持続可能な医療をどう実現するか?業界リーダー3人が解決策を提示

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  • 持続可能な医療を実現し、世界中で公平な医療サービスを提供することへの懸念が高まっている。

  • 国連の報告によると、パンデミック中に不可欠な医療サービスが中断された結果、10年ぶりに予防接種率が低下し、結核やマラリアによる死亡者数が増加した。

  • 持続可能な医療の提供という大きな課題に取り組む業界リーダー3人が、現場に変化をもたらす方法を語る。

あらゆる年齢のすべての人々が健康な生活を送り、ウェルビーイングを高められるようにするには、どうすればよいだろうか。

持続可能な医療を実現し、世界中で公平な医療サービスを提供することへの懸念が高まっている。国連が述べているように、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが「数十年にわたる進歩を脅かしている」ことも、その背景にある。

パンデミック中に不可欠な医療サービスが中断された結果、10年ぶりに予防接種率が低下し、結核やマラリアによる死亡者数が増加した。

さらに、不安やうつの有病率も上昇傾向を示した。これは、国連の「持続可能な開発目標報告書2022」に示されている。

世界的な混乱が続くなか、医療業界はさらなる課題に直面している。サル痘が公衆衛生上の緊急事態と宣言され、英国と米国の一部ではポリオが再流行している。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響は、世界の保健分野における数十年の進歩を脅かしている。画像:国連Image: 国連

最近の研究で明らかになったように、気候変動は病原体が引き起こす人間の疾病の半数以上の状況をさらに悪化させている。研究は『ネイチャー・クライメート・チェンジ』に掲載された。

この論文は、ジカ熱、マラリア、デング熱、チクングニア熱、さらには新型コロナウイルス感染症などの疾病が、熱波、山火事、極端な降雨、洪水といった気候変動の影響によって悪化していると報告した。

こうした背景を踏まえ、この大きな課題への取り組み方と、現場で医療をより持続可能にするために支持する取り組みについて、業界リーダー3人に尋ねた。

以下がその回答だ。

「長期的な持続可能性に向けた連携」
武田薬品工業 社長兼最高経営責任者、クリストフ・ウェバー

武田では、価値に基づく医療を、より持続可能な医療システムを構築するための枠組みと捉えている。価値に基づくアプローチは、患者を中心に据え、最も価値の高い医療に資源を配分することで、医療システムを変革できる。

価値に基づく医療を機能させるには、治療後に各患者の状態が実際に改善したかどうかなど、健康上の成果を継続的に測定する必要がある。こうしたデータを用いれば、実際の医療現場で最も効果の高い治療法と、社会全体の健康に最大の便益をもたらすために資源を配分すべき対象を特定できる。

価値に基づくシステムへの移行を成功させるのは容易ではない。多くの取り組みを協力して進める必要がある。

「価値に基づくアプローチは、患者を中心に据え、最も価値の高い医療に資源を配分することで、医療システムを変革できます。」

武田薬品工業 社長兼最高経営責任者、クリストフ・ウェバー

武田は、官民連携組織であるヘルス・アウトカム・オブザーバトリーズ(H2O)の共同創設者だ。この組織は、患者自身が報告し、所有し、管理する成果データを、独立した非営利のデータ観測機関で収集する。観測機関に集められた成果データは、患者の希望に応じて医療システムと共有したり、ほかの目的に活用したりできる。

H2Oの構想は、患者と医療システムにとって最も価値の高い治療法を示し、価値に基づく医療の実現を支援することだ。患者が報告する成果を中心に据えれば、現在から将来にわたって、医療システムをより持続可能な形で運営できるはずだ。

「強靱で持続可能な医療システムの構築に向けた連携」
アストラゼネカ グローバル・ポリシー責任者、ステファン・ウェバー

パンデミックは、医療システムに長年存在していた亀裂を悪化させ、将来の危機に耐えられるよう断固たる措置を講じる必要性を浮き彫りにした。

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)、世界経済フォーラム、アストラゼネカによって2020年に設立され、現在は20カ国以上で活動する医療システムの持続可能性とレジリエンスに関するパートナーシップ(PHSSR)は、この目標に向けた集団的行動の有力な例の一つだ。各国のパートナーを通じ、PHSSRは新型コロナウイルス感染症後の世界で、より強靱な医療システムを構築する方法に関する知見を世界規模で蓄積し、最も必要とされる場所で行動を促す触媒となっている。

新たな医療モデル、革新的な資金調達の仕組み、画期的な技術を活用する方法に至るまで、PHSSRは官民の組織を結びつけ、他の地域にも応用できる解決策を特定し、その導入を支援することで、すべての人々の健康の向上を目指している。

研究成果と変革プロジェクトの概要は世界各地で閲覧でき、11月22~23日にオンラインで開催される2022年PHSSRグローバルサミットで議論される。より強靱な医療システムを共に構築するという目標のもと、この機会に世界の医療コミュニティーと参加できることを楽しみにしている。

「公平なアクセスに向けた包括的なエンドツーエンドのアプローチ」
ノバルティス グローバルヘルス&サステナビリティ部門プレジデント、ルッツ・ヘーゲマン

ノバルティスは、世界の健康の未来について、意欲的なビジョンを掲げている。どこに住み、どこで生まれたかにかかわらず、世界中の誰もが真に医薬品を入手できるようにすることだ。

必要なのは、アクセスを妨げる多くの複雑な要因や障壁を包含する、包括的なエンドツーエンドのアプローチだ。

公平なアクセスとは、持続可能なエコシステムを通じて医療を再構想し、慈善活動の枠を超えて、世界の健康をあらゆる企業の中核的な事業責任の一部とすることだ。満たされていないニーズに応え、各国の医療システムの能力を高める官民連携を築くことでもある。

こうした原則は、サハラ以南のアフリカで実施するノバルティス鎌状赤血球症プログラムをはじめ、私たちの活動の礎となっている。同プログラムは、世界の健康分野における今後の取り組みの青写真として、業界をリードしている。

鎌状赤血球症(SCD)は、慢性的で衰弱をもたらす症状を伴う、生命を脅かす疾患だ。世界保健機関(WHO)は、サハラ以南のアフリカにおける公衆衛生上の優先課題と位置づけている。同地域では、世界のSCD患者である乳児の80%が生まれている。

ノバルティスは鎌状赤血球症プログラムを通じ、サハラ以南のアフリカで、世界の健康分野における今後の取り組みの青写真として業界をリードするモデルを実践している。Image: ノバルティス

2019年の世界経済フォーラム年次総会で初めて発表されて以来、ノバルティスはガーナ、タンザニア、ウガンダ、ケニア、ザンビア、アンゴラで、各国政府、患者支援団体、専門家団体、その他の組織との連携を築き、SCDに包括的に共同で取り組んできた。

このプログラムでは、現地パートナーと協力し、新生児スクリーニング、診断、治療、医療従事者の研修を実施している。主な取り組みには、ガーナ政府と協力して現在の標準治療を償還対象とすることや、より多くの人が利用できるよう小児向け製剤を発売することが含まれる。

患者と地域社会には、誰もが利用できる持続可能な医療を受ける権利がある。

私たちは共に、世界中の患者集団の利益のため、医療システムがイノベーションを最大限に活用できるよう備えることを支援できる。

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