少女たちは友人と一緒に地元の学校で列を作り、自分の名前が呼ばれるのを待っていた。不安そうな子も多かった。というのも、そのほとんどは赤ん坊の頃以来、ワクチン接種を受けていなかったからだ。2013年、ルワンダのガケンケ地区にある村、カニラバニャナに新しいワクチンが届いた。赤土の道を進んでたどり着くこの村は、なだらかな丘と、バナナからジャガイモまでさまざまな作物を育てる農園に囲まれている。国の予防接種プログラムの一環として幼い子どもにすでに提供されていた10種類のワクチンとは異なり、このワクチンは年長の少女、つまり小学校最終学年の11~12歳に提供された。
その3年前、ルワンダは子宮頸がんの予防を保健医療上の優先課題にすることを決めた。政府は製薬会社メルクと提携し、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)のワクチンをルワンダの少女たちが接種できる機会を設けることに合意した。
アフリカの国が子宮頸がんの全国的な予防プログラムに乗り出したのは、これが初めてだった。ルワンダはアフリカで初めて子宮頸がんを撲滅する国になれるだろうか。
それは野心的な目標だった。子宮頸がんはルワンダ人女性に最も多いがんであり、ワクチン接種プログラムには大きな文化的障壁があった。HPVは性感染症であり、ルワンダでは性について話すことがタブーだからだ。さらに、ワクチンが不妊の原因になるといううわさから、娘に接種させることをためらう親もいた。
ルワンダの経済と歴史を考えても、HPVワクチンの高い接種率を実現できる国とは思えなかった。1994年のジェノサイド後、同国は世界で最も貧しい国の一つに数えられた。高所得国でさえHPVワクチンの接種率は中程度にとどまっていた。米国やフランスで高い接種率を達成できなかったのに、ルワンダにどうしてできるだろうか。
世界で、子宮頸がんは女性に多いがんの第4位である。2018年には推定57万件の新規症例があり、31万人以上が死亡した。その大多数は低・中所得国で発生している。サハラ以南アフリカでは、HPVワクチンの導入や定期検診が世界の他の地域に後れを取っている。そのため、がんが進行期に達するまで発見・治療されないことが少なくない。
子宮頸がんのほぼすべての症例はHPVが原因だ。HPVは世界で最も一般的な性感染症の一つであり、私たちの大半は人生のどこかの時点で、少なくとも一種類の性器HPVに感染する。たいていは10代か若年成人の頃だ。多くの場合、ウイルスに害はなく、性器いぼなどの症状を引き起こすことなく自然に消失する。
HPVには100種類を超える型があり、そのうち少なくとも14種類は子宮頸がんや、陰茎、膣、肛門などに生じる比較的まれながんの原因となりうる。HPVの16型と18型の持続感染が、子宮頸がん症例の70%を占める。
HPVワクチンが初めて利用可能になったのは2006年だった。これは何十年にもわたる研究の集大成であり、とりわけドイツの科学者たちは1983年にHPV感染と子宮頸がんの関連を発見した。
その後、オーストラリアのクイーンズランド大学にいたイアン・フレイザーと周健(Jian Zhou)は、HPVワクチンを可能にする技術を共同開発した。組換えDNA技術を使い、ウイルスの殻を一から作り、研究室で「空の」ヒトパピローマウイルスを作製した。
「これは、それまで誰も成し遂げていなかったことです」とフレイザーは言う。彼らは、この空で感染性のないHPVを、HPVと子宮頸がんを予防するワクチンとして使えると気づいた。
子宮頸がんにかかる女性の数を大幅に減らせる新しいワクチンが登場したというニュースは、世界中に広まった。しかし、新しいワクチンへの期待が高まる一方で、すべての少女に同じように接種の機会があるわけではないことも明らかになった。高所得国への導入から低所得国への導入まで、少なくとも10年はかかると見込まれていた。
現在、HPVワクチンは3種類ある。メルク製のガーダシルとガーダシル9、そしてGSK製のサーバリックスだ。いずれもウイルスの16型と18型の感染予防に非常に高い効果がある。最も新しいガーダシル9は2014年に承認され、HPVの9種類の型を予防する。この9種類を合わせると、子宮頸がんの約90%の原因となる。

