バーチャル教育がもたらす意外なメリット

A student of Nova Escola school attends a class as his teacher talks to his colleagues studying on-line from their homes during the first day of the return of private schools in Rio de Janeiro, amid the outbreak of the coronavirus disease (COVID-19), Brazil, September 14, 2020. REUTERS/Ricardo Moraes - RC2JYI9Q2L6T
Many schools will be blending in-person and virtual instruction this year.Image: REUTERS/Ricardo Moraes
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  • オンラインでの協働は、現代の職業に必要なスキルを学生に身につけさせる可能性がある。

  • 職種のなかで増えつつある分野では、従業員が地理的に離れたバーチャルチームで働くことが求められる。

  • 多くの学生には、デジタル環境で学ぶための成熟度、集中力、自律心が備わっている可能性がある。

率直に言えば、新型コロナウイルス感染症のパンデミック中に何百万人もの人々が経験しているような、学生と教員が予期せず遠隔学習に対応する状況に理想的な点は何もない。

とはいえ、大学や学校の多くが今年度、新型コロナウイルスの影響で程度の差こそあれ標準的な選択肢としているバーチャル教室や遠隔学習にも、明るい側面があるかもしれない。学生や教員は運営上の課題を補う必要があるかもしれないが、オンラインで協働することで、高校生は現代の職業に求められる組織力、感情的知性、自律心を身につけられる可能性がある。特に、リモートで分散したチームで働く傾向が強まるなか、そうした働き方を認める職業で役立つだろう。こうした能力を学生が早く身につけるほど、就職市場に出たときに有利になる。

新型コロナウイルス感染症の流行前から、多くの人が少なくとも一部の時間は在宅勤務をしており、パンデミックによってその流れは加速したにすぎない。International Workforce Groupによると、2018年には世界の人々の70%が週に少なくとも1回は遠隔勤務をし、53%が週の半分以上を従来型のオフィス以外で働いていた。International Workforce Group。

米国では、パンデミックによって多くの従業員が在宅勤務を余儀なくされたが、雇用主は従業員の生産性が維持されたことを心強く受け止めた。その結果、2020年6月5日までに、Gartnerが調査した米国のビジネスリーダー200人のうち82%が、パンデミック後も少なくとも一部の時間は在宅勤務を選べるようにする意向を示し、Gartner47%は、常時100%の遠隔勤務を認めると回答した。

雇用主だけが満足していたわけではない。IBM Institute for Business Value(IBV)が2020年8月に実施した調査では、調査対象となった米国の回答者の67%が、少なくとも一部の時間は在宅勤務を希望していることが分かった。回答者の50%は、パンデミック終息後、在宅勤務を主な働き方にしたいと考えている。

地理的な制約なくどこからでも働ける柔軟性を最初に取り入れたのは、従来型のホワイトカラー職だった。しかし、遠隔勤務が可能で、急成長し高収入が見込める職業への就業機会を大きく広げる専門職も増えている。こうした職は「ニュカラー」と呼ばれ、見習い制度や、高校卒業後の短期課程で取得する資格を通じて習得した、特定の需要の高いスキルを必要とすることが多い。ただし、従来型の学士号が常に求められるわけではない。

こうした職種では、従業員は地理的に離れたバーチャルチームで働くことになる。チームのメンバーには、効率的に協働する方法、オンラインで調査・分析を行う方法、AIやクラウドなどのリソースを活用する方法、話し方やプレゼンテーションのスキルを磨くこと、継続教育を受けること、感情的知性を発揮すること、そして自発性と積極性を高めることが求められる。

ニュカラーのソフトスキルとハードスキルは、いずれも実際に高い需要がある。IBM IBVによる2019年の調査では、行動面のスキルが技術的な能力以上に経営幹部から重視されるようになったことが分かった。実際、同調査によれば、現在最も重要と見なされているのは柔軟性と変化への適応力で、次いで時間管理能力、チーム環境で効果的に働く能力が挙げられた。遠隔勤務や分散型チームでは、これらすべての能力が求められる。

