気候とテクノロジーが2018年の世界に最大のリスクをもたらす

A resident looks at a wildfire in Vina del Mar, Chile, March 12, 2017. REUTERS/Rodrigo Garrido - RC14DA554E50
Major wildfires in the US, Chile and Portugal in 2017 led to significant economic costs and loss of lifeImage: REUTERS/Rodrigo Garrido
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私たちは、前例のない技術的、科学的、そして財政的資源を有する時代に生きています。遺伝子編集技術や、失明のような症状を単に治療するのではなく治癒できる可能性、あるいは薬剤耐性の脅威の高まりに対処できる可能性など、驚くべきイノベーションを頻繁に目にします。

私は未来について楽観的であり続けていますが、世界が直面するリスクは減少するどころか増大しています。それらは構造的な性質を持ち、対処するには集団としての意志が必要です。残念ながら、まさにその時にナショナリズム、保護主義、ポピュリズムが台頭し、ルールに基づく多国間主義が後退しています。

私たちは、より持続可能で、公平かつ包摂的な未来へ進む機会を無駄にしてしまうのではないかと危惧しています。企業のリーダーとして、社会の一員として、そして親として、次の世代に残すことになる未来を深く憂慮しています。私たちは共に行動しなければなりません。そして今すぐ行動しなければなりません。

環境リスクがますます顕在化

『グローバルリスク報告書』の13年にわたる歴史の中で存在感を増してきた環境リスクは、特に懸念される分野です。『グローバルリスク報告書2018 』は、環境リスクを5つのカテゴリーに分けて検討しています。異常気象と気温、加速する生物多様性の喪失、大気・土壌・水質の汚染、気候変動の緩和と適応の失敗、そして低炭素社会への移行に伴うリスクです。これらのリスクはいずれも、発生可能性と影響の両面で高く評価されました。

これは驚くことではありません。2017年9月は、記録上、異常気象が最も激しかった月であり、2005年以降で米国のハリケーン被害による経済損失が最も大きいシーズンでもあり、損失額は3,000億ドルを超えました。異常気象に見舞われたのは米国だけではありません。たとえばアイルランドでは、50年以上で最悪の熱帯暴風雨が発生しました。

過去1年は、観測史上最も暑い年の上位3年に入り、エルニーニョ現象が発生しなかった年としては史上最も暑い年でもあります。その結果、2017年には米国、チリ、ポルトガルで大規模な山火事が発生し、多大な経済的損失をもたらしたほか、残念ながらポルトガルだけで100人を超える死者が出ました。

気温の上昇は農業システム、特に単一栽培にとって大きなリスクです。自然災害によって中国と米国のトウモロコシ生産が同時に失敗する確率は、現在、10年ごとに5%あります。この両国は世界供給量の60%を生産しており、生産が同時に失敗すれば、広範な飢饉と困窮につながるおそれがあります。

2017年、ドイツの研究者たちは、食料システムに不可欠な昆虫の個体数が過去27年間で75%減少したことを明らかにし、「生態学的なハルマゲドン」への懸念が高まりました。生物多様性喪失の主な要因は、農業、採鉱、インフラ開発、石油・ガス生産のために人間が生息地を破壊し続けていることです。肉の需要の増加は、環境システムと農業システムにとって重大なリスクになりつつあります。

現在、世界全体の死亡者の10人に1人は汚染が原因です。世界人口の90%が、WHOの指針を超える汚染レベルの地域に暮らしています。メガシティがさらに増えれば、この傾向は一段と進むでしょう。

世界の水域にあるプラスチック廃棄物が人間の体内に入り込んでいることを示す新たな研究も懸念されています。食品や水からマイクロプラスチック繊維が見つかる例が増えています。それらが有毒な農薬や金属と結びつき、体内に取り込まれる経路となる可能性が懸念されています。

2017年、気温上昇によってエネルギー消費が増え、深刻な干ばつが水力発電から石炭火力発電への切り替えを加速させたため、CO2排出量は4年ぶりに増加しました。海洋の温暖化は続いており、CO2を吸収する能力は低下している可能性があります。さらに、研究によると、熱帯林は現在、劣化と森林破壊を主な原因として、炭素の純排出源になっている可能性があります。

低炭素で環境の安全が確保された世界への移行が加速するにつれ、新たなリスクも生じると予想されます。エネルギー生産の方法に劇的な変化が起きれば、国や地域をまたいで経済、社会、地政学上のリスクが引き起こされる可能性があります。

残念ながら、気候変動の緩和に向けた取り組みはあまりにも不十分であり、これがすぐに変わる見込みもほとんどありません。私たちの分析では、地球温暖化を2ºC以下に抑えるというパリ協定の目標を達成できない可能性は、達成できる可能性を上回っています。これにより、地球規模の環境リスクの影響が拡大するおそれがあります。

高まるテクノロジーリスク

今年のグローバルリスク報告書も、新技術が経済に及ぼす影響、特に格差を拡大させる要因となることへの懸念の高まりを反映しています。最も密接に結びついたリスクのうち2つは、「技術進歩の悪影響」と「構造的失業または不完全雇用の高まり」です。さらに、現在のイノベーションの傾向は、「より高い所得水準へ向かう階段」の実現可能性も脅かし、製造業の労働者を低賃金のサービス業へと押しやっています。

たとえば人工知能(AI)は多くの機会をもたらしますが、短期的なインセンティブによって、新興技術が取り返しのつかない損害を引き起こす形で利用されるおそれがあります。たとえば、AI操縦のドローンを使って世界の魚類資源の大部分を一掃することなどです。破壊的な利用を防ぐには、新たなグローバルガバナンスの規範と制度が必要です。

AIはソーシャルネットワークを通じた誤情報の拡散とも関係しています。「フェイクニュース」が世界的に広く認知されるようになった今、この問題は2018年においても大きな意味を持ちます。

『グローバルリスク報告書2018』で取り上げられているこれらのリスクやその他のリスクは、構造的で相互に結びついているため、社会、経済、国際関係の基盤となるシステムそのものを脅かしています。このような状況では、企業と私たちの未来を大切にすることは、それらに影響を及ぼし得るあらゆる事柄を考慮することを意味します。効果的なリスク管理には、リスク間の相互依存関係を考慮し、認知バイアスを認識した真に包括的なリスク管理アプローチが求められます。

より強靱な明日を築くのに遅すぎることはありませんが、より強い危機感を持って行動する必要があります。

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