ルワンダのジェノサイドでは80万人以上が亡くなり、広範な破壊によって国は荒廃した。世界保健機関(WHO)が推奨する小児予防接種の大半で、接種率は25%を下回るまで急落した。しかし20年もたたないうちに、ポリオ、麻疹、風疹など、推奨されるすべてのワクチンを接種したルワンダの乳児の割合は約95%に上昇した。ルワンダ人の平均寿命は1995年から2011年の間に2倍以上になった。ルワンダ政府は、ワクチン接種に対する決意と徹底した取り組みを示していた。今度はHPVでも同じ成果を上げられるだろうか。
HPVワクチンがカニラバニャナに届く前、地域保健員のミシェル・ントゥヤハガ(63歳)は数週間かけて村を回り、土壁の家127軒を一軒ずつ訪ね、これから始まるワクチン接種キャンペーンについて親たちに知らせた。
看護師を伴い、思春期の娘がいる親には、女性の命を脅かす病気、子宮頸がんのワクチンを娘に接種させる機会があると説明した。
「親たちには、がんは病気であり、それを防ぐ唯一の手段はワクチン接種だと説明しました」と彼は言う。
ワクチン接種キャンペーンについて地域の人々に教えていたのは、ントゥヤハガだけではなかった。
コンスタンティン・ニランセンギエラは、カニラバニャナで13年間、小学校教師を務めてきた。数学、理科、フランス語、英語を教えるだけでなく、地元の学校にいる12歳の少女全員を集め、HPVワクチンについて教える役割も担ってきた。現在もその役割を続けている。
カニラバニャナの英国国教会で24年間指導者を務めてきたシラス・ベリニュマは、ワクチンが村に届く数週間前から、その重要性について説教した。教会では演劇を用いて、子宮頸がんがもたらす壊滅的な影響を描いた。こうした活動は今も続いている。
同じ啓発キャンペーンは全国各地で行われていた。ルワンダには、すべての村にいるボランティアの地域保健員が4万5,000人いる。ブゲセラは東部州の地区で、ブルンジとの国境から遠くない。地区を通る道路沿いには、清涼飲料水の広告と並んで公衆衛生のメッセージを掲げた看板が並ぶ。その一つにはこうある。「子どもたちと性について話そう。それが命を救うかもしれない。」
幹線道路からほど近いところに、バナナ農園に囲まれたカランビ村がある。幼児たちは赤土の道でタイヤを転がし、10代の若者は頭に薪をいくつも載せ、大人たちは牛やヤギを追う。
2013年、当時12歳だったアーネスティン・ムホザは学校でHPVワクチンを接種した。「先生たちは女子だけを集会に呼び、12歳の少女の間で特定のがんが増えているので、私たちもワクチンを接種する時期だと話しました」と彼女は言う。
ルワンダ政府は、ワクチン接種に対する決意と徹底した取り組みを示していた。今度はHPVでも同じ成果を上げられるだろうか。
ワクチン接種について親に伝えようと家に帰ったとき、親たちはすでにラジオや地域保健員を通じてその話を聞いていた。
ムホザの両親はすぐに同意した。しかし、すべての親がそうしたわけではない。懐疑的な親もいた。なぜ今、この年齢で娘にワクチンを接種するのか。なぜすべての少女や女性がワクチンを受けられないのか、と彼らは疑問に思った。また、ワクチンを接種すると少女が不妊になるといううわさもあった。
地域保健員のオデット・ムカルモンギは、うわさを打ち消そうとカランビで懸命に活動した。「子宮頸がんになると、少女はずっと生理が続く、つまり出血が止まらなくなると親たちに話しました」と彼女は言う。
ムカルモンギによると、親たちはやがて「折れて」、娘にワクチンを接種させた。今では地域で広く受け入れられているのを目にしているため、親が拒否することはめったにないという。
カニラバニャナでも、ントゥヤハガはワクチンを接種しても娘が妊娠できなくなるわけではないと親たちを説得するため、同じように懸命に取り組んだ。
「親たちは、ワクチンで少女が不妊になると聞いていました。それは事実ではないと説明するのに苦労しました。がんになれば不妊になるのだから、娘たちにワクチンを接種してがんを防ぐほうがよいと話しました」と彼は言う。
