パンデミックを機に、貨物が都市内や都市を通過してどのように運ばれるかを見直す必要性が明らかになりました。
長期的なモビリティの解決策には、インフラの改善、官民連携の強化、テクノロジーのすべてが役割を果たします。
貨物配送はすでにモビリティの大きな部分を占めていますが、この業界はなお成長しており、予想以上に拡大する可能性もあります。世界的なパンデミックの影響を織り込んだ予測がないためです。近い将来、私たちの習慣はどう変わるでしょうか。外出が減り、その代わりに配送への依存が高まるのでしょうか。
都市貨物輸送の長期的で体系的な解決策づくりは、パンデミック以前から課題であり、今も解決していません。疑問は増えただけですが、短期・中期の設計改善によって答えられるものもあります。
オンライン小売と配送の成長は、地方自治体が追いつけないペースで進むことが多く、解決策に公共部門が想定されていないことも少なくありません。そのため、より良いインフラ整備を計画することが難しくなり、先を見越した計画よりも、状況への対応が中心になりつつあります。しかし、現在は道路の混雑が少ないため、地方自治体は自転車レーンなど、長期的な環境面の便益をもたらすインフラ改善に迅速に投資すべきです。徒歩を除けば、自転車と電動自転車は都市の移動手段として、環境負荷が最も小さく、費用対効果にも最も優れています。電動貨物自転車なら、混雑や排出量を増やさずに、配達員が市内を容易に移動できます。民間企業はすでにこの解決策を試し、良好な成果を上げています。自転車レーンなどのインフラでこの取り組みを支えることが、適応のための最も迅速で持続可能な方法です。幸いなことに、世界各地の都市で、この方針が進められています。
第二の戦略は、官民連携のより良い仕組みを設計することです。配送サービスの需要が増えると、事業者は事業を拡大し、地方自治体と協力してより良い条件を整えるのではなく、供給能力を高めて対応します。率直に言えば、小包や荷物の配送に関して、公共の解決策は姿を消しつつあります。これは大きな矛盾です。数十年前の国営郵便事業は、現在のモビリティの課題を解決するうえで、不可欠な存在になり得たからです。
データとインフラを活用して官民パートナーシップを最適化するなど、より良い連携の仕組みについては、すでにアイデアがあります。公に議論されている解決策の一つが、ロサンゼルス市のMobility Data Specificationプラットフォームです。この仕組みは、配車サービスやマイクロモビリティの事業者に市とのデータ共有を義務づけています。適切なプライバシー保護のもとで正しく実施すれば、この取り組みには貨物輸送も含めるべきです。現在、大手配送サービスの多くは自社の貨物拠点と配送車両を保有しています。各社は、配送時間の短縮と目的地までの走行距離の最小化を目指す戦略を立てています。こうした企業にとって、効率性は重要です。移動時間を短縮し、車両の積載スペースをより有効に使えれば、コストを削減できます。各社はすでにデータを賢く活用して業務を最適化しています。しかし、配送需要が増えるにつれ、需要に合わせて絶えず最適化しようと、後追いの対応も続けています。配送が増えれば車両も増え、道路の混雑につながります。この問題はまだ解決が必要です。
郵便に再び役割を
ここで、かつての郵便局、あるいは少なくとも同様の仕組みが復活する可能性があります。人口密度の高い都市部では、公共の郵便局のような中央貨物拠点が、民間所有の拠点に取って代わるべきです。こうした拠点は、より多くの小包や荷物を保管できるうえ、民間の運送事業者との連携を強化し、円滑にするデータ共有拠点としても機能します。また、専用の貨物輸送手段で相互に結ぶこともできます。例として、シカゴ・トンネル・カンパニーやロンドン郵便局鉄道が挙げられます。これら2つのインフラは、個人の移動による混雑を増やさずに荷物を運ぶために設計されました。1906年に建設が始まったシカゴ・トンネル・カンパニーは、地上の交通を妨げずに石炭や郵便物を輸送できる、貨物専用の地下鉄網をつくることを目的としていました。これに着想を得てロンドン郵便局鉄道が建設され、2003年に運行を終了しました。最盛期には、地下網を通じて8か所の郵便物仕分け施設を結んでいました。
マンハッタンでは、島の地形を考慮して、同様の貨物専用輸送手段を構想できます。川沿いに貨物拠点を設置する方法や、貨物を島内に運ぶ電動高架鉄道を整備する方法が考えられます。後者は、現在のハイラインが当初担う予定だった役割です。公共の拠点を官民連携の場として活用すれば、混雑と排出量を減らしながら、民間の配送サービスによる取り組みの最適化を支援できます。
こうした拠点は、より良いシステム設計の一部ですが、設計は、電動の自動運転貨物車や廃棄物収集車など、より短期的な車両面の改善にも役立ちます。混雑の緩和という観点では、個人の移動に自動運転車を使う意味はほとんどありません。これに対して、マンハッタンのような島に特化して設計した自動運転の電気自動車なら、特定の環境に合わせて学習させるだけで、その環境で優れた性能を発揮できます。第二に、無人の貨物配送は、車両のあり方を見直すきっかけにもなります。配送はトラックやピックアップトラックで行うものだと私たちが慣れているからといって、それらが必ず配送車両に選ばれるべきだとは限りません。配送の種類に応じて、異なる車両設計を採用できます。家具配送用には細長い車両が考えられます。一方、小型の小包配送車両や廃棄物収集ユニットを搭載する、大型の隊列車両、いわば移動式の拠点も考えられます。道路を走る航空母艦のようなものを想像してください。自動運転の小型車両を搭載し、貨物、廃棄物、さらには食事の配送に関する業務を行います。たとえば、既存のごみ収集車に便乗する寄生型のロボット車両も想像できます。
これらの車両は、最適化や機能変更のためのテクノロジーを活用し、中央制御の拠点と連携します。
まとめると、新型コロナウイルス感染症は、貨物輸送をできるだけ早く改善する機会をもたらす可能性があります。数年以内に設計を終え、実用化できる解決策もあります。しかし長期的には、貨物輸送による混雑と排出量を減らすため、官民が資源を持ち寄って協力することが鍵です。都市モビリティ全体を改善するには、COVID-19後も含めて全体像を見る必要があり、貨物輸送を軽視してはなりません。むしろ、体系的なデザイン思考を主導役に据えるべきです。

