今後の世界秩序を運営するのは中国と米国だ——覚悟しておこう

Flags of U.S. and China are placed for a meeting between Secretary of Agriculture Sonny Perdue and China's Minister of Agriculture Han Changfu at the Ministry of Agriculture in Beijing, China June 30, 2017. REUTERS/Jason Lee
How China's rise and the US's decline is expected to affect the global liberal orderImage: REUTERS/Jason Lee
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少なくとも3つの相いれない未来の世界秩序像が、ダボスで開かれた世界経済フォーラムの会合で先月、激しくぶつかり合った。対立姿勢を強めるドナルド・トランプ氏が唱えたのは、現在の秩序から米国が全面的に撤退するという構想だった。中国の指導者たちは、北京を中心とする新たな世界経済システムを提案した。一方、カナダのジャスティン・トルドー氏とフランスのエマニュエル・マクロン氏は、西側諸国の指導者たちに、現在の自由主義秩序を一段と強化するよう促した。

彼らの演説を、見せかけの大言壮語として片づけるのは間違いだ。この議論は極めて深刻である。その結末は、世界の安定、そしてすべての人々の安全と繁栄の将来を左右するだろう。主要国や国際機関の指導者たちが一致点を見いだせなければ、極めて厳しい局面を迎えることになる。撤退するのではなく、迫り来る嵐を乗り切るための新たな発想、制度、青写真が、これまで以上に必要だ。

私たちは異常な時代を生きている。世界の自由主義秩序は、崩壊がかなり進んだ状態にある。そして世界が単極の現実から多極の現実へ急速に移行するなか、国際システムそのものが深刻な不安定さにさらされている。細心の注意を払って対処しなければ、大規模な崩壊が起きる可能性は現実にある。問われているのは、世界の指導者たちがリアルタイムで起きていることを十分に理解し、新たなルールを定めるための集団的行動を結集できるかどうかだ。

旧来の世界自由主義秩序は、1945年以来、平和と安定の礎となってきた。武力紛争と、それを招く経済ナショナリズムを防ぐため、米国と西側同盟国が意図的に設計したものだ。国際連合、国際通貨基金と世界銀行、世界貿易機関、北大西洋条約機構、G20、そして数多くの条約や協定で構成される。浮き沈みを経験しながらも、安定したウィンウィンの関係を築くためのルールを定めてきた。

安全保障と貿易の運営にはルールに基づくシステムが不可欠だという点では、ほぼ誰もが一致しているが、そのルールを誰が作り、執行するのかをめぐって権力闘争が進行中だ。過去20年間における中国の目覚ましい台頭と米国の相対的な衰退により、火花が散るのは避けられない。ところが、足元をすくわれるように状況が急変したため、西側諸国の大半は何が起きているのかをぼんやりとしか認識していない。中国に対する米国の貿易措置など、壊滅的な誤算が生じる可能性は高まっており、世界経済に深刻な連鎖的影響を及ぼしかねない。

進行中の地殻変動を理解するため、次の5つの事実を考えてみよう。

第一に、中国は経済規模で米国を追い越しつつある。ある推計によれば、2017年から2019年までの世界の成長のうち、中国が35%、米国が18%、インドが9%、欧州が8%を占める。2050年までに、世界の経済規模上位5か国は、中国、インド、米国、ブラジル、インドネシアになる可能性が最も高い。西側諸国は、このような世界に少しでも備えられているのだろうか。

第二に、中国は地球上で最大規模の都市化・インフラ開発構想を主導している。開始からすでに5年目を迎えた、9,000億ドル規模の「一帯一路」(OBOR)構想には、新たな道路、航路、建設事業が含まれ、65か国以上に広がっている。その狙いは、中国からアジア、中東、アフリカ、欧州へと世界貿易の流れを文字どおり再構築することだ。詳細は不明瞭だが、OBORは中国の国有銀行が資金を拠出し、中国が支援する新たなアジアインフラ投資銀行が他の機関と連携して、戦略的に限定的な貢献を行っている。

