より公正な経済:経済をより持続可能にする上での課題とは何か?

Silvia Puntano walks to her home after receiving a ration of stew in a plastic container at a soup kitchen, during the coronavirus disease (COVID-19) outbreak, in Villa Azul, on the outskirts of Buenos Aires, Argentina July 29, 2020. Picture taken July 29, 2020. REUTERS/Agustin Marcarian - RC2N7I9PV7QI
The world has made great strides – but we have a lot of work to do to end poverty and inequality.Image: REUTERS/Agustin Marcarian - RC2N7I9PV7QI
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  • 世界は不平等の削減、平均寿命の延伸、医療と教育へのアクセス拡大において前進してきたが、2030年までに極度の貧困を終わらせる目標からは外れつつある。

  • COVID-19の世界的流行は、不平等を拡大させ、SDGsの達成能力に深刻な影響を及ぼす恐れがある。

  • グレート・リセットは、最も脆弱な人々を支援し、経済と社会をより持続可能にする好機である。

間違いなく、近年人類の生活は大きく改善してきた。人類史の大半において、出生時の平均寿命はおよそ20~30年であったが、1950年以降、私たちは目覚ましい進歩を遂げてきた。約1990年以降、11億人が極度の貧困から脱却している、また、多くの国で所得格差は縮小傾向にある。グローバル化とデジタル化により、世界中で医療、教育、雇用機会へのアクセスが拡大している。

これらの前進にもかかわらず、貧困、飢餓、そして大きな格差は依然として存在している。世界経済フォーラム創設者兼執行会長のクラウス・シュワブは、『グローバル社会移動性指数2020』において次のように説明している。「格差は急速な成長を遂げた国々においてさえ拡大している。格差がもたらす社会的・経済的影響は深刻かつ広範に及ぶ。すなわち、不公平感の高まり、不安定さ、アイデンティティと尊厳の喪失感、社会的結束の弱体化、制度への信頼の低下、政治プロセスへの幻滅、そして社会契約の侵食である。」

私たちがどれほど前進してきたとしても、人々が貧困から抜け出し、その潜在能力を十分に発揮する力を欠いているならば、人類の成果は不公平であり、そもそも持続不可能である。

今やCOVID-19によって格差は広がっている。国連『SDG進捗報告2020』が説明するように、「貧困層および脆弱層を守るための強固な社会保護制度の重要性は、かつてないほど明確になっている。」

「パンデミックは最も脆弱な人々に最も強い打撃を与えており、同じ集団が差別の増加に直面していることも多い」と、同報告書は続けている。「パンデミックの広範な影響は、とりわけ最貧国に深刻な打撃を与える可能性が高い。世界的な景気後退により開発資源の流れが縮小すれば、その影響はさらに深刻になる。」

グレート・リセットにより、世界には、「より公平な結果を促進する、長年先送りされてきた改革」と、「特に健康と社会的課題に取り組むことによって、公共の利益を支えるために第四次産業革命のイノベーションを活用すること」を通じて、格差に対処する好機がある。」、とシュワブは説明している。

より公正な経済のための持続可能な開発目標

SDG 1:貧困をなくす。2030年までに、極度の貧困を撲滅し、あらゆる側面において貧困状態にある人々の数を削減する。これには、社会保護策の導入、経済資源やサービスへの平等なアクセスの確保、そして特に気候変動に直面する中で貧困層および脆弱層のレジリエンスを構築することが求められる。

SDG 2:飢餓をゼロに。2030年までに、飢餓と栄養不良を終わらせ、安全で栄養価が高く十分な食料へのアクセスを保証する。これには、持続可能な食料生産システムと強靭な農業慣行の確保、家畜と作物の遺伝的多様性の維持、そして世界の農業市場における貿易制限や歪みの是正と防止などの措置が求められる。

SDG 8:働きがいも経済成長も。目標には、すべての男女に対する完全かつ生産的な雇用、一人当たり経済成長の持続、そして高付加価値産業と労働集約型産業に重点を置いた経済生産性の向上が含まれる。さらに、雇用創出、起業促進、労働者の権利の保護、そして強制労働、現代的奴隷制、人身売買などの慣行の撤廃を目指す目標も含まれる。

SDG 10:人や国の不平等をなくそう。この目標は、2030年までに、人口の下位40%の所得を、国の平均を上回る割合で段階的に達成し、維持することを目指している。不平等の削減には、すべての人々の社会的、経済的、政治的な包摂と機会均等の確保、そして平等を促進する政策や規制の導入、世界の金融市場や金融機関の監視の改善も必要である。その他の目標は、後発開発途上国(LDCs)と移民に焦点を当てている。

これまでにどれほどの進展があったのか?