地域保健員や看護師は、女性の生殖器のポスターを持って各家庭を訪れ、子宮頸がんが娘たちにどのような害を及ぼすかを親に示した。
保健省の母子・地域保健部門の責任者フェリックス・サインゾガはこう話す。「ルワンダ人はがんを本当に恐れているので、ワクチンの導入は容易でした。地域の人々が政府を信頼していることも関係しています。それはとても重要でした。地域の人々は、私たちが彼らにとって有害なものを持ち込まないと知っているのです。」
現保健大臣のダイアン・ガシュンバも、政府への信頼がワクチン接種の普及を支えるうえで極めて重要だったと認める一方、ワクチンをめぐるうわさを払拭するのは難しかったと語る。
「うわさは予想していませんでした。しかしもちろん、HPVワクチンは新しい対象グループ向けの新しいワクチンだったので、多くの疑問が寄せられました。」さらに彼女は、教会や村の指導者、地域保健員、ラジオ番組がワクチンに関する誤解を解くうえで不可欠な役割を果たしたと付け加える。
何百万人もの命を救う可能性があるにもかかわらず、HPVワクチン接種は論争や反発に巻き込まれており、近年その傾向は強まっている。
性行為が始まる前に接種すればHPVにさらされるリスクを減らせるため、ワクチンは少女に推奨されており、国によっては12~13歳の少年にも推奨されている。このことから、ワクチンは乱交と結び付けられてきた。性感染症を防ぐために幼い少女に接種すると、少女に性的な意識を持たせ、性行為を促すという考えだ。ワクチンを接種した少年や少女が、接種していない子どもより早く性行為を始めるという証拠はない。しかし、子宮頸がんで毎年6万7,000人以上の女性が亡くなるインドが、定期予防接種プログラムへのHPVワクチン導入を拒否している理由の一つは、この懸念である。
インドのグジャラート開発研究所の社会研究者で名誉教授を務めるリーラ・ヴィサリアはこう話す。「人々がワクチンを望まない根本的な理由は、思春期の少女に接種することです。少女たちが乱交するようになるのではないかと恐れているのです。」
HPVワクチンの安全性をめぐる虚偽の主張も、親たちの懸念をさらにあおってきた。この誤情報はソーシャルメディアを通じて世界中に急速に広まった。日本の接種率は70%超から1%未満へと急落した。デンマークなど、ヨーロッパの一部でも接種率が低下した。一方アイルランドでは、対象を絞ったソーシャルメディアキャンペーンによって、HPVワクチン接種率の急激な低下が反転しつつある。
テキサス州ベイラー医科大学のワクチン研究者で、国立熱帯医学大学院の学部長を務めるピーター・ホテズも、ワクチンが少女たちを性的に目覚めさせるという懸念は問題だと認める。「もう一つの問題は、反ワクチン運動がワクチンについて虚偽の主張をしてきたことです。自己免疫疾患や麻痺を引き起こすという主張です。」
「この運動は、砂に線を引いて『もうワクチンはいらない』と言おうとしているのだと思います。HPVのようなものが出てくると、できる限りのことをして攻撃する。壊滅的な影響が出ています。このたわごとが輸出され、アフリカでワクチン接種率に影響するのではないかと心配です。」
「当初、HPVワクチンが各国で導入されたとき、HPVとその感染経路に焦点を当てるのか、HPVががんにつながり、このワクチンでがんを予防できるという点に焦点を当てるのか、意見が分かれていました」とマーク・ファインバーグは言う。彼はメルクの元最高公衆衛生・科学責任者で、ルワンダのプログラムに関わった。
「ルワンダはがん予防を強調しました。ワクチンは若い女性を子宮頸がんから守るためにあると伝えようとしたのです。」

保健省のサインゾガも、政策担当者がワクチンを性と結び付けないと意識的に決めたことに同意する。「私たちはワクチンを性と結び付けませんでした。むしろ、子宮頸がんの影響、つまり不妊を引き起こす可能性に焦点を当てました。性はキャンペーンの一部ではありませんでした」と彼は言う。
これは公衆衛生の専門家の間で、正しい判断として広く認められている。
