国連の人間開発指数(HDI)は、189カ国の健康、教育、所得の状況を評価し、それに基づいて順位を付けている。
全体として、人間開発の歩みはおおむね前向きだ。しかし、指数の上位国と下位国の間には、依然として大きな格差がある。
おそらく最も実感しやすい違いは平均寿命だ。生命への権利は基本的人権の一つであり、1948年の世界人権宣言に明記されている。それでも、豊かな国と貧しい国の間には大きな差が残っている。

HDIが最も高いノルウェーで生まれた子どもは、82歳まで生きると見込まれる。それに対し、最下位のニジェールの子どもの平均寿命はわずか60年だ。開発格差が一般市民の暮らしに及ぼす影響を、はっきりと思い起こさせる。
改善の効果が実感できる前向きな例として、インドでは1990年以降、平均寿命が11年延びている。
順位を上げる
2010年、対象となった189カ国のうち、国連の「人間開発が非常に高い」カテゴリーに入っていたのは46カ国、「低い」グループは49カ国だった。2018年までに世界の状況は改善し、「非常に高い」グループは59カ国に増え、「低い」グループはわずか38カ国となった。
1990年から2017年にかけて、インドのHDI値は0.427から0.640に上昇し、約50%の増加となった。1人当たり国民総所得も驚異的な266%増加した。
平均寿命の延びに加え、インドの子どもたちは全日制教育を受ける期間も長くなると見込まれている。平均でさらに4.7年だ。同国は高度な技能を持つ労働力の育成を続けている。
それでも、インドのHDI順位はわずか130位にとどまる。

平等とは言えない
豊かさとその他の好ましい指標との間には明確な相関関係があるが、それだけではHDIの上位に入ることは保証されない。
不平等を分析すると、インドは評価を下げる。国連によると、不平等によって人間開発の水準が損なわれる割合は、人間開発が低い国で31%、中程度の国で25%だ。HDIが最も高い国々では、不平等による損失は平均11%となっている。
南アジア地域では、不平等によってHDI値が平均26.1%失われている。インドではその割合が26.8%に達する。
主な原因は、社会、政治、経済において女性が果たす役割にある。国会議員に占める女性の割合はわずか11.6%で、女性のうち中等教育を修了するのは39%にすぎない。男性では64%だ。インドの労働力においても女性は後れを取っており、男女の内訳は男性78.8%、女性27.2%となっている。
国連開発計画(UNDP)インド事務所のカントリー・ディレクター、フランシーヌ・ピックアップ氏は次のように述べた。「インドの国家開発計画の成功……そして学校教育と医療の普及を目指す取り組みは、人間開発の上昇傾向を加速させ、すべての人のための開発という首相のビジョンと、誰一人取り残さないという持続可能な開発目標の重要原則を実現するうえで、極めて重要となる。」
なお取り組みが必要
全体として前向きな評価ではあるものの、安心してはいられない。世界銀行のデータによると、女性が労働力に占める割合は、1990年には約35%だったが、2014年までに27%へと低下した。

労働市場には、不平等を示す明確な指標がほかにもある。特に賃金に関しては顕著だ。インドの男女賃金格差は、2016年には平均27%だった。
銀行、金融、保険などの業種における高賃金のホワイトカラー職では、男女賃金格差は比較的小さく、17.7%だった。対照的に、低賃金の職では格差が34.9%に達した。
ジェンダー平等に関してインドが直面する課題は明らかだが、低所得層の労働者ではその課題がさらに深刻になる。貧しい境遇にある女性が、地位の低い仕事に就くことで、ジェンダー不平等の影響を不均衡に受けている。
こうした格差を縮め、ほかの不平等にも取り組めば、より多くの人々を貧困から救い出し、眠っている生産性や経済活動を大きく引き出せる可能性がある。
この課題に取り組む方法の一つは、すべての人に、より多く、より良い教育を提供することだ。インドの子どもたちが平均でさらに4.7年の就学期間を得られる見込みは、歓迎すべき前進と言える。


