デジタル投資は新型コロナ危機からの回復にどう役立つか

Digital foreign direct investment
What's the ‘secret sauce’ to attract investment?Image: Unsplash/Fabrizio Chiagano
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  • デジタル競争力を支援することは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックからの経済回復に役立つ。

  • デジタル経済への外国直接投資は、とりわけ発展途上国に技術、ノウハウ、雇用、成長をもたらす助けとなる。

  • デジタル分野への外国直接投資を呼び込むため、政府はどのような政策、規制、措置を導入できるだろうか。

新型コロナウイルス感染症は、ほぼ一夜にして私たちの暮らし方や働き方を変えた。アナリストは、経済、各産業、企業への影響を把握しきれずにいる。しかし、すでに分かっていることが一つある。この危機によって、以前から拡大していたデジタル化の流れが加速している。

オンライン会議から自動化工場、オンライン注文からドローン配送まで、デジタルサービスの重要性は高まり、ますます多くの産業や活動に浸透している。デジタル対応力の高い企業は現在進行中の危機によりうまく適応しており、ほかの企業もビジネスモデルへの課題に対応するため、急速にスキルを高めている。

パンデミック後の経済回復を促そうとする政府にとって、こうしたデジタル競争力を支援することが鍵となる。その方法の一つが、デジタル経済への外国直接投資(FDI)、すなわち「デジタルFDI」だ。

デジタル経済に投資する力

多くの証拠が示すように、FDIは技術、ノウハウ、雇用、成長をもたらす。FDIは発展途上国にとって最大の資金源となることも多い。従来型の企業と同様に、デジタル企業も顧客の近くに拠点を置き、現地の知見を得て、新たな市場を開拓するなどの目的で海外に投資する。

しかし、デジタル経済へのFDIを呼び込むには、異なる政策や規制が必要となる。デジタル企業のビジネスモデルは、従来の実店舗型ビジネスとは異なるからだ。デジタル企業はデータと技術に大きく依存し、プラットフォーム経済を伴うことが多く、従来とは異なる資産を活用する。

世界経済フォーラムの新たなデジタルFDIイニシアチブは、こうした投資を呼び込むために政府が導入できる政策、規制、措置の特定を目指している。私たちはテクノロジー企業、政府、専門家と協力し、「デジタルに適した投資環境をつくる秘訣とは何か」という問いに取り組んでいる。投資に使える資源が減り、限られた資本を呼び込む競争が激しくなる可能性のある、差し迫った景気後退において、この答えは一層重要になる。

国連貿易開発会議(UNCTAD)が2017年の世界投資報告書で示した概念的枠組みに基づくと、環境整備に向けた政策、規制、措置は三つの柱に分類される。

経済の種類別に見た外国直接投資の推移Image: UNCTAD

デジタル企業への投資を可能にする

デジタル経済からは、多様な新しいビジネスモデルが生まれている。ソーシャルメディアやプラットフォーム経済から、クラウドコンピューティングやデータセンターまで、インターネットがなければ、こうしたビジネスは存在しなかっただろう。新しいビジネスモデルを受け入れ、デジタル企業が成長できる環境を整え、デジタル経済を積極的に推進する政府は、投資誘致でより大きな成果を上げる可能性が高い。

東南アジアは、政策や措置が投資を促してきた顕著な例だ。この地域で市場シェアを争うライドシェア・配送企業であるGojekやGrabには、数十億ドルが投資されている。

従来はデジタル化していなかった企業によるデジタル活用を可能にする。

新しいビジネスモデルにとどまらず、デジタル革命には従来の事業の進め方を変える可能性がある。地域の企業はさまざまなデジタルサービスを導入し、物理的な障壁による制約を減らし、サプライチェーンやバリューチェーンを簡素化し、商品やサービスを迅速に提供できる。こうした投資を実現する前提となるのは、遠隔医療、モバイルバンキング、オンライン販売など、事業運営におけるデジタル機能の導入を促す政策や措置だ。

例えば、ポーランドの遠隔医療企業MedAppはバルト諸国に投資し、遠隔医療による心血管疾患の診断を可能にした。

デジタルインフラへの投資を可能にする。

強固な基盤となるデジタルインフラは、デジタル経済の発展と成長に不可欠だ。デジタルインフラへの投資を呼び込むには、投資を促す決済処理事業者向けの政策や措置など、投資に適した規制枠組みが必要となる。デジタルインフラへの外国投資を呼び込むことに成功すれば、地元企業、とりわけ中小企業に大きな利益をもたらし得る。

例えば、VisaはナイジェリアのInterswitchに投資した。同社は決済スイッチおよび処理会社であり、この投資によってInterswitchは一夜にしてユニコーン企業となった。

投資家が問うべきこと

この三つの状況のそれぞれにおいて、投資家候補が資金やその他のリソースを投入するかどうかの判断に影響する、具体的な政策、規制、措置がある。投資家が問う主な質問は三つだ。

データの国内保存義務は、デジタル企業やデジタル活動への投資に影響するか。

データの国内保存に関する規定は、企業にデータセンターを通じてデータを国内で保存・処理するよう義務づける。これには、ある程度、国内に物理的な拠点を設ける必要があるが、それがデジタルFDIの障害となるかどうかは、ほとんど明らかになっていない。

デジタル商品・サービスへの課税は、従来デジタル化していなかった分野でのデジタル活用に影響するか。

近年、複数の国が、携帯電話やインターネットの利用、電子機器、電子書籍などのデジタルサービス、オンライン配信に課税している、または課税を検討している。しかし、徴税コストに関する問題を除けば、こうした税がデジタル活用にどの程度影響するかは明らかでない。

国際基準の利用は、デジタルインフラへの投資に影響するか。

通信、データ、電子機器、その他のデジタル経済インフラに関する技術基準は、調和を促進する。国際、地域、業界、専門家団体の複数が基準策定に取り組んでいる。しかし、こうした基準が世界全体で採用されることはまれだ。そのような状況で、投資誘致に国際基準を用いることがどのような影響をもたらすか、より深く理解する必要がある。

今後の取り組み

これらをはじめとする問いに答えるため、フォーラムは新たな機密アンケートを開始し、企業に選択肢を10段階で評価するよう求めている。調査結果は、各分野で採用を検討すべき重要な政策、規制、措置を明らかにし、国内および多国間の両レベルで政府に提言をまとめるのに役立つ。

こうした進展を踏まえ、海外からの投資を呼び込んでデジタル商品・サービスの成長を可能にすると同時に、企業が他市場のデジタル商品・サービスに対外投資しやすくすることは、現在の危機から世界が回復するうえで重要な役割を果たし得る。

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