金融危機から10年、世界経済は強さを増したが、脆弱性も抱えている

Protesters attend an anti-austerity rally in front of the parliament building in Athens, Greece, June 29, 2015. Stunned Greeks faced shuttered banks, long supermarkets lines and overwhelming uncertainty on Monday as a breakdown in talks between Athens and its international creditors plunged the country deep into crisis. Picture taken with a fisheye lens. REUTERS/Marko Djurica
We shouldn't rest too easy.Image: REUTERS/Marko Djurica
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世界経済の拡大は頭打ちとなったものの、緩和的な金融政策が引き続き成長を下支えしている。しかし、安心するのはまだ早い。最新の「世界金融安定報告書」第1章によると、金融システムに対する短期的なリスクは、過去6か月間にやや高まった。貿易摩擦が激化し、複数の国で政策の不確実性が高まっているほか、一部の新興市場国は金融市場の圧力に直面している。

さらに先を見ても、リスクは依然として高い。確かに、10年にわたる改革と回復を経て、金融システムは世界金融危機前よりも強固になっている。しかし、脆弱性は積み上がり続け、新たな金融システムは依然として試されていない。その耐性を高めるため、さらなる措置が必要だ。

複数のセクターや地域で、資産評価は依然として割高な水準にある。

具体的な政策措置を論じる前に、世界の金融情勢を詳しく見てみよう。これまでのところ、旺盛なリスク選好が主要金融市場での資産価格上昇を支え、米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を引き上げたにもかかわらず、金融環境は比較的緩和的な状態が続いている。しかし、ドル高と米金利の上昇により、新興市場国の海外借り入れコストは増大している。特に、信用需要が大きく、経済状況や政策枠組みが弱い国でその影響が大きい。

新たな脆弱性

新興市場国への圧力が広がり、強まれば、金融安定に対するリスクは大幅に高まる。分析によると、中期的に新興市場国で1,000億ドル以上のポートフォリオ債務流出が発生する確率は5%である。その規模は、危機時に経験した流出とおおむね同程度だ。

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金融安定リスクが急激に高まる経路はほかにもある。貿易摩擦のさらなる激化、合意なきブレグジット、債務の多い一部のユーロ圏諸国での財政政策をめぐる懸念の再燃、そして先進国で予想を上回る速さで金融政策が正常化することなどが挙げられる。

こうした懸念はいずれも、長年にわたる緩和的な金融政策のもとで拡大してきた金融面の脆弱性を顕在化させるおそれがある。世界的にシステム上重要な金融セクターを抱える国々では、政府、企業、家計の債務が、10年前のGDP比約200%から、現在ではほぼ250%に増加した。新興市場国は国際市場での借り入れを増やしており、外貨建て債務のかなりの部分を借り換えられなくなるリスクに直面している。銀行はこうした債務の大きい借り手に与信しており、一部のグローバル銀行は、流動性がより低く不透明な資産を大量に保有している。複数のセクターや地域で資産評価は依然として割高な水準にあり、融資審査基準も悪化している。

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こうした脆弱性の蓄積を受け、政策当局者は金融システムの強化に向けた取り組みを急ぐ必要がある。

- ミクロプルーデンス政策、すなわち個々の金融機関を対象とする政策では、銀行の支払能力リスクと流動性リスクに対するバランスシートの強化を目指すべきだ。

- カウンターシクリカル資本バッファー(経済全体で借り入れが増加している際に銀行資本を増やすことを目的とする)など、広範なマクロプルーデンス手段は、金融環境が緩和的で脆弱性が高い国々で、より積極的に活用すべきだ。金融安定のためには、銀行セクター外の脆弱性に対処する新たなマクロプルーデンス手段も必要である。例えば、ノンバンクの信用仲介における健全な融資審査基準の確保や、資産運用会社が抱える流動性リスクへの対処が挙げられる。

- 新興市場国にとって、脆弱性を減らし、堅実な政策と健全な政策枠組みを維持することが引き続き重要だ。これには、十分な外貨準備を積み増して維持し、慎重に活用することが含まれる。

- 規制当局と監督当局は、サイバーリスクを含む新たな脅威に対応しなければならない。また、金融システムのリスクを防ぎながら、イノベーション、効率性、包摂性へのフィンテックの貢献可能性を後押しすべきだ。

現状に満足している場合ではない。金融安定を守るため、より積極的な措置を講じるべきだ。先に公表された「世界金融安定報告書 」第2章が指摘するように、金融規制改革の課題を完遂し、改革の後退を避ける必要がある。最後に、世界の金融安定を維持し、持続可能な経済成長を促進するうえで、国際協力が極めて重要である。

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