新型コロナウイルス感染症の流行よりずっと前から、遠隔勤務は学生のインターンシップにも取り入れられていた。例えば2019年夏、ボルチモアにあるIBM提携のP-TECH校では、学生インターンがビジネスインキュベーター施設内の賃貸スペースで働いた。この学校は、IBMが共同創設した24か国の公立職業技術高校ネットワークの一校で、メンターシップ、有給インターンシップ、費用無料のコミュニティカレッジ学位を提供している。インターン生はビデオ会議や協働ツールを使い、世界各地のIBMの同僚やマネージャーと仕事をした。

専門職にとって対面での交流が今も大きな恩恵をもたらすことは言うまでもなく、おそらく今後も変わらないだろう。給湯室での会話や廊下での偶然の出会いから、新たなアイデアや画期的なイノベーションが生まれたという話は数多くある。教育者も同様に、対面での専門能力開発や優れた実践の共有から恩恵を受ける。しかし教育者は、一部の遠隔学習にも利点があると気づき始めている。コネチカット州のIBM提携P-TECH校のある教員は、昨年春のビデオ会議授業に思いがけないメリットがあったと振り返る。短縮された授業時間を、事前に課した読書課題について、より深く議論するために使えたという。学生はプレゼンテーションやグループプロジェクトのスキルを磨くことができた。また教員は、一部の学生が家庭で直面している個人的な課題を、より深く理解できた。(学校が遠隔学習に移行し、オンラインカリキュラムがさらに普及するなか、バーチャル環境で効果的な教育法に関する情報を集め、共有することが極めて重要になる。)

少なくとも一部の時間であれば、多くの学生にはデジタル環境で学ぶために必要な成熟度、集中力、自律心が十分に備わっている可能性がある。バーチャル教室に加えて、大学や職場への進学・就職に備えたい意欲ある高校生向けのオンライン教材も豊富にある。こうしたプラットフォームによって、学生はそうでなければ得られなかったかもしれないコンテンツにアクセスできる。例えばOpen P-TECHは、技術やキャリアに関するカリキュラムを提供する、IBMの無料で自分のペースで進められる講座と評価のセットであり、専門職やSTEM関連のキャリアを目指す学生にコンテンツを提供している。こうした職業の多くは特定の職場を必要としない。卒業生は、バーチャルでの協働が期待され、あるいは必須となる仕事を求めることになる。

もちろん、小学生など年少の児童が遠隔学習やバーチャルでの協働から大きな恩恵を受けると主張するのは、はるかに難しい。集中できる時間が限られており、対面で関わることで最も注意を引きつけられるからだ。より複雑なテーマを学ぶには、同じ教室にいる教員からの注意、指導、フィードバックが欠かせない。また、対面授業は、学習に特別な支援を必要とする多くの学生にとっても重要である。

学生の遠隔学習にどれほどの利点を見いだそうとしても、明らかな欠点がある。まず、人間は本能的に、対面でのやりとりがもたらす個人的なつながりを求め、それによって力を得る。バーチャル教室は、家の内外で働かなければならない保護者にも負担をかける。多くの保護者が、時間の余裕があるかどうかにかかわらず、教員や教員補助の役割を担うことになっている。また、社会的に疎外された地域の学生は、バーチャル授業に必要な技術や通信環境を利用できないことが多い。世界のより多くの地域がデジタルにつながる一方で、貧困層の多くは依然として接続できず、将来がさらに危うくなっている。

いずれ、校舎での授業は再開される。それまでの間、多くの学校は今年、対面授業とバーチャル授業を組み合わせるとしている。これは、公衆衛生と教育上の配慮のバランスを取るための必要な妥協と捉えることができる。この形態は理想的ではないが、一部の学生には利点もあるかもしれない。パンデミックが遠隔勤務の普及を加速させたように、年長の学生のなかにはデジタルで協働することに抵抗がなくなった人もいる。パンデミック中にこの新しい環境を乗り切るために身につけたスキルは、こうした若者が今後数年のうちに社会に出る際に役立つだろう。

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