2008年の危機は歴史の転換点として記憶されるだろう。ただし、それは望ましい理由からではない

A broker reacts at BGC Partners at Canary Wharf financial district in London August 5, 2011. Banks and commodity stocks fell sharply on Friday as Britain's top share index extended losses into a sixth straight trading day, roiled by a global debt crisis and unmoved by U.S. jobs data easing fears of another economic recession. London's blue chip index closed down 146.15 points, or 2.7 percent at 5,246.99, as investors continued to pile funds into safer havens such as bonds, gold and the Swiss franc. REUTERS/Luke MacGregor (BRITAIN - Tags: BUSINESS IMAGES OF THE DAY) - GM1E78603KS01
Have we got our response to the crisis wrong?Image: REUTERS/Luke MacGregor
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2008年の危機は、政策立案者への効果的な警鐘となったからではなく、歴史の転換点として記憶される可能性が高い。反対に、この危機と、指導者たちがその教訓を見抜けず、まして行動に移せなかったことが、今後数十年にさらに多くの危機を招く道を開くかもしれない。

2008年に始まった世界的な金融・経済危機は、大恐慌以来最大の経済的ストレステストであり、第二次世界大戦以降、社会・政治制度にとって最大の試練だった。金融市場や通貨を危険にさらしただけでなく、いまだ十分に対処されていない規制とガバナンスの深刻な欠陥も露呈させた。

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実際、2008年の危機は、経済の回復力を高め、脆弱性を取り除く改革につながったからではなく、歴史の転換点として記憶される可能性が高い。大不況の教訓を見抜けず、まして行動に移せなかった指導者たちの失敗が、今後数十年に経済危機をはじめとする一連の新たな危機を招く道を開くかもしれない。

危機がどれほど深刻なものになろうとも、100年後の歴史家たちは、私たちの近視眼的な姿勢に絶望するだろう。彼らは、アナリストや規制当局が、国内の監督体制を強化して金融システムを修復することだけに視野を狭めていたと指摘するだろう。それは価値ある目標だったものの、唯一の必須課題ではなかったと歴史家たちは述べるはずだ。

持続可能で公平な成長を支える形で、グローバル化と技術発展がもたらす課題に世界が立ち向かえるようにするには、国内外のガバナンス機関と規制を大幅に改善しなければならない。しかし、この取り組みへの投資はあまりにも不十分だ。欧州連合のような地域機関を除けば、国際金融ガバナンスはほとんど手つかずのままである。

さらに悪いことに、金融システムへの部分的な修正は、いっそうのグローバル化を可能にするため、結局は事態を悪化させる。金融分野だけでなく、他の経済・技術分野でも、もともと不十分なガバナンスと規制の枠組みにかかる負荷が増すからだ。一方、より高い収益率を目指す巨額の金融投資は、技術革新を促し、金融分野をはじめとする規制システムへの負荷をさらに強める可能性が高い。

安価な資金に支えられた大きな技術進歩は、市場をあまりに速く変化させ、政策や制度の変化が追いつけなくなることがある。また、新たな市場が生まれ、先行して参入する企業や投資家に莫大な利益をもたらす場合もある。そうした人々は、国内外の規制当局より数歩先を行くことで利益を得る。

2008年の危機前に起きたのは、まさにこのことだった。新技術を活用した金融商品によって、一部の人々が巨額の利益を得る機会が生まれた。しかし規制当局は革新の進展に追いつけず、その結果、経済全体に影響を及ぼすリスクが生じた。

ここには、21世紀の世界的危機と、たとえば1930年代の大恐慌や、過去のいかなる株式市場の暴落との間にもある根本的な違いが示されている。金融セクターの拡大により、規制の不備や脆弱なガバナンスから短期的な利益を得る主体が増え、今日の危機は防ぎにくくなっている。

さらに事態を複雑にしているのは、今日の危機が影響を及ぼすシステムが、単一の規制機関の管轄をはるかに超えていることだ。そのため危機は一層制御しにくくなり、社会や政治に長期的な影響を及ぼすことも含め、その結果を予測するのが難しくなる。

ナショナリズムの高まりと、科学や事実に基づく政策立案を軽視する傾向によって、次の危機が起こる可能性は高まっている。それは金融危機かもしれないが、移民、貿易、サイバー空間、汚染、気候変動など、多様な領域に及ぶ可能性もある。これらすべての分野で、国内外のガバナンス機関は弱体または未整備であり、透明性と説明責任を求める監視団体のような独立した主体もほとんど存在しない。

そのため、危機の防止だけでなく対応も難しくなる。とりわけ、主体が制度の抜け穴を利用し、責任を回避する機会を生み出すからだ。2008年の危機は、特にガバナンスの分断が招く災害に対し、私たちがいかに迅速な対応を苦手としているかを厳しく突きつけた。

確かに、ヘルティ・スクールの2018年ガバナンス報告書が示すように、危機への備えと管理には一定の改善が見られる。しかし、金融からデジタル技術、気候変動に至る幅広い分野での動向が、国内外の機関のガバナンス能力をすり抜ける可能性に、私たちはもっと注意を払わなければならない。これらすべての分野で危機のシナリオを想定し、動乱に備えた緊急計画を策定するとともに、リスクを軽減する取り組みを強化すべきだ。その中には債務水準の管理も含まれる。先進国の債務水準は現在、2008年の危機前よりはるかに高い。

さらに、国際機関に必要な資源と責任を与えるべきだ。また、自らの利益のためにリスクを増幅させる者を処罰すれば、グローバル・ガバナンスと、それを担うべき機関の正統性を強化できる。

現状では、国境を越えた連携と国際協定の執行が不十分であり、危機の予防と管理を大きく妨げている。しかし世界は、この弱点に対処するどころか、さまざまな危機を起こりやすくする時代遅れの国家主権モデルを復活させている。近いうちに進路を変えなければ、2118年の世界が私たちを軽蔑する理由は十分にある。

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