東南アジアの慢性疾患対策の鍵――若者

A paramedic (R) checks the blood sugar level of a patient at SS Diabetes Care clinic in Jakarta, Indonesia, April 22, 2016.
The future of South-East Asia’s youth is in the balance.Image: REUTERS/Beawiharta
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平均寿命の延伸、都市化、好ましくない生活習慣が、東南アジアで非感染性疾患(NCDs)の急増につながっています。世界保健機関(WHO)によると、死亡者全体の55%が同地域でNCDsによるもので、年間およそ800万人に上ります。さらに懸念されるのは、NCDsによる死亡者の3分の1が60歳未満であることです。こうした早期死亡は、社会と経済に甚大な損失をもたらします。

NCDsの増加は、これらの国々に「疾病の二重負担」をもたらしています。感染症との闘いや急性期医療の提供を目的に構築された保健医療制度を、糖尿病、心疾患、呼吸器疾患、がんなどの慢性疾患という静かな流行に対応できるものへと転換しなければなりません。この二重負担に対処するうえで、政策面・運営面ではどのような対応が必要でしょうか。

重要な側面は4つあります。第一は、保健医療制度の統合です。多くの感染症対策プログラムは、いわゆる「垂直型」の枠組みで整備され、HIV/AIDS、結核、マラリアなど疾患ごとに別々の縦割り体制が設けられていました。今後は、特定の疾患だけでなく患者を中心に据え、疾患横断的なケアを提供できるよう、こうした体制を統合する必要があります。一例がHIVです。長期にわたる抗レトロウイルス治療が必要になったことで、低所得国では在庫切れを最小限に抑えるため、サプライチェーンの改善が進みました。同様に、慢性疾患の治療にも適切に管理されたサプライチェーンが必要です。

研究も重要な分野です。たとえば、HIVが心血管疾患とどのように相互作用するのか、あるいは結核患者が糖尿病を発症した場合に何が起こるのかについて、分かっていることはまだ少ないのです。

第三の要素は教育です。医療従事者(NCDsを診断し治療するための知識や技能を身につける必要があります)だけでなく、地域社会や若者への教育も必要です。NCDsの危険因子が生じるのは、一般に思春期から青年期です。若いアジアの人々の間では、こうしたリスク行動が増えており、現在の成人世代と比べて、成人後の健康状態が悪化するおそれがあります。

WHOが実施した調査では、非常に懸念される統計が示されています。

  • インドネシアの13~15歳の男子の3分の1超が、過去1か月間に喫煙またはたばこ製品を使用しました。

  • フィリピン、タイ、ベトナムでは、男子の5分の1超が飲酒しています。

  • マレーシアとタイでは、男子の4分の1が肥満または過体重です。東南アジアの広い地域で、中学生・高校生の身体活動不足が憂慮すべき水準に達しています。

4つの主要な危険因子――たばこ、アルコール、運動不足、偏った食生活――はいずれも増加傾向にあります。政策立案者が懸念すべき統計です。今身についた悪習慣は、若者が中年期を迎えたときにNCDsの流行を招く一因となります。2050年までに、東南アジアの45歳以上の人口は現在の2倍になると予測されています。

第四の要素は、適切な政策です。学校のカリキュラムに健康的な生活習慣についての教育を取り入れる必要があります。中高生は本来、活動的ですが、公園や緑地、遊び場を利用できる環境が必要です。若者がアルコールやたばこ製品を入手できないようにすべきです。理想的には、学齢期の子どもが買えない価格になるよう、こうした製品に課税すべきです。若者に向けた高脂肪・高糖分製品の宣伝も制限する必要があります。

製薬業界に何ができるでしょうか。私たちは当然、学校や遊び場にいるわけではありません。しかし、NCDsの診断と治療について、また一部の危険因子は実質的に遺伝することについて、医療従事者への教育に貢献できます。たとえば、肥満の親には肥満の子どもが生まれやすいということです。糖尿病や呼吸器疾患を抱える40歳の患者と話すことは、医師や看護師が患者に説明し、できれば健康的な生活習慣の大切さを自分の子どもにも伝えてもらう機会になります。保健医療制度の変革も支援できます。私が所属するノバルティスは、低所得国でサプライチェーンの改善に多く取り組んでおり、現地の団体と連携してNCDsの診断と治療に関する教育を提供しています。

東南アジアの若者の未来は岐路に立っています。今、賢明な決断を下せば、東南アジアの保健医療制度と経済が将来負うNCDsの負担に大きな違いをもたらします。

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