塗料由来のマイクロプラスチック排出が、世界の環境アジェンダの最重要課題であるべき理由

plastic waste in the ocean amid rising concerns about paint microplastic emissions
Paint microplastics account for 58% of estimated total annual ocean microplastic leakage.Image: Naja Bertolt Jensen/Unsplash
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  • 塗料は海洋におけるマイクロプラスチックの主要な発生源ですが、問題の規模が注目されるようになったのはごく最近のことです。

  • 塗料由来のマイクロプラスチック排出は、海洋へのマイクロプラスチック流出量の年間推定総量の58%を占めます。

  • 当局、規制当局、そして一般の人々は、塗料由来のマイクロプラスチックが海洋に流出するのを減らすため、いくつかの簡単な対策を講じることができます。

海洋のプラスチックごみが広く認識された問題である一方、もう一つ、目に見えにくい問題があります。それは水中のマイクロプラスチックです。マイクロプラスチックの主要な発生源の一つは塗料ですが、そのことが広く認識されるようになったのはごく最近です。

18か月前、私たち、すなわちPinovoのチームは、ノルウェーのベルゲンで少しもどかしさを感じていました。世界が気づいていない大きな環境問題に対し、私たちは特許を取得した実証済みの解決策を持っていました。人々が認識していない問題に、どうすれば影響を与えられるのでしょうか。

私たちは産業分野での経験から、塗料が海洋におけるマイクロプラスチックの重要な発生源であることを知っていました。そのことは、世界各地の科学者による水質サンプリングでも確認できました。しかし、多くの人は問題の全体規模を、私たち自身の試算が示す規模よりもずっと小さいと考えていました。

さらに、規制当局や業界が問題の規模を認識していなかったため、塗装された鋼鉄設備の保守に当社の粉じんを出さない真空ブラスト技術を用いるなど、問題を解決する手段を推進したり採用したりする可能性は低い状況でした。幸い、今では変化が起きています。

塗料由来のマイクロプラスチック排出は大きな問題

からの後押しを受け、世界経済フォーラムのイノベーション・プラットフォーム「UpLink」、このテーマについて科学的根拠に基づくデータ主導型の調査を委託することにしました。以前、タイヤをマイクロプラスチックの重要な発生源として特定していた国際自然保護連合(IUCN)に助言を求めました。

IUCNは、この調査の実施機関としてEA – Environmental Actionを紹介してくれました。同機関には同様の調査経験があり、IUCNともこれまで何度か協力していたためです。

2021年春、EAのパオラ・ペルータ氏とジュリアン・ブシェ氏が調査を開始しました。世界全体の年間塗料販売量を起点に、プラスチック・フットプリント、質量保存、モンテカルロ・シミュレーションなどの指標や手法を用いて、塗料がライフサイクル全体、すなわち塗布から廃棄段階までにどうなるかを算出しました。その成果が、「Plastic Paints the Environment」報告書で、2月に公表されました。

塗料は「海洋へのマイクロプラスチック流出の最大の発生源」

報告書の主な調査結果は、塗料が海洋へのマイクロプラスチック流出の最大の発生源であり、年間推定190万トンを占めるというものでした。これは海洋へのマイクロプラスチック流出量の年間推定総量の58%に当たり、タイヤ、繊維、ペレットを合わせた量を上回ります。

報告書の公表を受け、欧州委員会は、タイヤの摩耗、製造前のプラスチックペレット、合成繊維など、意図しないマイクロプラスチック放出のその他の主な発生源に塗料を加えるべきかどうか、調査することを決定しました。

これを受けた協議プロセスは、環境中への意図しないマイクロプラスチック放出を減らす、費用対効果の高い政策の策定を目指しています。これにより、欧州委員会が最近発表した、2030年までにマイクロプラスチック排出を30%削減するという目標の達成にも貢献します。

さらに、2月末にナイロビで開かれた第5回国連環境総会(UNEA 5.2)では、法的拘束力のある国連プラスチック条約の交渉開始を承認した決議において、塗料汚染にマイクロプラスチックが含まれることが初めて正式に認められました。

塗料由来のマイクロプラスチックにはさらなる研究が必要

塗料由来のマイクロプラスチック排出は、ようやく「議題に上がった」のかもしれません。しかし、問題をより深く理解するには、さらなる研究が必要です。

マイクロプラスチック汚染の「ホットスポット」を特定するため、世界各地で水や土壌のサンプリングを増やす必要があります。また、塗料由来のマイクロプラスチックが人や動物の健康に与える影響について理解を深めること、さらに、問題への対策に役立つより精度の高いデータを得るため、「トップダウン」型の調査を増やすことも必要です。

規制当局もこの問題を優先課題に加え、表面の保守後に塗料の残留物を回収するよう、塗料を使う産業分野や海事分野に義務づけるなどの対策を導入し始める必要があります。

また、塗装された鋼鉄設備の継続的な保守への移行を促し、受動的な塗料由来のマイクロプラスチック排出を減らすとともに、新たな洋上風力発電所の開発に関するリスク評価に塗料由来のマイクロプラスチック排出を含めるなどの対策も必要です。

一方、塗料業界は、「適切に管理されていない塗料」のリスクについて顧客に啓発する必要があります。これには継続的な保守への移行や、塗装設備を適切に維持して塗料由来のマイクロプラスチック排出を減らせる、持続可能な表面処理ソリューションの活用が含まれます。

塗料の使用者は、Pinovoのような環境負荷の低い持続可能な表面保守方法に切り替え、従来の「汚れを伴う」開放式グリットブラストや高圧水噴射といった方法の使用をやめるべきです。塗料の残留物や研掃材をすべて回収しなければ、こうした方法は塗料由来のマイクロプラスチックを排出します。

塗料由来のマイクロプラスチック排出を減らす方法

一般の人々も、塗料由来のマイクロプラスチック排出を減らすために、実践的な対策を講じることができます。家庭で塗料を使って塗装する際は、刷毛を流し台で洗わないようにしましょう。塗料や、塗料に含まれるマイクロプラスチックは、排水口に流しても消えてなくなるわけではありません。

船舶の所有者は、船体の保守で出た廃棄物を必ず回収し、マリーナにそのための設備が整っていることを確認すべきです。

塗装された設備は良好な状態に保ち、再塗装の前にさびさせないようにする必要があります。さびや塗料の残留物はマイクロプラスチックとなって環境中に放出され、その多くは海洋に流れ込みます。

一般の人々は、当局にさらなる取り組みを求めることもできます。再塗装中の橋を通る際には、真空ブラストのような環境負荷の低い持続可能な方法が使われているか、それとも古い塗料が海洋に流れ込む従来のブラスト工法や機械的な方法が使われているか、考えてみてください。より環境に配慮した方法が使われるよう、地元の自治体に何をしているか尋ねることもできます。

最後に、WWFなど地域の規制当局や環境NGOとのつながりを活用し、この問題を確実に「議題に上げる」とともに、欧州委員会が実施する本件に関する公開協議に参加することもできます。

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