カーボン・オフセットにより、ある国は別の国の排出削減に資金を提供し、自国の排出削減目標の達成を後押しできます
しかし、排出削減が実現しなかったケースもあります
マドリードの交渉担当者は、2015年のパリ協定で定められた目標の達成に、どのようなオフセットを使うべきか、あるいは使うべきでないかを議論しています
マドリードで開かれている国際気候変動協議で、最も激しい論争の的となっているテーマの一つが、カーボン・オフセットなど、温室効果ガスの排出削減を目的とした市場ベースの仕組みの役割です。
オフセットとは何か、なぜ議論を呼ぶのか?
カーボン・オフセットにより、ある国は別の国の排出削減に資金を提供し、自国の排出削減目標の達成を後押しできます。企業も排出量を相殺するため、炭素クレジットを利用するケースが増えています。
最初の大規模なオフセット制度である国連のクリーン開発メカニズム(CDM)は、1997年の京都議定書に基づいて設立されました。同議定書では、190カ国が各国ごとの排出削減目標に合意しました。
この制度は、開発途上国の排出削減プロジェクトへの資金提供を促すとともに、先進国が京都議定書の目標を達成できるよう、オフセットクレジットを供給することを目的としていました。
排出削減が実現しなかったケースを受け、マドリードの交渉担当者は、2015年のパリ協定で定められた目標の達成にどのようなオフセットを使うべきか、そもそも使うべきかどうか、またそのモニタリング方法を議論しています。
二重計上を避けるため、排出削減をどの国が実績として計上するかという問題についても、詰める必要があります。
どのようなプロジェクトが対象になるのか?
カーボン・オフセット制度はあらゆる温室効果ガスを対象としますが、二酸化炭素換算で測定され、炭素クレジットが付与されることがあります。
111カ国で8,100件を超えるプロジェクトがCDM制度に登録されています。同制度は、認証排出削減量(CER)と呼ばれる炭素クレジットを20億件超発行しており、これは二酸化炭素排出量20億トンの削減に相当します。

制度に登録されたプロジェクトには、豚のふん尿から発生するメタンガスを回収して発電に利用するものから、従来の薪や石炭を燃やす調理用かまどを、エタノールなどのよりクリーンな代替品に置き換えるものまであります。オフセットは個人、企業、国が購入できます。
炭素吸収源については?
森林減少・劣化に由来する排出の削減(REDD+)では、森林減少や劣化を抑制したり、森林を保全、再生、再植林したりすることで、開発途上国が炭素クレジットを獲得し、売却できます。
REDD+プロジェクトの炭素クレジットが認められるには、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の承認が必要です。
効果はあるのか?
支持派は、オフセットによって、開発途上国に不可欠な気候変動対策資金を届けられると述べています。
批判派は、排出量のオフセットが、地球温暖化を抑えるために必要な大幅な排出削減への動機を弱め、期待された効果を必ずしももたらさないと指摘しています。たとえば、新しい木が約束されたほど早く育たないことがあります。

