世界の医療データが秘める計り知れない力を解き放つには

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2,314エクサバイト。

EMCとIDCによるレポートによると、2020年までに世界の医療データ総量を保存するには、およそこれだけの容量が必要になります。比較すると、人類がこれまでに発したすべての言葉を保存するのに必要な容量は、およそ5エクサバイトです。2,314エクサバイト分のデータをタブレット端末に保存して積み重ねると、高さは82,000マイルに達するか、地球を3.2周することになります。また、あらゆる既知の言語で書かれた人類の全著作物の46,280倍に相当します。

この数字の大きさをじっくり考えてみてください。ここで、誰もが知っている二つのことをお伝えします。

誰もが知っていること #1:

これほどのデータには、医療提供のバリューチェーン全体を有意義に改善する変革力があります。OECDによると、世界の医療費は約8兆ドルに上りますが、経済的なプロフィールが似ている国々の間でも、患者にとって重要な成果の水準には数倍の差があります。また、同じ国の医療提供者間にも差があります。医療費を大幅に多く支出しながら、ケアの質では大きく劣る国もあります。

さらに、高齢化が進み、慢性疾患の発生率も高まるなか、こうした支出は今後も大幅に増加すると見込まれています。いずれ医療提供のコストは持続不可能な水準に達し、ケアの質が損なわれます。

データを収集し活用する技術はすでに存在し、コストと無駄を削減しながら、医療の成果を大きく向上させることができます。しかし現在、これらの技術は個別のサイロ内で稼働し、それぞれ異なる枠組みや標準を用い、他のシステムでは理解できない形式で情報を保存しています。たとえば、病院「A」の電子健康記録システムで収集したデータは、病院「B」の電子健康記録システムでは解釈できないことがよくあります。その結果、医療エコシステムは、病気の予防、患者のより良い治療、治療後の高い生活の質の確保に役立つデータの重要な力を活用できずにいます。

この課題への答えはシンプルです。標準化です。

インターネットの黎明期には、標準化によって枠組みと一連の「ルール」(TCP/IPなど)が設けられ、世界中のどこでコンテンツを作成する人もそれに従う必要がありました。標準は、インターネットの有用性、拡張性、そして世界的な成長を可能にしました。友人のSamsungとあなたのiPhoneがシームレスに通信できるのも、世界共通の標準群であるGSMのおかげです。

標準化後におけるインターネットと携帯電話の普及率Image: WEF/BCG分析

医療分野がデータの力を真に活用するには、サイロを解消し、医療データのアクセス性、有用性、拡張性を高める標準の策定が不可欠です。これにより、医学研究、薬価、臨床上の意思決定、患者のエンパワーメント、そして最終的には医療成果の改善に、非常に大きな好影響がもたらされます。オランダでは優れた事例が見られ、スウェーデンでもある程度同様の取り組みが進んでいます。データと成果指標の標準化に多大な努力が払われ、非常に良い結果を上げています。

誰もが知っていること #2:

技術革新の進展は、政策立案者や産業界がそれらを規制し活用する能力をしばしば上回ります。規制当局による強力で執行可能な指針の欠如に加え、産業界全体をまとめる取り組みがなかったことが、今日の医療データの分断状況を招いた一因と言えるでしょう。競争上の理由であれ、その他の理由であれ、世界の医療システムには、健康データと医療情報学の標準の統一を推進する、単一の包括的な官民連携がありませんでした。最近までは。

医療データ標準の枠組みを策定するうえで、多様な利害関係者が参加する官民連携アプローチがいかに重要かは、強調してもしすぎることはありません。

こうした取り組みを推進するには、次の5つの主要な推進要素が必要です。

1. 医療の価値を高める、世界的な医療情報学アーキテクチャに向けたグローバルビジョンと人を中心に据えた原則の策定

2. 既存の医療情報学標準化イニシアチブを整理し、進行中の取り組みにおける不足や重複を特定する

3. グローバルビジョンと人を中心に据えた原則との適合度に基づき、進行中の標準化イニシアチブを調整し、支持する

4. 医療データの標準化が医療に価値をもたらす方法を示すユースケース

5. 過去の取り組みから学び、大規模な実施を可能にする実施・政策提言

世界の医療データ標準化に向けたロードマップを示す5つの主要な推進要素Image: 世界経済フォーラム/BCG分析

世界経済フォーラムは、医療とテクノロジーの幅広い分野から多くの主要組織や専門家をパートナーに迎え、医療情報学の標準化に向けたグローバルロードマップを策定しました。これは2019年のダボス会議で発表される予定です。このロードマップは、前述の5つの主要な推進要素に焦点を当て、医療情報学標準の共通セットに向けた世界的な収束を実現する方法の指針となる基盤を築きます。

今日、世界中のあらゆる既知の媒体にある情報をすべて保存するには、およそ1,500エクサバイトの容量があれば足ります。2年も経たないうちに、医療データの量は、現在の保存能力を上回るでしょう。その力を活用して、希少疾患、慢性疾患、メンタルヘルス、がんなど、既存の課題に取り組む新たな方法を明らかにすることは、決して逃せない機会です。しかも、その実現のために地球を3.2周する必要はありません。

このロードマップと、医療における価値に関する世界経済フォーラムの取り組みについて詳しくは、報告書「医療における価値:医療システムの変革を加速する」をご覧ください。

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