近年、一定の進展は見られる。例えば、73か国における人口の最貧40%の実質所得成長であり、そのうち約半数の国では国の平均を上回る成長が見られた。

しかし、進展は総じて緩慢であり、特に貧困の分野ではそうである。国連『SDG進捗報告2020』によると――飢餓に関しては、むしろ後退に転じている。現在、世界的なパンデミックと経済危機により、これらの目標の多くで得られた成果が失われることが懸念される。

極度の貧困状態にある人々の割合は、2010年の15.7%から2019年には約8.2%へと低下した。しかし、パンデミックや経済危機の前であっても、2030年時点で依然として6%が極度の貧困状態にあると予測されており、目標は未達成となる見込みである。

極度の貧困状態にある人々の割合とCOVID-19の影響Image: 国連

同様に、極度の貧困状態にある労働者は、2010年の14.3%から2019年には7.1%に減少した。しかし2019年には、世界の失業率は5%であり、北アフリカおよび西アジアでは最高11%に達した。女性と若年労働者の割合はさらに高かった。

Image: 国連

飢餓の状況は深刻な状態が続いており、飢えに苦しむ人の数は2014年の6,000万人から2019年には6億9,000万人へと増加した。また、食料へのアクセスが確保されていても、必ずしも十分で栄養価の高い食料を入手できるとは限らない。7億5,000万人が依然として「深刻な食料不安」に直面していると、進捗報告書は続けている。サハラ以南アフリカおよびラテンアメリカでは状況が悪化している。飢餓は広範な影響を及ぼし、子どもの認知発達の遅れ、一般的な感染症、消耗症、死亡のリスクを高める。

COVID-19の影響は深刻になると予想される。貧困率は8.8%に達すると予測されており、これは1998年以来初めての上昇である。パンデミックの結果、7,100万人が新たに極度の貧困状態に陥る一方、1億3,200万人が食料不安に陥るリスクがある。最大42%の雇用が戻らない可能性がある。一方、多くの必須労働者を含むインフォーマル労働者(例えば廃品回収者、家事労働者、農業労働者など)の所得は、危機の最初の1か月で60%減少し、最大81%まで落ち込んだ。

世界経済フォーラムとそのパートナーは、より公正な経済を実現するために何をしているのか?

  • フォーラムのCOVID対応・社会起業家連合は、COVID-19の深刻な影響を乗り越えようとする社会起業家を支援するため、50を超える主要な国際機関を結集し、その対応を調整している。

  • フォーラムは、廃品回収者を支援するためにパートナーと連携している、インフォーマル経済における重要な必須労働者であり、COVID-19危機の中で大きな健康上および経済上のリスクに直面している。フォーラムのパートナーであるダウは、クラウドソーシング基金を共同で立ち上げ、世界の廃品回収者コミュニティを支援しており、ブラジルでは数百人の廃品回収者とその家族に研修、資源、公正な報酬を提供している。フォーラムはまた、SAPと連携して、ガーナおよびインドネシアにおいて、数千人の廃品回収者を潜在的な買い手やリサイクル業者と結び付けるソフトウェアソリューションを立ち上げる予定である。

  • 2020年1月にフォーラムの年次総会(ダボス会議)で、各国政府および企業との連携のもとに立ち上げられた『リスキリング革命」プラットフォームは、今後10年間で10億人に、より良い仕事、教育、スキルを提供し、第四次産業革命の仕事にアクセスできるようにすることを目指している。

  • フォーラムとマッキンゼーが主導する『食料システム変革の促進』 は、包摂的で効率的、持続可能で栄養価が高く健康的な食料システムを確立するための道筋を示しており、飢餓の撲滅における重要な要素である。

より公正な経済の実現のために、私に何ができるか?

  • 経済的に余裕があるときには、貧困と飢餓の撲滅に取り組む慈善団体に、お金、食料、生活必需品を寄付する。

  • 地域社会の飢餓に対処するため、炊き出しやフードパントリーでボランティア活動をする。

  • 地元の農産物直売所を支援する。それは地域の農業労働者や、作物の多様性と世界の食料安全保障を維持する取り組みを支えることにつながる。

  • サプライチェーンの透明性を確保し、強制労働、現代的奴隷制、人身売買の撲滅に取り組む企業を支援する。

  • 危機の中で支援を必要とする自分の会社の従業員や利害関係者を助けるために、自分にできることを行う。

  • 特にパンデミック中に追加のリスクや不確実性に直面しているインフォーマル労働者やギグワーカーをはじめとする、必須労働者に感謝の意を表す。

ライセンスと再掲載について
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