最初のHPVワクチンを共同開発した免疫学者のイアン・フレイザーはこう話す。「HPVワクチンには否定的なイメージが結び付いてきました。子宮頸がんを性感染症として捉えるようになったのです。もちろん実際にそうなのですが、慎重でなければなりません。国ごとに適切な伝え方があります。今は、子宮頸がんを予防するワクチンとして話しています。それが正しい戦略だと思います。」
カランビで、現在17歳のムホザはこう話す。「ほら、特に性に関わることなど、公然と話せないことがあります。」
ルワンダとメルクが協定を結んだことで、2011年から製薬会社は3年間、HPVワクチンを無償で同国に供給することになった。
世界最大級の製薬会社の一つであるメルクは、低所得国でもワクチンを導入できることを示したいと考えていた。これらの国でワクチンへのアクセス拡大を目指す世界的な保健連合、Gaviが注目して参加することを期待していたのだ。
「確かにメルクは営利企業ですが、私たちの動機はワクチンの効果を最大限に広げることでした。革新的な技術をより広く利用できる方法を見つけたかったのです」と、現在、国際エイズワクチン・イニシアチブの会長兼CEOを務めるファインバーグは言う。
「子宮頸がんの予防に大きな効果をもたらすワクチンがあるとすぐに気づきます。そして、疾病負担が最も重いのは世界で最も貧しい地域社会です。良心に照らして、ワクチンを手頃な価格にし、持続可能なワクチン接種プログラムをつくるために行動しないわけにはいきません。」
「ルワンダのプログラムには二つの目的がありました。恩恵を受けられる人々にワクチンを届けること、そして何が可能かを示すことです。ルワンダは国民の健康への取り組みが並外れている国です。ルワンダで可能でなければ、他のどこでも無理だと分かっていました。」
ルワンダがメルクとの提携を決めたことには、批判も寄せられた。ランセットに寄せた痛烈な書簡で、ドイツの公衆衛生研究者たちは、HPVプログラムは「人々の最善の利益になっているのか、重大な疑問がある」と述べた。彼らが指摘した大きな問題は、この地域では子宮頸がんの疾病負担が重いとはいえ、破傷風や麻疹など、ワクチン接種の優先度がはるかに高い病気があるということだった。
ルワンダで可能でなければ、他のどこでも無理だと分かっていました
当時のルワンダ保健大臣アグネス・ビナガホは、米国の研究者2人と連名で公開書簡を出して反論した。ルワンダでは破傷風と麻疹の予防接種率はすでに非常に高いと述べ、こう問いかけた。「プログラムの第1段階で、感染率の高い発がん性ウイルスに対するワクチンを無償で接種する33万人のルワンダ人少女は、『人々』と見なされないのでしょうか。」
アフリカでの抗レトロウイルス療法に対する過去の反対になぞらえ、彼らはこう述べた。こうした異議は「アフリカ諸国による進歩的な保健政策に対する最新の反動である。予防が可能なのに、生まれた場所だけを理由に女性をがんで死ぬままにすることは、人権侵害である。」
現在、ルワンダのグローバル・ヘルス・エクイティ大学で副学長を務めるビナガホは、HPVワクチン導入決定への批判に今も手厳しい。「反発を引き起こした人たちは、きちんと調べていません。私たちの国を知らず、子どもたちが利用可能な他のワクチンをきちんと接種していることも知らないのです。[HPVワクチンは]女性に最も深刻な被害をもたらすがんの一つを予防する優れた手段です。子宮頸がんと、それがもたらすすべての苦しみを防ぐほうが費用もかかりません。」
ルワンダは、HPVワクチンの高い接種率を達成できることを世界に示した。保健省の報告によると、現在、少女の93%がワクチンを接種している。
ルワンダでは少女のほぼ全員が学校に通っている。また、ワクチンを届ける戦略に地元や宗教の指導者、地域保健員、教師を体系的に参加させたことで、ワクチンの利点を広め、誤解に対処する効果が非常に高まった。
「ルワンダがこれほど成功した最大の理由の一つは、何よりもまず政治的な意思と全国的な動員です。二つ目は、学校を基盤とするプログラムを選んだことです」と、ハーバード医科大学の学生で、かつてビナガホの研究助手を務めたクレア・ワグナーは言う。
少女へのワクチン接種に成功したことで、ルワンダがこの病気の撲滅に向けて急速に前進しているという期待が高まった。「私たちは目標に向けて取り組んでいます。国民を第一に考えています」と、保健大臣のガシュンバは言う。
