人道支援の世界は、内戦、難民の増加、複雑化・長期化する危機の急増に特徴づけられる時代に直面している。
人々の暮らしを改善する革新的で費用効率の高い方法を取り入れるため、民間セクター、ドナー、国連機関、オピニオンリーダー、NGOの一層の関与が必要だ。
インパクト評価、テクノロジー、費用効率、民間セクターとのパートナーシップは、今日の最も複雑な課題に取り組むうえで不可欠である。
人道支援の世界は岐路に立ち、内戦の増加、難民数の拡大、長期化する危機や複雑な緊急事態の急増に特徴づけられる時代に対応している。
この「燃えさかる世界」は、変化を早急に求めている。民間セクター、ドナー、国連機関、オピニオンリーダー、非政府組織(NGO)が、暮らしの改善に最も大きな可能性をもたらす、エビデンスに基づくアプローチやイノベーションを取り入れ、推進するために、これまでにない関与が必要だ。
人道支援の資金不足、かつてない深刻さに
国際救助委員会(IRC)の緊急監視リストは、深刻な不均衡に陥った世界の姿を浮き彫りにしている。2025年の監視リストに挙げられた20カ国の人口は世界全体のわずか11%だが、人道支援を必要とする人々の約4分の3を占める。
人道支援のニーズと利用可能な資金との隔たりはかつてないほど広がり、何百万人もの人々が取り残される危険にさらされている。この現実は、あらゆる介入の効果を最大化し、すべての資金を可能な限り効果的に使うという道義的責務を浮き彫りにする。
現状を打破すると約束する新政権がワシントンで舵取りを始める今、問うべきだ。現状打破こそ、人道支援分野が必要としていることではないだろうか。
前例のない世界的な動揺と苦難の時代に応えるには、大胆で変革をもたらす行動が必要だ。費用効率を優先し、イノベーションを取り入れ、従来どおりのやり方を終わらせることで、今日の課題の規模に真正面から対処できる。
2025年以降に変革をもたらし、費用効率を高めるための、人道支援分野における3つの取り組みを紹介する。
1. 厳密に検証し、費用と効果を踏まえて拡大する
インパクト評価は、効率的な人道支援の基盤である。資源を可能な限り効果的に使えるようにすると同時に、支援活動が人々の暮らしを変えてきた成果を示すことができる。
IRCでは、すべての人道支援プログラムがエビデンスに基づく、またはエビデンスを生み出すものとなることを目指しており、理想的にはその両方を実現したい。この取り組みは実績にも表れている。IRCは世界の人道支援予算のわずか3%を占めるにすぎないが、人道支援の現場で実施されたインパクト評価全体の30%を担ってきた。
エビデンスに基づくアプローチは、変革的な成果につながっている。たとえば、栄養不良の診断と治療に向けてIRCが推進してきた簡素化した方法は、従来の方法と同等の効果があることが証明されている。その費用は治療を受ける子ども1人あたり20%少ない。
IRCは、費用効率の高いイノベーションの開発と拡大を率先して進めてきた。こうした世界的課題に取り組むため、優れた実践を共有し、協力する必要がある。2018年、IRCは費用分析の手法を「Dioptra」というソフトウェアツールにまとめ、あらゆる介入の成果1単位あたりの費用を算出できるようにした。
現在、年間予算の合計が70億ドルに上る8つの組織がDioptraを採用している。このコンソーシアムは、費用データによって人道支援資金の効果を高め、分野全体で新たな効率化を実現できることを示している。
こうした評価は、プログラムを改善するだけでなく、支援の力を裏付ける説得力ある根拠となり、その効果に疑問を呈する批判に反論する助けにもなる。
2. テクノロジーとAIを活用して拡大する
テクノロジーと人工知能(AI)は、人道支援の可能性を広げており、支援の到達範囲、費用効率、拡張性を高める前例のない機会をもたらしている。
IRCは、さまざまな分野でこれらのツールを活用してきた。たとえば、避難を余儀なくされた子どもたちの教育へのアクセスを改善するためのAI活用から、気候災害を予測して脆弱な人々に先回りした支援を提供する取り組みまで幅広い。責任を持って導入すれば、テクノロジーは人道支援サービスの提供範囲を広げる大きな変革の力となる。
こうしたイノベーションは、効率性だけを目的とするものではない。最も周縁化された人々も命を救う介入の恩恵を受けられるようにする、公平性の実現を目指している。
3. 民間セクターや地域市場と連携し、レジリエンスを高める
レジリエンスのある地域社会を築き、安定した資金の流れを維持するには、民間セクターと人道支援組織のより緊密な協力が必要だ。民間セクターとNGOのパートナーシップには、イノベーションを促進し、重要なプログラムに資金を提供し、長期的なレジリエンスを育む未開拓の可能性がある。
その一例が、IRCのアドバイザリーモデルである。民間セクターの専門知識と資源が、人道支援の効果をいかに高めるかを示している。地域市場を活用し、地域主導の解決策を育むことで、こうしたパートナーシップは従来の支援プログラムが終了した後も進展を持続させ、従来どおりのやり方を変えることができる。
人道支援のこれから
インパクト評価、テクノロジー、費用効率、民間セクターとのパートナーシップは、単なる手段ではない。今日の課題の規模と複雑さに対処するために欠かせない要素である。
危機が深刻化し、資金不足が拡大するなか、人道支援分野にとって適応は避けられない。かかっているものは大きい。
現状を打破してイノベーションを取り入れることで、流れを変え、支出するすべての資金の効果を最大化し、支援を必要とする何百万人もの暮らしを変えることができる。

