リスクの高い経済圏で事業を行うべき理由

Lights are on as people work in their offices in a skyscraper in downtown Milan, February 17, 2015.
Image: REUTERS/Stefano Rellandini
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多国籍企業が新たな国や、新しい顧客、パートナー、取引先との事業を決める際、採算性は重要な検討事項です。しかし近年、組織は意思決定を倫理面からも正当化するよう求められることが増えており、倫理上の懸念を理由に事業計画の中止を迫られる場合もあります。

この主張の論理にはうなずける点があります。企業は大きな影響力を持つため、一定の価値観を尊重しない人々や地域との取引を拒めば、変化をもたらせるという考えです。

しかし、どれほど善意に基づくものであっても、期待したほどの効果が得られない可能性があります。

かつてないほど高まる基準

以前は、新たな地域や相手との取引を検討する際、ほとんどの企業に必要だったのは最低限のデューデリジェンス、つまり制裁対象の確認と、トランスペアレンシー・インターナショナルの腐敗認識指数の確認などでした。

今では、それだけでは不十分です。株主は、ある国や特定のパートナーとの取引を始めるかどうかを判断する際、人権問題も考慮するよう企業に求めています。

市民社会による活動の拡大も、こうした圧力を強めています。南アフリカのアパルトヘイト体制や、パレスチナでのイスラエルの行動に抗議する労働組合のボイコットが行われた時代以降、市民社会の活動は急速に広がりました。今日では、中央アフリカ共和国のダイヤモンド採掘からサラワク州のチーク材伐採まで、腐敗があるとみなされた国や産業での取引を企業に停止するよう、市民社会組織が求めています。

こうした環境の変化を受け、新たなビジネスパートナーや取引先、第三者の代理人について、現地市場での評判を確認する必要があります。制裁対象リストに名前がなく、司法審査で問題を指摘されたことがなくても、評判を詳しく調べると、自社ブランドの代表としてふさわしいか疑問を抱かせる情報が見つかることがあります。

問題が起きたとき

この判断には多くのものがかかっています。ウォール・ストリート・ジャーナルが指摘するように、倫理的な企業は消費者からより高く評価されます。一方、非倫理的な企業は、労働者や地域社会を搾取していると見なされれば、処罰を受ける可能性が高まります。

この主張は、ハーバード・ビジネス・レビューが取り上げたKRWインターナショナルの調査によって裏付けられています。従業員の評価で誠実さ、責任感、寛容さ、思いやりが高いCEOに率いられた企業は、平均して2年間で総資産利益率が9.35%上昇しました。これに対し、誠実さの評価が低い方に位置づけられたCEOの企業では、上昇率は1.93%でした。

異なる取り組み方

しかし、企業はステークホルダーの活動やメディアの圧力に従うべきなのでしょうか。高い誠実性と強い倫理原則を掲げ、従業員もそれを実践する企業が、特定の国や産業での事業を見送ったり、腐敗の疑いから悪評が立つことを懸念して撤退したりしたら、その空白を誰が埋めるのでしょうか。

こうした状況で企業に撤退を求める人々は、実際にはより良心に欠ける事業者に参入の余地を与え、その国や産業を誠実さの尺度でさらに低い位置へ押しやっているのではないでしょうか。

最近の証拠を判断材料にするなら、どうやらそのようです。たとえば、国連の報告書によると、武装勢力による鉱物採掘に伴う人権問題を理由にコンゴ民主共和国を罰するための制裁措置は、鉱業部門で75万人を超える雇用の喪失につながりました。それに伴う収入の減少は、最も基本的な水準で子どもたちに影響を及ぼし、乳児死亡率を143%上昇させました。

制裁の目的は称賛に値するものでしたが、その結果は、国内で最も脆弱な立場にある人々にとって壊滅的なものとなった可能性があります。腐敗した国や産業で事業を行うことについても、同じことが言えます。こうした問題について公に立場を示せば、見出しを飾ることはできるかもしれません。しかし、倫理を重んじ、社会への意識を持つ企業には、現地にとどまり、事業を行う地域社会で腐敗に対する意識を変える手助けをする責任があるのではないでしょうか。

スティーブン・フォックスは、フォーブスの記事で簡潔にこう述べています。「強固な反腐敗文化がいったん根付けば、好循環が始まる。腐敗行為を厳しく拒む企業としての評判を確立できれば、相手方は賄賂を要求することすら思いとどまり、問題が発生するリスクを大幅に下げられる。」

変化を実践する

電子機器産業は、労働慣行をめぐる評判の問題に直面した産業の好例です。

しかし、問題のあるパートナーを切り離すのではなく、業界の複数の企業は、なかでも中国や台湾の製造施設で働く人々の人権を向上させることを明確な目的として、電子産業市民連合(EICC)を設立しました。

EICCとその行動規範は、インテル、IBM、アップルなどの大企業が、取引先や事業を行う地域社会と関わる方法に大きな影響を与えてきました。

リスクの高い事業に取り組む新たな方法

「善良な」企業が悪質な業者に対処しなければ、改善は決して実現しません。競合他社が「金を払って参入する」用意があるという理由で環境から撤退するのではなく、腐敗行為を明るみに出すべきではないでしょうか。結局のところ、腐敗は闇の中ではびこります。

もちろん、企業が困難な環境を避けるのではなく、意識的に投資し、内側から変化をもたらそうとするこの取り組みの妥当性を、ステークホルダーや市民社会に納得してもらうのは容易ではありません。

しかし、企業には、時に難しい決断を下す責任があります。誰もが事実に基づく意見も虚偽に基づく意見も発信できる、キーボード上の論客があふれるこの時代、前向きな行動を起こすことはこれまで以上に重要です。

そう考えると、問うべきなのは「この取り組みを行うべきか」ではなく、「行わずに済ませる余裕があるのか」かもしれません。

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