2006年以降、80を超える国がHPVワクチンを定期予防接種プログラムに導入した。その大半は、オーストラリア、英国、フィンランドなどの高所得国だ。これらの国ではHPV検診プログラムもあり、子宮頸部細胞診から、5年ごとに受けるより高度な検査への移行が進んでいる。この検査では、がんが発生する前に高リスク型HPV感染を検出できる。
ルワンダでは、2011年にHPVワクチンが導入されるまで、公的医療施設で子宮頸がん検診を受けることはできなかった。少数の民間診療所やNGOが散発的に実施していたにすぎない。ワクチン接種プログラムとともに、ルワンダは子宮頸部病変とがんの予防、管理、治療に関する国家戦略計画も開始した。女性は地元の保健センターまたは地区病院で、酢酸を用いた子宮頸部の目視検査(VIA)を受けることになっている。看護師や医師が行うこの検診は、HIV陽性の30~50歳の女性と、その他の35~45歳の女性を対象に実施されている。この検診の有効性や普及状況は明らかでない。
「VIAの問題は、女性の5人に1人が陽性となる一方、治療が必要なのは5%にすぎないことです。医療制度にとって莫大な費用になります」とフレイザーは言う。「早く成果を出したいなら、何らかの検診プログラムが必要ですが、途上国でそれをどう設計すべきか、どの程度実現可能かについては多くの議論があります。」
ブゲセラで地域保健員を務めるオデット・ムカルモンギによると、最寄りの保健センターでは子宮頸がん検診を行っていない。その代わり、骨盤の痛みや生理が止まらないなどの症状があれば、保健センターで診察を受けるよう少女や女性に伝えている。
子宮頸がん症例の大半は40代と50代の女性に発生するため、ルワンダが子宮頸がんを撲滅するには、ワクチンの恩恵を受けていない女性も含め、すべての女性に届く強固な検診プログラムが必要となる。
サハラ以南アフリカやアジアの国々は、子宮頸がん検診プログラムの実施に苦労してきた。地理的な課題、資金不足、HIVやマラリアなど他の健康問題との競合もあり、子宮頸がんは大半の政策担当者にとって優先課題ではなかった。高所得国では女性のがん全体の1%未満を占める一方、低・中所得国では約12%に上る。だからこそHPVワクチンは極めて重要だ。こうした国々の少女や女性にとって、この病気に対する最善の、そして多くの場合唯一の防御手段だからだ。
ルワンダの子宮頸がん撲滅キャンペーンが成功するかどうかを左右するもう一つの要因は、HPVワクチン接種プログラムを継続できるかどうかだ。2014年、メルクによるガーダシルの寄付は終了した。ファインバーグが期待していた通り、Gavi連合は共同出資モデルを通じてルワンダのHPVプログラムを支援すると発表した。ルワンダはワクチン1回分につき20セントを負担し、残りの4.50ドルをGaviが負担する。国の経済成長が続くにつれ共同出資の負担額は増え、一定の基準に達すると、その後5年間かけてGaviの支援が段階的に終了する。最終的には、ルワンダがHPVワクチンの費用を全額負担することになる。
この国は、その費用を賄えるだろうか。
保健省のサインゾガは、将来ワクチンの費用を負担できるかどうか懸念していると認める。「HPVワクチンは非常に高価です。私たちは毎年、次の3年間の計画をどう立てるか検討しています。私たちは必要に迫られてメルクの支援を受け入れました。国民の命に投資する必要があります」と彼は言う。
ガシュンバによると、保健省はワクチンを健康保険に含めるなど、ワクチン接種プログラムを持続可能にする方法を検討している。
将来どのような課題があろうとも、ルワンダは今日、少女へのHPVワクチン接種で驚くほど高い接種率を達成している。これは世界各国の励みとなるべき、並外れた公衆衛生上の成果だ。
ルワンダが今年後半に新たなワクチン接種を始める準備を進めるなか、多くの女性の命を救ったワクチンを生み出した免疫学者は、世界が安心しきってはならないと考えている。「全員がワクチンを接種するまでは、安心できません」とフレイザーは言う。

