グローバルにつながるサプライチェーンシステムの必要性は、かつてないほど明らかになっている

Shipping containers are seen stacked at Beirut's port, during a countrywide lockdown to prevent the spread of the coronavirus disease (COVID-19) in Beirut, Lebanon, April 8, 2020. REUTERS/Mohamed Azakir TPX IMAGES OF THE DAY - RC2C0G9EP3ZQ
Shipping containers are seen stacked at Beirut's port, during a countrywide lockdown to prevent the spread of the coronavirus disease (COVID-19) in Beirut, Lebanon, April 8, 2020Image: REUTERS/Mohamed Azakir
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2週間前の水曜日の午後、自宅にこもっていた私は、運航している数少ない便の一つでロンドンからジュネーブへ向かう10代の娘の飛行機を、FlightRadar24で追跡できることに安らぎを感じた。航空業界がすべての航空機をリアルタイムで追跡しているのは、当然で自然なことのように思える。乗客と航空機のデータを結ぶグローバルネットワークがあれば、 自宅にいる私を含む業界のあらゆる関係者に、リアルタイムの可視性、データインテリジェンス、通信ネットワークを提供し、状況の変化に迅速に適応できる。

しかし、世界的な新型コロナウイルス感染症の緊急事態にある今、世界のどこにあろうと必要不可欠な物資を見つけ、最も必要とされる場所へ届ける簡単な方法はない。世界の商品在庫をGoogleで検索し、需要のある場所へUberのように供給を振り向けることはできない。航空機をリアルタイムで追跡できる一方で、切実に必要な物資を追跡できないという隔たりは極めて大きい。つながった世界において、この問題は十分に解決可能であるという事実が、その隔たりを際立たせている。

カリフォルニア州ロサンゼルスで、貨物コンテナが線路上に置かれている。Image: REUTERS/Lucy Nicholson

可視性と追跡可能性の課題を解決する
世界経済フォーラムのサプライチェーン・輸送部門責任者、マージ・ヴァン・ホーフは最近、次のように述べた。「可視性、追跡可能性、相互運用性は、今そして目下の新型コロナウイルス危機が過ぎた後も、つながりがあり、俊敏で、より強靭な供給システムに不可欠です。」

今月、ホワイトペーパーが発表された。世界経済フォーラムがデロイトと協力して発表したこのホワイトペーパーは、サプライチェーンにおけるブロックチェーンの相互運用性の枠組みを扱っている。ヴァン・ホーフの言葉を借りれば、サプライチェーン間のブロックチェーン連携に光を当て、「複数の供給エコシステムにまたがるエンドツーエンドのソリューション構築を支援する」。

毎年、4兆点を超える消費財が世界中で製造、出荷、小売販売されている。しかし、製造から消費者への販売、リサイクル、再販、廃棄に至るライフサイクルを通じて各品目をエンドツーエンドで追跡することは、大半の製品にとって、実態が見えないブラックホールのようなものだ。製造工場は何を作ったかを把握している。倉庫は何を受け取り、出荷したかを把握している。輸送業者は衣料品のコンテナを運んでいることを把握している。そして小売店は、どの在庫を保有しているかを把握している。しかし情報はサプライチェーンの各関係者の組織内に分断されていることが多く、ライフサイクル全体を通じて各品目の保管・管理の履歴をたどるのは難しい。

情報をより利用しやすい形で保管・管理するために分散型台帳を導入しても、エコシステム内の分断によって、サプライヤーと、それを必要とする人々や組織との隔たりが広がる恐れがある。異なるブロックチェーンや複数のデータ共有プラットフォームに加え、品目や取引の記述に異なるプロトコルやオントロジーが使われているサプライチェーンの複雑さを考えれば、さほど意外ではない。

