国家外交では世界的な問題を解決することも、取り組むことさえもますます難しくなっている今、ウェブ外交へと転じる時が来ている。国家外交とは、外交、条約、国際機関から成る伝統的な世界であり、各国の大使館や、豪華な木張りの外務省で、伝統的に政治家(その大半は男性)が決定を下してきた。ウェブ外交とは21世紀の外交政策であり、企業、NGO、教会、大学、財団、都市、州、そして強い意志を持つ個人が取り組む、ネットワーク、連合、パートナーシップ、イニシアチブが広範に入り組んだものだ。彼らは皆、自国政府と協力し、連携し、ときには対立しながら活動している。

政治学者や外交政策の論客は、「リベラルな国際秩序」の衰退を嘆いている。彼らがそう呼ぶのは、第二次世界大戦後に主として米国とその同盟国が築いた、国際機関の複合体を指す。国連、世界銀行、国際通貨基金、世界貿易機関、OECDをはじめとする関連の国際機関は、懐旧の念による美化を差し引いても、もはやかつての姿ではない。
気候変動に関するパリ協定は、世界外交の勝利だった。しかし、同協定が定めた枠組みでは、各国は時間の経過に応じて更新される排出削減目標を自らに課すことになり、国際法の下で明確な義務を定め、それに拘束されるという従来の約束からは遠い。1990年代の地雷禁止条約と国際刑事裁判所を設立する条約以来、初めて成立した世界的な合意でもある。一方、世界には注目を要する脅威が数多くある。テロ、人身・薬物・武器の密売、陸と海の環境悪化、食料や水の不足、パンデミック、汚職、破綻国家、移民と難民、そしてあらゆる種類の暴力が、その一覧に並ぶ。
ウェブ外交の出発点にあるのは、国際秩序が主権国家の世界である一方、実際に私たちが暮らす世界は、頭の中や書類の上に構築する世界とは異なり、交差するネットワークが織りなす広大な網だという考え方だ。国際法上の主体と認められるのは、国際機関と並んで国家だけである。インターネットの地図や、大陸を光の回廊が横切る夜の地球を思い浮かべれば、その姿が見えてくる。そうした世界では、誰もが国境を越えた行動を起こし、推し進められる。そのことを、テロリストや薬物・武器・人身の密売人、その他の犯罪者はよく知っている。
もちろん、国内で権力と影響力を持つことは役に立つ。効果的なウェブ外交の優れた例を二つ挙げると、ゲイツ財団とブルームバーグ・フィランソロピーズが始めた取り組みがある。
ワクチンと予防接種のための世界同盟(GAVI)は、独自の推計によれば、約6億4,000万人の子どもへの予防接種に貢献してきた。財団や多国間機関を結び、先進国と途上国の政府、市民社会組織、世界の製薬業界、研究機関や技術機関と協力している。ゲイツ財団などの慈善団体が資金を提供し、製薬会社がワクチンを開発し、世界保健機関がワクチンの品質を規制し、市民社会組織が予防接種プログラムを実施する。
気候変動対策では、ブルームバーグ・フィランソロピーズが、気候とエネルギーに関する市長誓約(Global Covenant of Mayors for Climate and Energy)の創設を促し、資金を提供した。この誓約は、世界7,100を超える都市の政府機関と非政府主体をつなぎ、動員して、炭素排出量の削減と気候変動の影響緩和に取り組んでいる。こうした市長たちはパリ協定の推進に重要な役割を果たし、今では自国政府の方針にかかわらず、その実施に取り組んでいる。
ドナルド・トランプは2017年6月1日、パリ協定から離脱すると発表した(国家外交の行為)。数時間後、ニューヨーク市の前市長マイケル・ブルームバーグは、「各国政府が気候変動対策に動くのを待つことはできない。解決策は都市に目を向けよう」とツイートした。翌日、30人の市長、3人の州知事、80人を超える大学学長、100人の企業リーダーが、炭素排出量削減の約束を記した自らの提出文書を、他国のものと並べて受理するよう国連と交渉を始めた(ウェブ外交)。
GAVIが「同盟」を名乗る一方、ブルームバーグが創設した市長組織は、自らを「世界的な誓約」と位置づけている点に注目したい。どちらも外交における伝統的な用語だ。国家は同盟を結び、誓約を交わす。そしてリベラルな国際秩序の中で、国家は世界的な課題を設定し、行動するか、しないかを決めている。
ほぼ200か国の世界では、何事を決めるにもあまりに多くの政府の合意が必要となり、台頭する大国、復活する大国、現状維持を求める大国の間の行き詰まりに引き裂かれて、従来の秩序は衰退し、麻痺しているのかもしれない。しかし、国家というチェス盤の世界の周囲、上、下、そしてその内部を貫く、別の秩序が生まれつつある。それははるかに複雑で、見えにくい。だが、形づくるのがずっと容易で、少なくとも入り込む余地があるという期待を抱かせる。
二つの秩序は結びつくことができ、実際にそうなるだろう。実際、市長やその他の主体は、パリ協定で「非締約者ステークホルダー」として認められている。国際法上、彼らは協定の「締約者」にはなれないが、参加各国政府は、こうした他の関係者も結果に利害を持つことを認め、交渉の場でさまざまな形で彼らを関与させるようになっている。
各国政府もまた、自らウェブネットワークを構築し、接続する価値を認識しつつある。中国の壮大な戦略「一帯一路」は、中国から東南アジア、中央アジアを経て欧州まで、陸と海の交易路を再興することを目指し、すべての道が北京に通じる商業、安全保障、文化のネットワーク世界を構想している。欧州連合も歩調を合わせている。2016年の「外交・安全保障政策に関するグローバル戦略」では、ネットワーク化された世界で、課題形成者、連結者、調整役、促進役として行動することを提案している。
カナダは、特に南の隣国との関係で、確実に一歩先を行っている。自由党の外交政策文書「Canada In The World」には、「グローバル・ネットワーク戦略」という副題が付いている。政府、非政府組織、民間部門に加え、カナダの若者や学術界から、宗教団体や芸術家に至るまで、さまざまな層と協力し、「つながり」を通じて影響力を得ることを目指している。
ただし、つながるには、社会の内外と国境を越えた開放性が必要だ。「閉鎖」とは、つながりを断ち、遮断することを意味する。世界のインターネットに参加するには、国家は市民がそこに接続できるようにしなければならない。市民やその他のウェブ上の主体が世界規模で組織化するには、他国の同じ立場の人々を見つけ、つながれる必要がある。
したがって、開放か閉鎖かという状態が、形成されつつある世界秩序を分かつ断層線となる。その分断は、冷戦期の資本主義国と共産主義国の対立と同じくらい顕著になるだろう。人、物、サービス、知識、コミュニケーションの開放性を守り、それが発展できる国内外の条件を整えることは、世界の機関、各国政府、そして私たち全員にとって最も重要な課題である。


