公的資金による気候テック研究は、世界で最も豊かな国々に集中している。
気候変動による最も深刻な影響に直面する国々が、最も少ない資金しか受け取っていない。
研究者らは、気候テック研究への資金配分のあり方を見直すよう呼びかけている。
新たな研究によると、気候変動に関する公的資金による研究は最も豊かな国々に向かい、影響をより迅速に緩和できる新技術を見過ごしている。
英国サセックス大学ビジネススクールの研究チームは、1990年から2020年までの世界各地の気候テック研究資金を調査し、資金の80%が英国、米国、欧州連合(EU)で使われていた。
研究者らによると、詳細に調査した1,000件のプロジェクトには22億ドルの資金が投入され、 「交付された資金のほぼ5分の4が英国(40%)、欧州連合(27%)、米国(11%)に配分されるという、非対称な分布になっていた」。
研究チームは164の資金提供機関による助成金を調べた。その内訳は米国の機関が69、中国と欧州委員会がそれぞれ11だった。気候テック研究資金を最も多く受け取った上位20機関のうち、英国以外に所在していたのは2機関だけだった。
これに対し、中国、インド、イスラエル、日本のプロジェクトへの資金額ははるかに少なく、研究者らは、特にラテンアメリカとアフリカの途上国が、調査対象にほとんど含まれていなかったと指摘した。
気候テック資金の不平等
「英国、米国、EUに極端に偏って配分された資金は、研究開発への資金提供における正義と公平性について、重要な問いを投げかけている」と語ったのは、サセックス大学ビジネススクールのエネルギー政策教授、ベンジャミン・ソバクール。
ソバクール教授は、この研究が「研究データを英語で公表できるアングロサクソン圏の研究プロジェクトを過大に代表している」と認めつつも、「世界最大の課題への真にグローバルな対応を支援できていない重大な欠陥」を示していると述べた。
フランクフルトのゲーテ大学が2020年に発表した研究は、別の視点から気候研究を分析し、各国が発表した科学論文の数に着目した。
そのランキングでは米国が1位、英国が続き、中国が3位となった。
研究者らは、中国の論文数が「急増」していること、またスカンジナビアの大学がCO2排出量や気候変動の社会経済的影響に関する研究で世界をリードしていることを指摘した。
「あらゆる分析で際立つ途上国はコスタリカ、フィジー諸島、ジンバブエの3カ国だけだが、気候の影響が最も大きくなるのはまさにこうした国々だ」と研究チームは付け加え、論文数が最も多い国々は気候変動への備えも最も進んでいたと指摘した。
もちろん、気候変動対策は公的資金だけに頼るものではない。世界経済フォーラムの「ファースト・ムーバーズ・コアリション」は、購買力を活用して市場を創出することに取り組む企業を結集し、革新的なクリーンエネルギー技術を後押ししている。
米国のジョー・バイデン大統領がグラスゴーで開催されたCOP26気候サミットで立ち上げたこの取り組みには、2030年までに炭素排出量の多い産業でグリーン技術の商用化を促すため、すでに世界の35社以上が参加している。
精神的側面
サセックス大学の研究チームによると、気候関連の有望な技術の中には資金不足のものがある。例えば、ジオエンジニアリングの一種である、成層圏に二酸化硫黄の粒子を注入して大気の温暖化を抑える方法には、資金のわずか0.2%しか配分されていない。
調査した1,000件のプロジェクトのうち、36%は気候変動への適応、28%はエネルギーシステム、13%は輸送とモビリティ、12%はジオエンジニアリング、11%は産業の脱炭素化に焦点を当てていた。
「低炭素への移行がもたらす、より深い精神的な意味――環境とのつながりをどう変えうるか、あるいは持続可能性を志向する新たな価値観や感情をどう促しうるか――も見過ごされていると、研究チームは述べている。
この偏りを正すため、研究チームは神学、食品科学・技術、神経科学、スポーツ研究、古典学といった分野への気候テック研究資金の拡充を提唱している。古典学については、現代の研究者に豊富な歴史的教訓をもたらすと述べている。」

