新型コロナウイルス感染症との闘いにおけるナノテクノロジーの活用法3選

A computer image created by Nexu Science Communication together with Trinity College in Dublin, shows a model structurally representative of a betacoronavirus which is the type of virus linked to COVID-19, better known as the coronavirus linked to the Wuhan outbreak, shared with Reuters on February 18, 2020. NEXU Science Communication/via REUTERS THIS IMAGE HAS BEEN SUPPLIED BY A THIRD PARTY. MANDATORY CREDIT. - RC243F9HLMWH
The SARS-CoV-2 virus, responsible for COVID-19 is between 60-120 nanometres in size.Image: via REUTERS
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  • COVID-19の原因となるSARS-CoV-2ウイルスの大きさはわずか60~120ナノメートルです。

  • 非常に小さいサイズのため、ナノテクノロジーはこれに対処するために活用されています。

  • 診断から治療薬やワクチンに至るまで、ナノテクノロジーは感染症の拡大を食い止めるために開発・活用されています。

COVID-19パンデミックの原因となり世界を一変させたコロナウイルスの大きさは、わずか60ナノメートルから120ナノメートルとされています。この大きさは驚くほど小さく、頭髪1本の幅に400個以上のウイルス粒子を並べることができるほどです。実際、コロナウイルスは非常に小さいため、通常の顕微鏡では見ることができず、研究にはさらに高性能な電子顕微鏡が必要です。では、肉眼では見ることさえできないほど微小な敵とどのように戦えばよいのでしょうか。

解決策の一つは、小さなものには小さなもので対抗することです。ナノテクノロジーとは、大きさが1ナノメートルから100ナノメートルの間にある部品を含む、あるいはそのような部品からなるあらゆる技術を指します。こうした微細な技術を活用するナノ医療は、銀のナノ粒子を含む抗菌絆創膏から複雑な診断装置に至るまで、さまざまな分野で利用されています。

ナノテクノロジーは、ウイルスに対しても目覚ましい実績を残しており、1880年代後半からウイルスの分離と同定に用いられてきました。近年では、ナノ医療がインフルエンザ、ジカ熱、HIVの治療法の開発に用いられています。そして今、SARS-CoV-2というCOVID-19ウイルスとの闘いにも加わっています。

診断

COVIDの感染が疑われる場合、喉または鼻から綿棒で検体を採取し、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)で検査します。この方法は、検体中にコロナウイルスの遺伝物質が存在するかどうかを確認するものです。

精度は非常に高いものの、検査結果が出るまでに最長3日かかることがあり、研究室でしか利用できない高度な機器が必要で、検査を受けた時点で現在感染しているかどうかしか判別できません。一方、血液中のコロナウイルス抗体の有無を調べる抗体検査は、検査を受けた場所を問わず、その場ですぐに結果が得られます。

抗体は、体がウイルスに対抗する際に形成されます。抗体は小さなタンパク質であり、病原体の抗原と呼ばれる化学的な目印を探し出して、侵入者を見つけ出し、破壊します。このため、抗体検査では、現在コロナウイルスに感染しているかどうかだけでなく、過去に感染したことがあるかどうかも判定できます。

抗体検査では、血液サンプルから抗体を捕捉するために金などの材料のナノ粒子を使用します。これらの粒子は、紙片の上をゆっくりと移動し、コロナウイルスの抗体のみが結合する抗原検査ラインに付着します。これにより、ラインが目に見える形で現れ、検体中に抗体が存在することが示されます。これらの検査の精度は95%を超え、15分以内に結果を得ることができます。

ワクチンと治療

コロナウイルスとの闘いにおける大きな転機となるのは、有効なワクチンの開発です。ワクチンには、多くの場合、不活化したウイルスが含まれており、これが抗原として働き、免疫システムを訓練して抗体を生成させます。そうすることで、実際のウイルスに遭遇した際に、免疫システムが感染を防ぐ準備を整え、対抗することができます。

しかし、一般的なワクチン成分には、血流中で早期に分解されたり、標的部位に必ずしも到達しなかったりするという限界があり、ワクチンの効果を低下させています。その解決策の一つが、カプセル化と呼ばれる工程により、ワクチン成分をナノシェルで包み込むことです。

このシェルは脂質と呼ばれる脂肪から作られており、直径はわずか5ナノメートルと、卵の殻の5万分の1の薄さにもなります。ナノシェルは内部のワクチンが分解されるのを防ぐとともに、特定の細胞を標的とする分子で表面を修飾することもでき、有効成分をより効果的に届けることができます。

これにより、高齢者のワクチンに対する免疫反応を高めることができます。そして重要な点として、通常、カプセル化されたワクチンは免疫を獲得するために必要な用量が少なくて済むため、集団全体に接種するのに十分な量をより迅速に生産できます。

カプセル化は、ウイルス性疾患の治療法の改善にも役立ちます。集中治療室にいるウイルス感染患者の死亡の主な要因となっているのは「急性呼吸窮迫症候群」であり、これは免疫システムが過剰に反応した際に発生します。カプセル化されたワクチンは、身体の特定の部位を標的として、免疫抑制薬を標的の臓器に直接届け、免疫システムの反応の調節に役立てることができます。

感染リスクの低減

COVID-19の感染拡大を防ぐうえで、マスクの着用と手洗いが極めて重要であることは、いくら強調してもしすぎることはありません。しかし、一般的な布製マスクでは、呼吸器飛沫の中でも最も透過性の高い粒子を遮断することが難しい場合があり、多くは一度しか使用できません。

100ナノメートルの厚さのナノファイバーで作られ、酸化チタンでコーティングされた新しい繊維は、1,000ナノメートル未満の飛沫を捕捉でき、太陽光に含まれる紫外線(UV)によって分解させることができます。このような繊維で作られたマスク、手袋、その他の個人用防護具(PPE)は、洗浄して再利用することができ、通気性にも優れています。

流体力学とは、流体がどのように動くかを研究する学問です。Image: L. Bourouiba教授、MIT/JAMA Networks

もう一つの重要なナノ材料はグラフェンです。グラフェンは炭素原子の単一のハニカム状の層から形成されており、鋼鉄の200倍の強度を持ちながら、紙よりも軽量です。グラフェンを織り込んだ繊維は、ウイルスを捕捉し、通過を防ぐことができます。グラフェンを含むPPEは、突き刺し、炎、紫外線、微生物への耐性を高めつつ、軽量性も備えることが期待されます。

グラフェンは繊維だけに限定されるものではありません。ウイルスの感染を特に助長しやすい公共の場の表面にナノ粒子を配置することも考えられます。

これらの技術は、ナノサイエンスがCOVID-19との闘いに貢献している方法のほんの一部にすぎません。世界的なパンデミックに対する唯一の答えはありませんが、これらの微細な技術は、解決策の重要な一部となる大きな可能性を確かに秘めています。

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