新型コロナウイルス感染症後、多様性をめぐって開かれる4つの機会

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• 多様な認知のあり方が、企業による前例のない危機への対応を支える。

• テクノロジーを活用する新たな職場では、無意識の偏見がすぐに表面化することがある。

• 新型コロナウイルス感染症後の働き方を見直すことは、女性を排除する慣行をなくす機会となる。

世界的なパンデミックの最中に、組織にとって不可欠な課題として職場の多様性と包摂を議論する時ではない、世界にはもっと差し迫った問題がある、と主張する人もいるかもしれない。しかし私は、まさに今こそ多様性の重要性を認識するべき時だと考える。

私たちを苦しめているコロナウイルスが「新型」と呼ばれるのには理由がある。

このウイルスは科学者にとっても私たちの身体にとっても未知のものであり、COVID-19を克服するだけでなく、傷ついた労働力を立て直すためにもイノベーションが必要だ。そこで重要になるのが多様性である。多様性はイノベーションと創造性の基盤だ。認知の多様性、すなわち人々の多様な思考の仕方や、それぞれが培ってきた経験は、前例のない経済・公衆衛生の危機に組織が対処する助けとなる幅広い視点をもたらす。

同時に、ロックダウンや外出自粛要請への対応の仕方は、多様性と包摂に向けた取り組みに影響する。新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるために人々が在宅勤務をするなか、ビデオ会議が広く普及していることを考えてみよう。Zoom会議では、無意識の偏見がはっきりと表れるのだろうか。ビデオ会議の進め方を定めることで、すべての従業員が発言できるようになるのだろうか。口数の少ない従業員の話をより多く聞けるのだろうか。それとも、テレビの生中継のように画面に向かって話す気まずさから、彼らはさらに口を閉ざしてしまうのだろうか。誰もがZoom会議に参加できる技術的環境や生活環境にあるのだろうか。

この世界的な災厄から企業が何を学べるのか、単に以前の状態に戻るのではなく、通常のあり方を改善するためにどのような知見が役立つのかを考えるのは、時期尚早ではない。

新型コロナウイルス感染症後の時代に多様性を促進する方法をいくつか紹介しよう。

1. 包摂

長時間のビデオ会議では、厳格な包摂の手順が必要であることが誰の目にも明らかになる。少数の人が議論を支配し、他人の発言を遮り、アイデアを自分のもののように扱うことは、もはや許容されない。会議を進行する管理職には、対話を仲介する際に公平な場を確保する責任がある。さらに、研究者が包摂や排除のリズムを分析すれば、録画された会議は将来、匿名化データの宝庫となる可能性がある。

2. 業績評価

偏見に左右されることの多い、フィードバック、業績、報酬の評価は、より分析的で指標に基づくものにすべきだ。自分の実績を自慢しようと上司のオフィスに気軽に立ち寄っていた人が、もう立ち寄れなくなれば、管理職は重要なキャリア上の決定をより公平に行う機会を得る。その機会を生かすべきだ。

3. リーダーシップ

今日のリーダーには、よりきめ細かなスキルも求められる。旧来型の強権的な指揮統制スタイルは、危機において今なお重要な役割を果たす。しかし、共感や感謝を示すこと、耳を傾け支援することといった別の能力も同じくらい重要になる。この点は、ジュディ・ロスナーによる画期的な論文が、早くも1990年に指摘している。こうした人間関係を築くスキルは、支配的でない集団の一員である女性が発揮する、ソフトで価値の低い特性と見なされてきた。今日、最も効果的なリーダーは、従業員、顧客、地域社会、投資家のニーズに応えるため、強さと柔軟さの両方を備えなければならない。そのことは、KPMGの2019年女性リーダーシップ報告書が明らかにしている。

4. 女性の参画

女性の潜在力は、いまだ大きく活用されていない。パンデミックは、女性と労働市場の間に障壁を設けたとき、どれほどの損失が生じるかを明らかにしている。日本では、医師のわずか20%(6万7,000人中1万3,400人)が女性だ。この割合の低さは、文化、経済、教育、あるいは政治的傾向の遺産かもしれない。しかし、高齢化が進み、介護を担う若い人も不足するなか、女性が医療職に就けば、さらに何人を治療できるだろうか。

他の国では女性が直面する障壁はさらに大きく、警察官、消防士、バス運転手、食料品店の店員といったパンデミック下で不可欠な職業に就くことを妨げられている。皮肉なことに、多くの国で、介護職員、看護師、食料品店の店員として働くのは、まさに低賃金で働く女性たちだ。2020年の世界経済フォーラムのジェンダー・ギャップ報告書は、経済的・政治的平等の実現が遠い目標であることを明らかにしている。新型コロナウイルスで何千人もの人々が命を落とすなか、この世界的な公衆衛生危機は、女性を労働市場への全面的な参加から排除すること、あるいは不可欠でありながら低賃金の仕事に女性が不均衡に多く従事することの結果を厳しく浮き彫りにしている。

新型コロナウイルスの流行は、包摂をめぐる重要な問いも浮き彫りにしている。

柔軟な働き方や在宅勤務は、家庭内のケア負担を不均衡に多く担うことの多い女性にとって、長らく必要なもの、あるいは望ましいものと見なされてきた。しかし、一部の人にとってはぜいたくだった在宅勤務が、今では必要不可欠となっている。かつて、柔軟な働き方や在宅勤務をする女性(そして男性)は、キャリアへの意欲が低いと見なされることが多かった。CEOから事務アシスタントまで全員が在宅勤務をするようになれば、この性別に基づく思い込みは払拭されるのだろうか。

一部の人が解雇され、ほかの人が8時間の勤務時間を大幅に超えて在宅勤務を続けるなか、家庭での責任分担はどうなるのだろうか。ビデオ通話の画面に本や美術品を背景として優雅に映るよう整えたホームオフィスを持つ人は、ほとんどいない。しかし、人々の暮らしを垣間見ると、男性はこれまで概して、子育てや家庭の責任を担う割合が少なかったことがわかる。専業主夫や男性のパートナーは、相手が日々どれほど多くのことをこなしているかに気づくのだろうか。責任分担をより公平にする長続きする変化は起こり得るだろうか。

世界経済フォーラムは仕事の未来に向けてどのような取り組みをしているのか?

1か月後であれ1年後であれ、いずれ私たちは社会として、パンデミック後に教訓を得ようとするだろう。科学、危機への備え、そして真実を語るリーダーの価値を学ぶことは間違いない。しかし、それだけが主な振り返りの対象なら、私たちは根本的な教訓を見落とすことになる。多様性は私たちが生き延びるために不可欠だという教訓だ。

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