「これまで、製品が商業エコシステムを流通する過程で接するすべてのシステムや組織を追跡するのは困難でした。しかし、そうである必要はありません。」

ナイル・マーフィー、EVRYTHNGのCEO兼共同創業者、世界経済フォーラムのテクノロジー・パイオニア

その結果、多大な運転資本の非効率が生じている。誤った場所に誤ったタイミングで置かれた在庫に、資金が拘束されることも少なくない。また、並行貿易、偽造品、その他の信頼性を脅かす問題による収益損失や、需要や状況の変化への適応力不足にも直面している。さらに、サプライチェーンの不透明性は、製品やその部品の再利用、再販、リサイクルを求める持続可能性目標の達成に大きな障壁となっている。

成熟した拡張性の高いテクノロジーとツールを活用する
サプライチェーン全体にわたるエンドツーエンドの可視性と透明性は、異なるシステム間の相互運用とデータ共有によってのみ実現できる。製品は、その構成部品や、製品群を世界中へ運び、最終的に消費者の手に届ける注文まで含めれば、定義上、サプライチェーン上の複数の組織が関わる無数のシステムや接点を伴う。これまで、製品が商業エコシステムを流通する過程で接するすべてのシステムや組織を追跡するのは困難だった。しかし、そうである必要はない。

ウェブサーバーをインターネットにつなぎ、地球上の誰もがコンテンツにアクセスできるようにできるのと同じように、製品もグローバルなサプライチェーンのネットワークを流通する中で、関連する認証情報を持つ人が可視化し、追跡できるようにすることが可能だ。

私たちには、強力で成熟し、世界規模に拡張可能なテクノロジーとツールがある。あらゆる品目をクラウド上のデジタルIDでウェブにつなぐIoT技術とグローバル標準、品目をデジタル上で一貫して記述するオントロジー、データ交換のプロトコル、製品のエンドツーエンドの流通経路に関わる複数の利害関係者間で取引を自動化し、データ共有方針を運用するスマートコントラクト、クラウド上で大規模に拡張できる分析インテリジェンス、そしてエコシステムをまたぐデータ管理のレジリエンスと信頼性を高める分散型台帳だ。ツールとテクノロジーはそろっている。今必要なのは、大規模に実行するための組織間連携のネットワークだ。

EVRYTHNGのブロックチェーン統合ハブは、世界経済フォーラムのサプライチェーン相互運用性に関するホワイトペーパーで事例として取り上げられ、エコシステム間で大規模にデータを交換できることを示している。具体的には、製造から消費者への販売、リサイクルに至るまで、製品のサプライチェーン上のあらゆる接点を完全に可視化し、品目のエンドツーエンドの追跡可能性を実現しやすくする。

EVRYTHNGのブロックチェーン統合ハブは、製品に関するデータを異なるブロックチェーンに複製したり、そこから収集したりできる。Image: EVRYTHNG

危機から学ぶ
新型コロナウイルス感染症により、多くのサプライチェーンが停止した。これほど急な停止の後で、世界貿易ネットワークを再始動させるのは容易ではない。接続性とデータ交換の不足は、再び動き始める際に大きな摩擦を生むだろう。しかし、新型コロナウイルス感染症は学ぶ機会でもある。

グローバルなサプライチェーンネットワークを再起動するにあたり、その中を流れるすべての品目についてデータインテリジェンスをネットワーク化する、グローバルで適応力のあるシステムを構築するためのツールがすでにあることを認識して取り組もう。これにより、運転資本の節約という経済効率が得られるだけでなく、需要と供給の変化により効果的に対応できるシステムも実現する。透明性と俊敏性によって、より持続可能な供給システムが可能となり、地球とそこに暮らす人々に恩恵をもたらす。

私たち一人ひとりが在宅勤務による孤立に適応している今こそ、新たな連携ネットワークの構築に注力するときだ。適応力のあるサプライチェーンシステムを築くには、製造業者、輸送業者、港湾運営者、トラック輸送業者、流通業者、小売業者、リサイクル業者など、供給システム全体のすべての関係者が、私たちは同じエコシステムの一部であると認識し、テクノロジー提供者や規制当局と協力して、供給システムを真につながったものにする必要がある。

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