大気浄化について、米国が中国から学べること

A chimney in an industrial area of Sydney emits vapour June 22, 2009. Australia's government, facing Senate defeat of key emission trading laws, vowed on Friday to bring its climate-fighting regime to the upper house a second time, opening the door for a possible snap election. REUTERS/Tim Wimborne (AUSTRALIA ENERGY POLITICS ENVIRONMENT IMAGES OF THE DAY) - RTR24WOS
The US is prioritising economic growth over protecting air-quality to the detriment of public healthImage: REUTERS/Tim Wimborne
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毎年、世界で400万人を超える人々が、汚れた空気を吸い込むことで早期に命を落としています。中国だけでも、大気汚染による死者数は年間100万人を超えます。この数字は驚くことではないかもしれません。北京や上海をはじめとする中国の都市が、濃く煤けたスモッグに覆われる映像が、メディアで日常的に報じられているからです。しかし、米国の大気も人々の命を奪っており、その問題への注目ははるかに低いのです。

MITの2013年の研究は、大気質の悪化が米国で毎年20万人の早期死亡につながっていると推定しました。これは自動車事故や糖尿病による死者数を上回ります(別の研究では、約10万人に近い、より少ない数字が示されています)。それでも、中国が現在、大気汚染問題に積極的に取り組んでいる一方で、米国は経済成長を名目に大気質を守る規制を後退させています。人々の健康に壊滅的な影響を及ぼす、誤った戦略です。

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ハーバード大学の「シックス・シティーズ」研究が1993年に発表されて以来、科学者や公衆衛生当局者は、微小粒子状物質、すなわちPM2.5(直径2.5マイクロメートル未満の浮遊粒子)と死亡率との関連を認識してきました。PM2.5を吸い込むと、ほこりや汚れ、有機化学物質、金属からなる微細な固体や液滴が肺の奥深くまで入り込み、血流に達することさえあります。過去20年間の研究により、PM2.5は喘息、急性気管支炎、肺がん、心臓発作、心肺疾患など、さまざまな健康被害と結び付けられています。

PM2.5の主な発生源も分かっています。発電所、重工業、自動車です。化石燃料の燃焼では、世界で最も一般的な温室効果ガスである二酸化炭素とともに、燃焼しきらなかった固体や気体の粒子(主に二酸化硫黄と窒素酸化物)が大気中に放出されます。これらは大気中で化学反応を起こし、微小粒子状物質を形成します。

有害な汚染物質とその発生源を特定した米国環境保護庁(EPA)は、1990年大気浄化法に基づき、PM2.5濃度を下げる新たな基準を導入しました。EPAの推計では、1990年から2015年の間に、国内の粒子状物質濃度は37%低下しました。また、規制の効果により、2010年には約16万人の早期死亡が防がれました。つまり、汚れた空気に関連する死亡が依然として相当数あるものの、米国は今年までは正しい方向に進んでいたのです。

しかし今、米国のドナルド・トランプ大統領は、「信じられないほどの繁栄」を実現すると約束し、石炭火力発電所からの有害排出を減らす規制を撤廃し、自動車の燃費基準を引き下げるか廃止し、EPAを解体しようとしています。さらに、フラッキングへの規制を撤廃し、石炭採掘のために公有地をより多く開放し、北極海と大西洋での石油・ガス生産を拡大すると誓っています。

ひとまず、こうした措置が化石燃料産業だけでなく、国全体に実際に繁栄をもたらすと仮定しましょう。国として、米国はいくらの代償を払うつもりなのでしょうか。年間何人の早期死亡なら多すぎるのでしょうか。

経済成長と人々の健康をゼロサムの関係にしなくてもよい選択肢があります。そして皮肉なことに、そのヒントを得られる場所の一つが中国です。

中国を見習うべきモデルとして掲げるのは、ばかげているように思えるかもしれません。実際、中国のPM2.5濃度は米国よりかなり高く、特に石炭をはじめとする化石燃料の消費量もはるかに多いのです。しかし中国の政策担当者たちは、方針を転換し、化石燃料への依存から脱却して、クリーンエネルギーと環境技術を動力源とする未来志向の経済を築くため、力強い措置を講じています。世界経済の最前線に中国を押し上げる経済です。

現在、中国は世界最大の投資国として再生可能エネルギーに資金を投じており、2015年の投資額は合計1,030億ドルに達しました。米国の440億ドルの2倍を超える額です。世界の再生可能エネルギー分野で働く810万人のうち、350万人が中国におり、米国では100万人に届きません。クリーンエネルギーは環境にも経済にも有益だと考える中国は、再生可能エネルギー源の開発に2020年までに3,670億ドルを投じると表明しました。この投資規模により、1,300万人の雇用が生まれると見込まれています。

中国は国境の外にも目を向け、再生可能エネルギーや関連技術で培った専門知識を輸出しています。2016年には、オーストラリア、ドイツ、ブラジル、チリ、エジプト、パキスタン、ベトナム、インドネシアなどの再生可能エネルギー事業に数百億ドルを投資しました。

同様に、自動車による汚染を抑えるため、中国政府は電気自動車の普及を最優先課題の一つに掲げ、2020年までに国内の道路を走る台数を500万台にする目標を定めました。販売促進のため、購入者は販売税と物品税(1台あたり6,000~10,000ドル)が免除されます。また、従来型自動車が世界的にいずれ置き換わることを見越し、当局は国内製造に手厚い補助金を提供しています。

一方、トランプ政権は、時代を逆戻りさせようとしています。衰退し、人命を奪う化石燃料産業の復活に賭けているのです。トランプ氏は電気自動車への移行を雇用を奪うものと位置付け、国内での開発、製造、購入を促す連邦補助金の打ち切りを主張しています。その一例が、消費者向けの7,500ドルの連邦税額控除です。

化石燃料への依存によって中国は深刻な環境問題を抱えることになりましたが、指導者たちはそこから抜け出そうとしています。一方、米国は文字どおり自らの墓穴を掘っています。毎年、最大20万人の米国人が早期に命を落としている以上、どこに解決策があろうとも、それを探す取り組みを経済的な思い上がりで妨げてはなりません。

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