宇宙飛行で休眠ウイルスが再活性化。火星を目指すうえで問題となる可能性

NASA picture inside the Cupola aboard the International Space Station shows NASA astronaut Chris Cassidy, an Expedition 36 flight engineer, using a 400mm lens on a digital still camera to photograph a target of opportunity on Earth some 250 miles below him in this NASA image released on June 10, 2013. Cassidy has been aboard the orbital outpost since late March and will continue his stay into September. REUTERS/NASA/Handout via Reuters (OUTER SPACE - Tags: SCIENCE TECHNOLOGY TPX IMAGES OF THE DAY) ATTENTION EDITORS - THIS IMAGE WAS PROVIDED BY A THIRD PARTY. FOR EDITORIAL USE ONLY. NOT FOR SALE FOR MARKETING OR ADVERTISING CAMPAIGNS. THIS PICTURE WAS PROCESSED BY REUTERS TO ENHANCE QUALITY. AN UNPROCESSED VERSION WILL BE PROVIDED SEPARATELY - GM1E96A1TX601
The new evidence of viral reactivation could have important implications for long-distance space travel.Image: REUTERS/NASA/Handout via Reuters
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NASAの研究によると、スペースシャトルや国際宇宙ステーションのミッションに参加した乗組員の半数以上で、ヘルペスウイルスが再活性化する。同研究はFrontiers in Microbiology誌に発表された。症状が現れるのはごく一部だが、ウイルスの再活性化率は宇宙飛行の期間が長くなるほど上昇し、火星やそれ以遠へのミッションで重大な健康リスクとなる可能性がある。

NASAが開発した迅速なウイルス検出システムと継続中の治療研究は、宇宙飛行士だけでなく、地上の免疫機能が低下した患者も守り始めている。

免疫機能が低下した宇宙飛行士でヘルペスウイルスが再活性化

「NASAの宇宙飛行士は、微小重力や宇宙放射線に数週間、時には数カ月さらされます。打ち上げや再突入時の強烈なGにも耐えなければなりません」と、ジョンソン宇宙センターにあるKBR Wyleの筆頭著者、サティシュ・K・メータ博士は述べる。「こうした身体的負荷に、社会からの隔離や閉鎖環境、睡眠と覚醒の周期の変化といった、より身近なストレス要因が加わります。」

Image: Frontiers in Microbiology

宇宙飛行が身体に及ぼす影響を調べるため、メータらは宇宙飛行士から宇宙飛行の前・期間中・後に採取した唾液、血液、尿の検体を分析している。

「宇宙飛行中は、免疫系を抑制することが知られているコルチゾールやアドレナリンなどのストレスホルモンの分泌が増加します。それに一致して、宇宙飛行士の免疫細胞、とりわけ通常はウイルスを抑制・排除する細胞の働きが、宇宙飛行中は弱まり、飛行後も最長60日間、効果が低下する場合があることが分かりました。」

ストレスによってウイルスを殺す働きが抑えられるなか、かつての敵が再活性化し、再び姿を現す。

「これまでに、短期のスペースシャトル飛行に参加した宇宙飛行士89人中47人(53%)、長期のISSミッションに参加した23人中14人(61%)の唾液または尿の検体から、ヘルペスウイルスが排出されました」とメータは報告する。「ウイルス排出の頻度も量も、飛行前後の検体や、条件をそろえた健康な対照群の検体に比べて著しく高くなっています。」

今回検出されたのは、既知のヒトヘルペスウイルス8種のうち4種だった。口唇ヘルペスや性器ヘルペスの原因となるHSV、水痘や帯状疱疹の原因となるVZV(いずれも神経細胞に生涯とどまる)に加え、CMVとEBVが含まれていた。CMVとEBVは、小児期に免疫細胞に恒久的に定着するが、通常は問題を起こさない。CMVとEBVは、ときに伝染性単核球症、いわゆる「キス病」を引き起こす。

深宇宙探査は、効果的な予防と治療にかかっている可能性

これまでのところ、こうしたウイルス排出は通常、無症状である。

「ウイルスの再活性化によって症状が出た宇宙飛行士は6人だけでした」とメータは述べる。「いずれも軽い皮膚病変でした。」

しかし、飛行後もウイルスの排出が続けば、地上にいる免疫機能が低下した人や未感染の接触者、とりわけ新生児を危険にさらす可能性がある。

「感染性のあるVZVとCMVは、国際宇宙ステーションから帰還した後、最長30日間にわたって体液中に排出されました。」

さらに、月や火星を越える有人深宇宙ミッションの準備が進むなか、ヘルペスウイルスの再活性化が宇宙飛行士や接触者にもたらすリスクは、より重大になり得る。

「宇宙飛行の期間が長くなるほど、ウイルス排出の量、頻度、期間はいずれも増加します。」

さらに、通常は一度に複数のウイルスが再活性化するという事実を踏まえると、長期の宇宙飛行中にヘルペスウイルスが再活性化した場合、視力や聴力の恒久的な喪失、さらには臓器不全に至る可能性がある。

メータは、こうした深宇宙ミッションを成功させるには、ウイルスの再活性化を防ぐ対策の開発が不可欠だと主張する。

「理想的な対策は宇宙飛行士へのワクチン接種ですが、現時点で利用できるのはVZVに対するワクチンだけです。」

「他のヘルペスウイルスワクチンの臨床試験は、あまり有望な結果を示していません。そのため現在は、ウイルスの再活性化による影響に苦しむ人に向けた、標的を絞った治療法の開発に注力しています。

「この研究は、地上の患者にとっても臨床上きわめて大きな意義があります。すでに、宇宙飛行のために開発された唾液中のウイルスを迅速に検出する技術が、世界各地の診療所や病院で活用されています。」

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