第三に、中国は世界的なグリーン大国になろうとしている。2015年のパリ気候協定に署名した後、中国は気候変動の緩和を主導する意向を示した。2025年までに、中国で販売される新車の大半は完全な電気自動車になる見込みだ。中国は石炭の使用を積極的に削減している。すでに、世界の高速鉄道の60%以上が中国にあり(たとえば、日本の10倍の総延長にあたる)、中国は最近、3年以内にすべての主要都市で青空を実現すると表明した。変化はすでに感じられる。この冬の北京の空気は30%きれいになった。昨年の冬と比べてのことだ。

第四に、中国はデジタル経済でも世界の先頭を走っている。これにはキャッシュレス決済も含まれる。大都市では、コンビニエンスストアやカフェでの商取引・小売取引の最大90%が、アリペイとウィーチャットを通じて行われている。アリババによる中国大都市での電子商取引の配達は、現在、世界最速だ。アリババはたった1日で250億ドルの売上を記録し、いわゆる米国のブラックフライデーやサイバーマンデーの売上を大きく上回った。

最後に、中国の大学も国際ランキングの上位へ躍進している。北京大学と清華大学の2校は、わずか5年で200位圏外から一気にトップ30入りを果たした。これに続く大学もほかに40校あり、今後数年で名門大学の仲間入りをする見込みだ。中国の学生はいまも北米や西欧の名門校を目指しているが、まもなくその必要はなくなるだろう。

その間、西側諸国はハンドルを握ったまま居眠りしているように見える。現在の苦境には皮肉な一面がある。一方では、米国が支える世界自由主義秩序のおかげもあって、世界はかつてないほどの繁栄とつながりを享受している。しかし、こうした進歩に伴って複雑さとシステム上のリスクが増し、自由主義秩序は崩壊しやすくなっている。世界および各国の制度は、システムへの圧力に対処する能力をますます失いつつある。民主主義には、より高次かつ長期的な課題に取り組むための動機づけの仕組みが欠けていることが明らかになった。

気候変動から大規模な技術変革まで、さまざまな脅威に直面する世界は、安定した有能なグローバル・ガバナンスを切実に必要としている。それにもかかわらず、不平等の拡大と、自由主義秩序が期待に応えられなかったという不満を背景に、まさに自由主義的な統治への反発が急速に強まっている。フランシス・フクヤマとヤン=ヴェルナー・ミュラーは、ポピュリズムと偏狭な経済ナショナリズムの台頭を、将来の安定に対する最も深刻な脅威の一つと見ている。秩序なきシステム崩壊のリスクは、かつてないほど現実味を帯びている。

世界の地政学的移行を乗り越えるには、まず米国の覇権の時代が終わったと認めなければならない。世界は米国と中国を中心とする新たな多極秩序へと移行している。変化した状況を踏まえた、安定した制度とルールを回復し、再構築する必要がある。それらは、より包摂的で、代表性が高く、正統性のあるものにならなければならない。国際的な協力の枠組み(G20など)、地域機関、非国家主体、とりわけ金融関係者や慈善活動家の役割も高める必要がある。さらに、都市も存在感を主張している。世界最大の都市によるU20が2018年10月に正式発足することがその証左だ。

こうした変化を、世界自由主義秩序を強く支持する人々が受け入れるのは容易ではないだろう。また、直線的な変化に慣れた人々にも説明する必要がある。現在の変革は非線形であり、指数関数的に加速している。人間には把握しにくい過程だ。私たちは民主主義の前進と、それを支える原則に固執しているが、複数の価値体系と妥協し、共存することを学ばなければならない。

次の秩序はより複雑で、不安定さを増す可能性もある。それでも、私たちが直面するのは、まさにこの新しい世界だ。

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この記事は、米国研究に関するフィル・リンド・イニシアチブのシリーズの一環であり、自由主義秩序の将来を扱う。このシリーズはロバート・ムガーとテイラー・オーウェンが主導し、エド・ルース、スティーブン・ピンカー、アン=マリー・スローター、フランク・フクヤマ、スーザン・ライス、ミーシャ・グレニーが登場する。ブリティッシュコロンビア大学(UBC)公共政策・グローバル問題学部が主催する。

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