最近、米国のテレビドラマ俳優が、よくある方法でCOVID-19ワクチン接種義務を回避しようとした。つまり、申請して宗教上の免除を求めたのだ。あまり一般的ではなかったのは、彼の出演がどのように打ち切られたかだ。申請が却下された後、ドラマチックなトンネル崩落で命を落とすという展開だった。
宗教上の免除申請は増加している。パンデミックの封じ込めとオミクロン株への対策を目的とした新たな義務化が進むなか、ニューヨーク市はすべての民間雇用主を対象とするCOVID-19ワクチン接種義務化の計画を発表し、ギリシャは60歳を超える人々への義務化を予定している。また、南アフリカも独自の措置を検討している。
雇用主や学校は、こうした義務化に対する宗教上の免除申請のうち、真に誠実なものを見極めるのに苦慮する可能性がある。また、申請者の信仰を尊重しながら、他者に及ぼしかねない害をどう防ぐかにも頭を悩ませている。なかには、これを見極めるのは不可能だと判断し、信仰を理由とする免除を認めるのをやめた地域もある。
圧倒的多数の研究が示しているのは、ワクチン接種がコロナウイルスの感染拡大を食い止める最善の方法だということだ。ほとんどの宗教指導者も、それに沿ったメッセージを発信している。
「実際、これはミツヴァー(宗教的義務)です」と、あるラビは記者に語った。神の戒めを果たすために行う善行を指している。
それでも、宗教上の免除申請は後を絶たない。たとえば米国空軍には、現役の空軍兵から約5,000件の申請が寄せられている。
COVID-19ワクチンを避ける宗教上の理由を探る
国連は半世紀以上前に、宗教の自由を国際的な権利として採択した。また、公衆衛生の保護に必要な場合には、その権利を制限できるとも述べている。
宗教上の免除を求める理由の一つに、ワクチン開発で妊娠中絶由来の胎児細胞が使われていることが挙げられる。しかし、専門家によると、これは関連する科学への誤解によるものだという。また、胎児細胞を使って開発されたものを本当にすべて避けるなら、つまりアスピリンや風邪薬も控えなければならないと指摘している。
それでも、米国のある牧師は、ワクチンを避ける理由として胎児細胞の問題を挙げた。彼は9月にCOVID-19で亡くなった。
最近実施された、世界経済フォーラムのためのイプソス調査によると、世界の労働者の10人中8人が職場でのCOVID-19ワクチン接種義務化を支持し、回避策を探すと答えたのは10人に1人にすぎない。信仰を持ち出して義務化を避けることに否定的な人も多い。カナダで行われたある調査では、79%が免除を求める正当な宗教上の理由はないと考えていた。
それでも、不満を抱く人々の申請は続いている。米国オレゴン州では、州職員全体の約5%がCOVID-19ワクチン接種義務の免除を申請し、そのうち90%は宗教を理由としていた。
宗教とワクチン接種の取り組みの歴史
英国の政治家トマス・モアは、自らの役割を「王には忠実な僕、そして神には第一の僕」と表現し、信仰の一つの定義を示した。この言葉は1535年の彼にとって不幸な結末を迎えた(近年、モアの名を冠した法律事務所が、COVID-19ワクチン接種義務に対する宗教上の免除を認めなかったとして医科大学を提訴した)。
信仰とは動物性食品を避けることを意味するのかもしれない。米国の裁判所はかつて、ヴィーガニズムを誠実に実践していることが、義務付けられたインフルエンザ予防接種の宗教上の免除理由になると判断した。
新たな事情は次々と現れる。たとえばインドネシアのイスラム教徒の間では、報道によると、現在、COVID-19ワクチンの大半はイスラム法で認められていないと誤って信じ、宗教を理由に接種を避ける人がいる。しかし、接種を避けるために宗教を持ち出すことには長い歴史がある。
ワクチン反対運動はヴィクトリア朝時代のイングランドで広がり、宗教的な反対も含まれていた。また、1966年にニューヨーク州でポリオ予防接種を義務化する法律が制定された際、クリスチャン・サイエンス派が異議を唱えたことがきっかけで、宗教上の免除を設けた米国初の同種の法律となった。
ワクチン接種に良心から反対する人々のなかには、義務化はいずれ立ち消えになると期待する人もいる。たとえば、仕事を失った米国のテレビドラマ俳優は、死がしばしば一時的な状態にすぎない架空の世界の登場人物を演じていた。番組の職場でのワクチン接種義務が過去のものになれば、復帰してもいいと話している。
宗教とCOVID-19ワクチン接種義務に関する関連記事
背景をさらに知るため、世界経済フォーラムの「Strategic Intelligence」プラットフォームから関連記事を紹介する。
先月、宗教団体などの申立人が米国の全国的な職場ワクチン接種義務化に異議を申し立てた後、裁判所はその実施を差し止めた。この記事は、裁判所が根拠となる科学を「完全に誤って」理解したと論じている。 (STAT)
世界がCOVID-19ワクチン接種開始から1周年を祝う準備を進めていた矢先、オミクロン株が登場して祝賀ムードに水を差した。この記事は英国における予防接種の取り組みの浮き沈みをたどる。 (The Conversation)
この記事によると、COVID-19以前から、カリフォルニア州では、ワクチンが宗教的信念に反すると主張する親を持つ幼稚園児の割合が上昇していることが研究で示されていた。 (ハーバード・ケネディ・スクール)
この記事では、フランスのように比較的宗教に距離を置く国で、ワクチン接種における信仰の役割がどう捉えられているかを紹介している。論争の一つは、COVID-19ワクチンを接種するイスラム教徒の女性がヘッドスカーフを着用して業務に当たれるかどうかをめぐるものだった。 (The Atlantic)
ベトナムでの戦闘に徴兵された米国人男性が突然信仰を持ち出した際、信仰を理由とする兵役免除申請の審査を担ったのは地域の徴兵委員会だった。この記事は、COVID-19ワクチン接種義務の免除申請についても、こうした委員会を再設置する案を提起している。 (STAT)
この政治学者によると、宗教は「世俗的な情報に抵抗するための手段を提供する」。同氏は、信仰がメディアへの信頼に独立した負の影響を及ぼすことを明らかにしている。 (LSE)
オミクロン株の先を見据えると、この分析によれば、コロナウイルスがたどる将来の道筋の一つは、RSウイルスのように人々の大半が幼少期に感染し、その後はワクチンの助けもあって軽い症状を引き起こすだけになることだ。 (Nature)
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