テクノロジーは進歩している一方で、教育手法はその歩みに追いついていません。しかし、変革の必要性はますます明らかになっています。
体験型学習の効果が認識されるにつれ、仮想現実(VR)の導入が進んでいます。
VRは教育を従来型から変え、幼稚園から高校までの教育、高等教育、職業訓練を前進させています。
教育は強い経済の基盤です。人的資本を高め、生産性を向上させ、経済産出を拡大します。
個人にとって、教育は新たなスキルを身につけ、批判的思考力や分析力を養い、経済的な豊かさに貢献し、生きる目的意識を育み、キャリアを築く道を開きます。したがって、個人、社会、政府、そして世界に対する教育の影響は否定できません。しかし、人々に教育を提供する方法は、常に技術の進歩に追いついてきたわけではありません。とはいえ、変化は差し迫っており、今後10年間でその速度は増すでしょう。
体験型学習を実現する教育テクノロジーの進化
実際、COVID-19パンデミックの際には、各国政府が学校や大学を一度に数週間にわたって閉鎖せざるを得ず、すでに進歩が見られました。国連教育科学文化機関(UNESCO)は、学習の継続を確保するため、デジタルツール、プログラム、リソースを通じて世界の教育分野を支援しました。世界各国では、たとえばオンライン教育ツールとしてAlef Education(アラブ首長国連邦)、Vschool(サウジアラビア)や、MOE E-Learning (エジプト)などが導入されました。
こうしたソリューションは不可欠でしたが、その多くは知識の伝達に重点を置き、生徒が概念を理解するために必要な実践的な対面体験にはあまり目を向けていませんでした。理論から学ぶ人もいれば、実践を通じて学ぶ人もいます。したがって、今後の教育テクノロジーの進化では、体験型学習に取り組む必要があります。革新的な教育法と組み合わせることで、拡張現実、仮想現実(VR)、複合現実はこのニーズに応え、関係するすべてのステークホルダーに競争優位性をもたらす可能性があります。
テクノロジーの進歩は大半の分野に浸透し、管理業務やサービス提供のあり方を変革してきました。しかし、教育に破壊的な変化をもたらすには、さらなる技術の進歩が必要です。こうした進歩を教育システムに取り入れることは、ますます急務となっています。
破壊的変化とイノベーション
今日のデジタル化が進む世界で起きている変化は、世界各地で教育へのアクセスを拡大し、質を高め、費用負担を軽減する一助となっています。こうした取り組みは、変革を推進するのに十分だとも言えるでしょう。さらに、環境面の圧力とCOP26の目標(2021年国連気候変動会議で掲げられた目標)を背景に、実現可能で費用面でも無理のない範囲で、教室の内外における教育のデジタル化が進み、重要な学習ツールとしての教科書、ノート、鉛筆への依存が減っていくでしょう。
私たちは変化する環境に適応し、次世代が私たちの成果を超えられるよう育てていく必要があります。学校や大学では個人の成長にますます重点が置かれていますが、テクノロジーによってそのプロセスを加速できる場合があります。VRはその代表例であり、次世代の学生、卒業生、職業訓練を受ける人々にとってゲームチェンジャーとなり得るもので、体験型学習を可能にします。
VRによって、生徒はインタラクティブな体験に没入し、自分の行動がもたらす結果をその場で視覚的に確かめることができます。メタバースと組み合わせれば、生徒と教師は没入したまま交流や情報共有ができ、空間や時間の制約を乗り越えられます。また、以前に得た知識を定着させ、従来型のオンライン学習で習得したスキルを応用できます。
一方、研究によると、VRは生徒の学習成果に良い影響を与えることが示されています。また、教室内外で実践的なハイブリッド形式として導入すれば、生徒と教師の交流を深めることもできます。VRを教室のツールとして使うことで、教師は生徒の意欲を高め、より協働的で対話のある学習環境をつくれます。VRを従来の授業に取り入れれば、生徒一人ひとりの能力、スタイル、ペース、学習意欲に応じた独自の体験を実現できます。さらに、厳格な評価を通じて、次の段階へ進む準備ができているかを確認できます。
体験型学習におけるVRの効果を最大化する
VRは、より効果的な視覚化を支え、教育における交流を改善し、協働を促進し、生徒の実践的な理解を深め、世界規模で成果をもたらします。他の新しいテクノロジーと同様に、その効果を最大限に引き出し、利点を十分に活用するには、研究開発を並行して進める必要があります。
適切な監督のもと、指導プログラムを導入して活用しなければ、VRは人との交流をある程度制限し、若い世代の孤立を招く可能性がある点にも留意が必要です。それでも、適切な研究、開発、安全対策があれば、VRの利点はリスクを上回ります。VRは、実践的な応用を通じて卒業生のスキルセットをすぐに変革できるテクノロジーです。遊びを通じた学び、実体験、知識の応用は、生徒にとってより魅力的な環境をつくり、スキルセットを大きく強化します。
VRであれ、その他の体験型学習ツールであれ、教育テクノロジーは転換点を迎えています。リーダー、教育者、規制当局をはじめとするステークホルダーは、次世代への投資に積極的に取り組み、変化の波に乗る必要があります。こうした計画は、アラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビア王国といった新興経済国を含め、各国の国家変革計画に表れ始めています。UAEはドバイに最近開館した建築の傑作、未来博物館を通じて、未来をシミュレーションしています。
同博物館では、拡張現実と仮想現実を使った壮大な展示「Tomorrow Today」を公開し、テクノロジーがどのように未来を形づくるのか、そして「Future Heroes」が遊びを通じて学び、新たなスキルセットを身につける様子を視覚的に示しています。
世界各国の政府が、より効率的な資源活用を競い、社会インフラに投資するなか、VRなどのテクノロジーが現状を変え、教育を従来型から変革し、幼稚園から高校までの教育、高等教育、さらには職業訓練を前進させています。各国は成果の向上を目指し、より強靱で、資格と経験を備えた労働力の育成に取り組んでいます。これが変化を促す力であり、今こそ行動を起こすときだと私たちは考えます。






