、一部の国でサービスが40~50%近く減少しています。予防接種サービスは危機の初期に大きな打撃を受けました。最初に回復し、軌道に戻ったのは予防接種サービスでしたが、それでも人材は他の分野へ振り向けられたままです。
Kampo:新型コロナウイルス以前から、少なくとも2,000万人の子どもが、他の疾病に対するワクチンを一度も接種していません。重要なのは、いわゆる「ゼロドーズ(未接種)」の子どもがいる場合、それはゼロドーズ・コミュニティが存在することを意味する点です。このようなコミュニティでは、保健サービスだけでなく、インフラ、教育サービス、栄養サービスも不足しています。これらの地域社会の困窮は複雑であり、それが信頼の問題にもつながっています。
保健システムの構築について:
Kampo:保健分野を単なる支出の枠としてではなく、将来への投資分野、すなわち投資の枠として捉えるべき時期に来ていると考えます。保健に投資しなければ、保健システムに投資しなければ、我々が実施しているその他すべてのプログラムはより高価になるか、ポリオで見られたように縦割りになってしまいます。
パンデミックへの備えについて:
Gerberding: 28の国や地域が、はしかやその他の小児向け予防接種プログラムを一時的に停止しています。はしかは、SARS-CoV-2と同等か、それ以上に感染力が強く、はしかの流行が起きると予測しています。これは、予防接種システムが機能不全に陥っていることを示す、いわば「炭鉱のカナリア」です。まず何よりも、各国は基礎となる小児予防接種プログラムを再活性化する必要があります。そのうえで、ワクチンで予防可能な疾病に感染している、またはそのリスクにある青少年や成人も対象となります。これはほとんどの国における保健防衛の最前線であり、パンデミックへの対応を進める中で、この最前線が崩れないようにしなければなりません。
Kampo:保健システムをより良い形で再建するには、まず何よりも各国自身によるコミットメントが必要です。特に低中所得国の政府による財政的なコミットメントが、プライマリヘルスケア制度を真に強化するために必要です……あるパンデミックのために、別のパンデミックへの備えを犠牲にしてはなりません。
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